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今回は、中国ブランドの輸出についてご紹介します。
2元のソフトクリーム、4元のレモネードで、中国3万8000店舗を展開する「蜜雪氷城」(ミーシュエビンチャン)が香港証券取引所に上場をしました。2月28日に初値202.5香港ドルからスタートしましたが、現在400香港ドル近辺を推移するという順調ぶりです。
蜜雪のビジネスの仕組みについては「vol.184:爆速成長するドリンクスタンド「蜜雪氷城」。その考え抜かれたBtoBtoC型フランチャイズの仕組み」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2023/07/09/080000)でご紹介しています。加盟金0元で店舗を急速拡大させていきながら、利益を出し続ける非常にうまいビジネスモデルで、後の中国のフランチャイズチェーンの仕組みに大きな影響を与えました。
ややもすると、安売りだけのドリンクスタンドと見なされがちですが、マーケティングも独特で、抖音(中国版TikTok)の配信の仕組みをうまく利用して集客に結びつけるなど、非常のレベルの高いことをやっています。そのあたりについては「vol.087:洗脳神曲「蜜雪氷城」の背後に隠されたプロモーションロジック」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2021/08/29/080000)でご紹介しています。
蜜雪は海外展開にも積極的で、特に東南アジアで人気になっています。気候が暑く、まだ購買力が強くはない場所はではうまくはまります。ところが、日本では東京の原宿と池袋に出店していますが、うまくはいっていないようです。
蜜雪が日本に進出をしたのは、日本人消費者を直接ねらうのではなく、在留中国人や訪日中国人をまず顧客にし、そこから日本人消費者をねらう戦略でしたが、それがうまくワークしなかったようです。
ねらいは悪くありませんでした。在留資格を持つ中国人の数は2024年6月時点で84万人を突破し過去最高となっています。また、インバウンド中国人旅行者数も2025年1月には98万人となり、2019年の単月記録100万人を抜く勢いです。


特に原宿は、東南アジアからの観光客も多いため、東南アジアのインバウンド旅行客に対するアピールの役割を担っていました。しかし、現在、原宿店は休止中になっています。うまく東南アジアのインバウンド旅行客にアピールできなかったようです。
また、中国では9700店舗を展開し、5万店規模を目指している「庫迪珈琲」(COTTI COFFEE)も、日本に11店舗を展開していましたが、渋谷店が閉店となりました。渋谷にはIT系の企業が多く、中国人もかなり働いているため、そこをねらったのだと思います。
渋谷店を観察していると、けっこうな頻度で中国人がテイクアウトをしていきます。しかし、蜜雪にも共通していますが、日本人客の割合が非常に少ない。スタッフは中国語はもちろん、英語と日本語でも問題なく接客できますが、両店ともうまく日本人を獲得できていないようです。
蜜雪、コッティは韓国でも苦戦をしているようです。コッティは韓国でも4店舗を展開していましたが、昨年2024年末にすべて撤退をしています。蜜雪はソウル大学など大学近辺に4店舗を展開していますが、状況はかなり厳しいようです。
日本と韓国で、蜜雪とコッティが苦戦をするというのはなんとなくわかります。それは日本と韓国は、飲み物にお金を払うのではなく、場所や体験にお金を払う意識が強いからです。
いまだにスターバックスが圧倒的に強いということがそれを証明しています。店内でゆったりとすごすことに価値があり、フラペチーノのような見た目が華やかな甘味ドリンクを飲む体験に価値があるのです。
さらに、日本の場合はテイクアウトですら体験価値を確立しています。街中をスターバックスのカップを持ちながら歩くというのは、非常に洗練されたスタイルだと認識されているのです。米国と中国では苦戦をしているスターバックスですが、日本ではその強さはなかなか崩れないのではないでしょうか。
韓国も都市部ではカフェが非常に流行していて、やはり体験価値にお金を払う意識が強いようです。
蜜雪とコッティは、ここを読み違えていました。蜜雪はドリンクスタンドであり、路上で飲むしかありません。店先にベンチを用意している程度です。コッティはここを考えたのか、ある程度の客席を用意していますが、スターバックスのようなカウチではなく、簡易的なテーブルと椅子です。しかも、店内が明るく、カフェの暗さではなく、ファストフードの明るさになっています。
ただし、ドリンクそのものは一度試す価値があります。コッティのココナッツラテは、ミルクの重さがなく、後味がさっぱりとするラテです。蜜雪の高山四季春(中国茶)は、以前は100円、現在は160円ですが、その安さにも関わらず、ちゃんと中国茶の味がします。量も400cc以上あるので、夏の間はペットボトルのお茶を買うぐらいだったら、蜜雪で高山四季春を買うようになっていました。
両者ともに、その価格の割に、ドリンクのレベルは高いので、それで日本人の心をつかめるはずだと思ってしまったのかもしれません。
もちろん、このようなことは、後から見て、いろいろ理屈をつけることは誰にでもできます。実際に経営をする人は、このようなことをやる前に読まなければならないのですから、簡単なことではありません。ねらいは悪くなかったのに、うまくはいかない。海外市場で地位を確立するのは簡単なことではないということがわかります。
一方で、成功をする中国ブランドも現れ始めています。深圳工業総会、中国通信院などは共同して「中国海外進出ブランド100強」を毎年発表しています。
その選考は、「中国で生まれたブランドであること」「海外売上が30%程度あること」「海外売上が30億元以上あること」である企業を選び、25の観点で点数かをし、その総合点で順位を決めるというものです。
また、総合点で上位50社がリーディング・ブランド、前年からの伸び率による上位50社がファスト・グローイング・ブランドとして選ばれ、合計100社になります。
リーディング・ブランド50はこちらになります。

このメルマガの読者であれば、上位20社ぐらいまではおなじみのブランドが並んでいるのではないでしょうか。
また、ファスト・グローイング50はこちらになります。

こちらも知っているブランドがちらほらあるのではないでしょうか。
中国のブランドは海外に出始めています。その多くは、華人も多く住んでいる東南アジアが中心で、欧州や南米にも強く、さらには北米、中東にも進出しようとしている状況です。
その中で、日本と韓国は後回しになりがちです。ひとつは、中国は効率的な生産方法を採用することにより、安くつくる技術が発達をしたため、「性能が同じでも安い」ということが大きな武器になる製品が多いため、東南アジアや南米には受け入れやすいですが、日本や韓国といった国には「安物」と見なされてしまい、品質や性能を理解してもらうまでの時間がかかります。最近では、ファーウェイ、Anker、シャオミ、ハイセンスあたりの品質の高さは理解され始めていますが、5年前は一部の人を除けばボロクソに言う人が圧倒的でした。
さらに不利なことに、日本と韓国は中国を遅れた国と見ている人が多いために、中国製品というと「安いけど品質が悪い」という固定観念を切り替えることができません。ここでも理解をしてもらうための時間がかかります。そのため、日本では「中国製品の需要は中国国内だけ。海外では勝負にならない」と見ている人が多いのですが、そうとうに思い違いをしています。
日本人の知らないところで、中国ブランドは海外に出て行き、日本の海外市場を奪っていっています。以前もお見せしたブルームバーグの記事「「Chinese Carmakers Are Trouncing Once-Unbeatble Japanese Rivals」(中国の自動車メーカーは、かつて無敵だった日本のライバルを打ち負かし始めている。https://www.bloomberg.com/graphics/2024-china-outshines-japan-cars-southeast-asia/)に掲載されているグラフをお見せします。

東南アジアの自動車市場での、日本、中国、米国、ドイツのシェアの変化です。中国が一人勝ちで、日本が一人負けになっている様子がおわかりになると思います。興味深いことに米国やドイツのメーカーは、市場によってはシェアを維持していたり、伸ばしたりしていますが、日本はすべての市場で負けています。中国に地位を奪われていることは明らかです。
日本の得意技は、少し前の中国と同じように「標準品を安くつくる」ことでした。これにより、米国のテレビ市場を席巻しました。しかし、そこからソニーのトリニトロンが生まれてくるなど、次第に「高性能品を標準価格で」にシフトをしていきました。
中国も「標準品を安くつくる」ところから出発しましたが、ここ数年は「高性能品を安く」ができるようになりつつあります。「標準価格で」ではありません。高性能になっても「安く」で、ここが大きなポイントです。ここで、日本は海外市場で中国製品に負け始めています。しかし、日本には中国が進出するのが難しい米国市場と日本市場があるために、そのことがなかなか実感できないままにいます。
しかし、様子が変わってきていることは、多くの方が気づき始めています。「中国系テレビ、初の日本国内シェア5割超 安値で若者浸透」(日経新聞、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC207MO0Q5A120C2000000/)などということが起こり始めています。

トップシェアの「レグザ」は東芝のブランドで、それがハイセンスに売却され、中国企業の「TVSレグザ」になりました。この影響があるとは言え、国内メーカーの存在感は薄くなっています。シャープもすでに台湾の鴻海精密工業傘下になっていますから、純粋に国内メーカーと言えるのはソニーとパナソニックだけになっています。
このようなことが東南アジアでは普通に起きており、さらに欧州や南米で起こり始めています。さらに、今後、北米、中東などでも起こる可能性があります。今や、日本メーカーは家電だけでなく、自動車でも工作機器でも、北米市場を死守できるかどうかが生命線になっています。北米市場から脱落したメーカーから経営危機に陥るという状況になろうとしています。日産自動車がその典型例です。
そこで、今回は、海外展開を進めている中国ブランドについてご紹介をします。次の領域でご紹介をしていこうと思います。
1)電気自動車
2)ゲーム
3)玩具
4)家電製品
5)マイクロドラマ
6)オート三輪
今回は、この6つの輸出品について、中国ブランドがどの程度海外進出をしているのかをご紹介します。
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