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杭州の六匹の小龍。杭州市はなぜイノベーション都市になることができたのか

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今回は、杭州の六匹の小龍についてご紹介します。

 

「深度求索」(DeepSeek)の大規模言語モデルDeepSeekが、世界に大きなショックを与えたことはみなさんよくご存知だと思います。このメルマガでも「vol.266:DeepSeekショックの本質とはなにか。「米中」ではない、ほんとうの対立軸とは」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2025/02/09/080000)で、トレーニングコストを1/10にできた技術ポイントと、ほんとうの対立軸は「オープンソースvsクローズドソース」にあるというお話をご紹介しました。

今後、AIは開発競争から社会実装競争に移っていくことになると、多くの人がゲームチェンジが起きていることを実感しています。

 

一方、中国では、もうひとつ別の面白い波紋が広がっています。DeepSeekは浙江省杭州市を拠点とする企業です。そのため、他都市の人たちから「DeepSeekはなぜ私たちの都市ではなく、杭州から生まれてきたのか」という問題が提起をされているのです。iPhoneが登場した時に、日本で「なぜ日本はiPhoneをつくれなかったのか」という話題が広がったのとよく似ています。

最初に反応をしたのは浙江省南京市でした。南京市は浙江省では上海に次ぐ大都市です。この南京市政府の広報紙とも言える「新華日報」に、3日間続けて、なぜ杭州市なのかという記事が掲載をされたのです。「DeepSeekはなぜ杭州に現れたのか」「なぜ南京市は杭州の六小龍を生むことができなかったのか」「杭州にはDeepSeekがある。南京市には何があるのか?」という3つの記事です。

ここから「杭州の六匹の小龍」という言葉が流行語のように広がりました。杭州市を拠点にするDeepSeekなどの6社のベンチャー企業を指す言葉です。

後ほど、個々の企業についてご紹介しますが、大作ゲーム「黒神話:悟空」を大ヒットさせた「游戯科学」(ゲームサイエンス)、ロボット開発でリードする「宇樹科技」(Unitree)と「雲深処科技」(DEEP Robotics)、物理空間をシミュレートする「群核科技」(Manycore Tech)、脳とデジタルのインタフェースを開発する「強脳科技」(Brain Robotics)など、勢いがある企業が次々と登場し、DeepSeekを含めた6社が「杭州の六匹の小龍」と呼ばれるようになっています。

 

この記事に中国中の都市が反応しました。「なぜ上海市は六小龍を生むことができなかったのか」「なぜ北京市は六小龍を生むことができなかったのか」など、さまざまな都市で記事が出され、議論が起きるようになりました。

その中でも、特に反応が強かったのが深圳市です。深圳市には「華為」(ファーウェイ)、「騰訊」(テンセント)、「BYD」、「DJI」という技術力の高いビッグテックがあり、この4社は「深圳の四匹の頭龍」と呼ばれることがあります。さらには、スタートアップ企業やベンチャー企業も無数にあり、世界有数のイノベーション都市であることは言うまでもありません。

しかし、コロナ禍以降、若い企業が伸びてくる勢いが如実に弱まっています。若々しかった深圳もさすがに中年の時期に入ったのかと言われることが多くなってきました。

それだけではありません。ゲームサイエンスは本社が深圳にあります。しかし、開発スタジオを杭州に置き、そこから「黒神話:悟空」というゲームが生まれてきたのです。「なぜ、深圳ではなく杭州からなのか」。これは深圳の人々にとって真剣に考えなければならない問題になっています。

 

杭州といえばアリババの本拠地で、「ECの都市」というイメージでしたが、ECではないAIやロボティクスの分野でイノベーションが起こる都市になりました。なぜ、杭州イノベーション都市になることができたのか、これが今回のメルマガのテーマです。

その答えを先に言ってしまうと、杭州市政府の政策が非常にうまかったということにつきます。杭州は「天に天国あり、地に杭州と蘇州あり」と言われた風光明媚な地方小都市で、日本で言えば、小樽市高山市といった感じの観光中心の都市でした。そこにアリババという企業が誕生し、そのアリババが巨大企業に発展をしたため、電子商都としての顔も持つようになりました。

しかし、アリババ城下町であったために、アリババの成長が緩やかになると、杭州市の成長は止まってしまいかねません。杭州市政府は、アリババが絶好調の2010年代から次世代へ向けての準備を着々と重ねてきて、それが今、実を結び始めているのです。

 

いったい杭州市は何をしたのでしょうか。また、杭州市がいくらイノベーション都市になったとは言え、深圳の巨大さにはなかなか追いつけません。杭州市政府は深圳と肩を並べるために、どんな次の策を考えているのでしょうか。

まず、「杭州の六匹の小龍」の各社について、簡単にご紹介をして、それから杭州市の政策についてご紹介をしていきます。地方の観光都市が、イノベーション都市になるためには何が必要なのかを考えます。

 

まず、もはや名前は知らない人がいないくらい、一夜にして有名になったDeepSeekからご紹介します。

DeepSeekの創業者、梁文鋒(リャン・ウェンフォン)氏は、1985年に広東省呉川市で生まれました。市と言っても県級市であり、田舎の小さな町です。DeepSeekが有名になると、梁文鋒の生家がちょっとした観光名所になりました。多くの人が見学するようになりましたが、土間の家にベッドや椅子を置いた典型的な農村の家です。

両親は小学校の先生をしていたため、知的な空気があり、数学が好きな子どもだったそうです。中学に入ると、中学の数学を独学で修了してしまい、高校の数学を独学し始め、高校に入学した頃には大学の数学を独学しているほど、数学とコンピューターが好きな子どもでした。

 

2002年に、呉川市トップの成績で、浙江大学に進み、電子情報工学を専攻します。浙江大学で同級生に触発されて、株式相場に興味を持ちます。相場を張りたいということではなく、株式相場のデータ処理に興味を持ち、量化投資の研究を始めます。

量化投資とは、数学理論に基づく自動売買のことです。相場の変動要素をすべて数式モデルにし、それを分析し、市場の非対称性に着目をして投資を行います。非対称性というのは「ずれ」のことです。数式モデルから導かれる理論上の株価と、現実の株価にずれがある時、現実の株価はいずれ理論上正しい株価に収斂をしていくはずです。ですので、理論値よりも高い場合は売りを入れ、低い場合は買いを入れるということをやれば確実に儲かるはずです。もちろん、数式モデルが正しければの話ですが。

梁文鋒は、大学を卒業した2008年に、8万元(約160万円)の手持ち資金を使って、自分が開発した量化投資システムを使って投資を始めます。毎年100%以上資金を増やし、7年後、資金は1億元(約20億円)を突破しました。

ここで元同級生たちと、自分で開発したシステムを使って、プライベートファンドを立ち上げ、2015年に「幻方科技」を創業します。評判が評判を呼び、数年で、顧客から預かっている投資資金は100億元を超え、2021年には1000億元を超えるという急成長をします。

 

幻方科技にとって、さらに飛躍をするためには、AI技術を導入して相場を読ませるということが必要になります。このために、2018年に、ディープラーニング技術をベースにした相場予測システム「蛍火虫」を開発します。この開発のために、NVIDIAGPU「A100」を1万枚購入しました。この時は、米国政府の規制の前であったために、最高性能のGPUを購入することができたのです。

2022年にChatGPTが登場すると、Transformerベースの大規模言語モデル(LLM)の時代になったことを察知します。しかし、LLMをすぐに相場に応用するのは難しいと判断をしました。そこで、まずは自社のLLMを開発し、研究をする必要があると考え、2023年4月に幻方科技とは別にDeepSeekを起業し、LLMの開発を行いました。これがDeepSeekとなり、その後の経緯はみなさんよくご存知のことだと思います。

 

つまり、梁文鋒の特徴は、AIプロパーの研究者ではなく、応用面から逆算をしてLLMを開発しているということです。当然、コスト管理などには注目をすることになり、集めたメンバーが優秀すぎて、期待以上の成果が出てしまったということのようです。梁文鋒ご本人も、DeepSeekへの反響は驚いたというようなことを語っています。

梁文鋒は浙江省杭州市にある浙江大学の出身であるので、そのまま杭州市にとどまって起業をしたのは自然なこととも言えます。浙江大学を通じた人脈もできていたはずです。杭州市には、浙江大学というトップクラスの大学があったということも大きなポイントでした。

 

その他の6匹の小龍の創業者たちは、なぜ杭州で起業をしたのでしょうか。残りの5社についてご紹介をし、そして、杭州市がどのような施策でイノベーション都市に育てていったのかをご紹介します。

 

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先月、発行したのは、以下のメルマガです。

vol.266:厳しいゲーム規制は効果があがったのか。子どもたちの生活とゲーム産業に与えた影響

vol.267:DeepSeekショックの本質とはなにか。「米中」ではない、ほんとうの対立軸とは

vol.268:5%成長の中国の景気はほんとうに悪いのか。中国にいる景気のいい人と景気の悪い人

vol.269:ドミノピザの奇跡。四半世紀鳴かず飛ばずだったのに、なぜ突然黒字化が可能になったのか

 

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