中年失業者たちはスターバックスに出勤する。長居ができて、面接などもそのまま受けられるため、コスパがいいからだ。しかし、オープンポリシーの取り止めで、長居をする中年失業者たちが追い出されるようになっていると虎嗅が報じた。
オープンポリシーをやめたスターバックス
米国のスターバックスが、2025年1月にそれまでのオープンポリシーをやめ、商品を購入しない人には店内やトイレを利用できないようにしたというニュースを意外に感じた人もいるのではないだろうか。日本では、スターバックスに限らず、商品も買わずにトイレを使ったりすることは基本的なマナーとして誰もしない。コンビニでトイレを借りた時でも、帰りに何かひとつぐらいは商品を購入するのが一般的だ。何を今さら当たり前のことをと思われた方も多いかと思う。
しかし、米国は公共のトイレが異常に少ない。公園などにあったとしても、管理が行き届かず、使う気になれないことが多い。駅などの公共施設も同様だ。そのため、スターバックスがトイレを開放してくれていたことは、多くの人にとってありがたいことだったのだ。
2018年に、フィラデルフィアの店舗で、黒人男性が商品を買わずにトイレを利用したところ、店員がそれを咎めたことから騒動となり、それ以来、スターバックスはオープンポリシーを宣言し、公共のトイレ問題の解決に貢献をしてきた。
しかし、あまりに自由にしたため、商品も買わずに席を占有する例や、店内での迷惑行為も起こったため、ポリシーを変更したようだ。
中国でもオープンポリシーだったスターバックス
中国でもスターバックスは、オープンポリシーに近い方針を取っていた。例えば、テラス席は商品を買わなくても利用ができる。ちょっとした休憩のために座って構わないのだ。ただし、他の購入客から直接またはスタッフを通じて、「テラス席を使いたいので空けてほしい」と言われたら、退くのがルールになっている。
また、店内でも商品を購入しているかどうかはあまりうるさく言わない方針だった。一人用のテーブルは狭いこともあって、飲み物を先に飲んでしまって、片付けてからPCを広げて仕事をする人もいて、テーブルにカップがない人もいる。
しかし、米国の方針を受けて、中国のスターバックスも商品を購入せずに席を使っている人に対してはこまめに声かけをするようになっている。

スターバックスから追い出される失業者たち
これである人々がスターバックスを使いづらくなったと不満が起きている。それは中高年の失業者たちだ。中高年はリストラされると、そのプライドからか、家族にそのことを告げずに、毎日出勤するふりをする人が多い。
そして、スターバックスに行き、PCを開いて職探しをする。中国では、個別採用の面接は、会社よりも茶館やカフェで行われることも多く、スターバックスでそのまま面談ができるために便利なのだ。
40歳になる徐忠さん(仮名)は、大企業に勤めていたが半年前にリストラをされた。親に話したところ、過度に心配をして、うるさく言う。それがたまらずに臨時の仕事があると言って家を出て、スターバックスに出勤して職探しをしていた。
ある日、スターバックスにきたが、すぐにその後に面接に行くために移動をする必要があったため、スターバックスのWi-Fiを使い、PCを開き、資料を整理した。10分ほどで出るつもりだったため、飲み物は注文しなかった。
しかし、注文をしていないことを店員に咎められ、恥ずかしい思いをしたという。
テーブルにカップがないと咎められる
38歳の黄妍さん(仮名)もスターバックスでトラブルになった。彼女は結婚をして、子育てに専念をするために5年間、専業主婦になっていた。子どもも大きくなり、幼児教室に送った後、スターバックスに行き、オンライン起業を模索するために、PCを開いて、情報を集めたり、ビデオの編集をすることが常となった。
以前、彼女はPCに夢中になる余り、コーヒーを倒してしまい、PCを濡らしてしまったことがあった。それ以来、飲み物を注文してから、少しの間ぼんやりしながら飲み物を楽しみ、それからテーブルを片付けて、PCを開くようにした。
ところが、テーブルにカップがないことから、店員に注文していないのではないかと咎められた。
この他、スターバックスには、もはや再就職をあきらめた失業者が、1杯のコーヒーで1日ねばるという姿が見られる。スターバックスは、失業者がいく場所になっていたのだ。
クーポン割引で失業者が集まってきた
このような失業者がスターバックスに居座る現象は、昨年の中頃から目立つようになっている。客離れが進んで、瑞幸珈琲(Luckin Coffee)や庫迪珈琲(Cotti Coffee)などが9.9元コーヒーで店舗数と売上を伸ばすと、スターバックスはライブコマースでさまざまなクーポンを販売し、34元のスターバックスラテが20元以下で飲めるようになった。
さらに、代理注文も広がっている。これはスターバックスのコーヒー券がさまざまな銀行口座やカード会員の特典としてついてくる。もらっても使わないという人は転売をしてしまう。元が無料であるために、15元程度で飲める。それで、快適な椅子とテーブルが支えて、無料のWi-Fiが利用できて、人との面談にも利用することができる。それを考えると非常に安上がりだからだ。
漂流する中年失業者たち
しかし、スターバックスはこのような長居をする客の排除を始めた。さらに、ライブコマースなどでの格安クーポンの販売も、やりすぎると自身のブランド価値を毀損するだけだというに気がつき、現在はクーポン販売の回数を抑えるようになっている。
失業者たちは、スターバックスからも追い出されることになった。彼らはどこへいくことになるのか。そして、スターバックスは業績を回復することはできるのか。スターバックスも中年失業者も漂流を始めようとしている。