中国アニメ映画「ナタ2」が異常とも言えるヒットになり、中国国内興行収入だけで世界興行収入記録を塗り替えてしまった。しかし、中国アニメ業界は、アニメーターの低賃金、長時間労働の問題を抱えている。ナタ2のヒットで、労働環境が改善されるかどうかが注目されていると第一財経が報じた。
中国国内でのヒットで世界記録を更新した「ナタ2」
中国で製作されたアニメーション映画「ナタ 魔童の大暴れ」(通称、ナタ2)が中国国内で異常とも言えるヒットとなり、アニメーション映画のグローバル興行収入の記録を塗り替えた。現在、「ナタ2」は海外での上映が始まっているが、人気は今ひとつで、ほぼ中国国内の興行収入でグローバル記録を塗り替えるというのは異例のことだ。
出品をした光線メディアの株価は急騰し、投資家たちはかなりの額を稼いだことになる。


オール外注で制作されたナタ2
「ナタ2」は、5年の制作期間をかけ、1900以上の特殊効果シーンがあり、1万以上の特殊効果が使われ、制作は130社、1600人以上で行われた。
130社というのは大きなプロジェクトであることを示しているが、逆に言えば、中心となるスタジオが存在しないということも示している。平均して1社12人ということになる。実際、「ナタ2」は、すべて外注で制作されているのだ。
中心となるスタジオで制作する場合に比べて、外注を主体にする場合は、品質をそろえることが難しくなる。進捗管理も細やかにする必要があり、プロジェクト全体の管理は難易度があがる。
それでも、外注主体にした理由は単純で、投資資金が集まらず、スタジオを設立することが難しいからだ。

中国アニメの最大の問題ーー投資資金
中国アニメーションが抱えている問題は2つある。1つはアニメーション産業に投資をしてくれる投資家が少ないことだ。もうひとつは、投資をしてくれても、アニメーション産業を理解している投資家が少ないということだ。
このため、膨大な人数を抱える大規模スタジオを維持することができない。「ナタ2」のようにヒットが出ればいいが、それも連続させていかないとスタジオを維持することはできない。

クラウドファンディングを利用するケースも
この問題を突破するために、2016年に制作された「紅き大魚の伝説」では、クラウドファンディングが活用された。数ヶ月で4000人から158万元を集め、そのことが光線メディアから注目されることになり、投資が行われ、最終的に3000万元の予算が集まった。
しかし、「紅き大魚の伝説」は幸運であり、他のアニメーション映画もクラウドファンディングを軸に資金調達をしようとしているが、なかなかうまくいかない。
そのため、大ヒットするようなアニメーション映画でもスタジオを設立することは難しく、外注に頼らざるを得ない現状が続いている。

アニメーターの給料は、出稼ぎ農民工と同じ水準
その中でも大手なのが、「鉛元素動画」だ。「中国惊奇先生」「一人之下」などの国内アニメーション作品の制作に参加をしている。投資も獲得し、企業価値が1億元を初めて超えたアニメーション制作会社だ。この投資資金により、鉛元素動画はようやく従業員員に社会保障などの福利厚生が行えるようになった。
それでも、従業員の月給は5000元+プロジェクトごとのボーナスというもので、他の業界に比べて1000元から2000元程度は低い。アニメーターの給料は、出稼ぎ農民工と変わらない。それでいて、労働時間は、労働時間という概念がなくなるほど長い。人材流出は激しく、熟練したアニメーターが他の職業に転職をしてしまうため、技術の継承が進まず、品質があがっていかないという問題を抱えている。
ナタ2のヒットで、中国アニメ業界は変われるか
「ナタ2」では、莫大なお金がアニメーション業界に流れこんだ。今後も、投資家たちは2匹目のドジョウを狙ってアニメーション映画に投資をすることになる。その資金を活かして、中国アニメーション業界の問題を解決し、技術が継承される環境をつくり、品質を高めていく環境がつくれるかどうか。中国アニメーション業界は重要な時期を迎えている。