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若者化する高齢者と高齢者化する若者。コミュニティ食堂で生まれている若者と高齢者の新たな接点

地方政府が高齢者の食事対策として設置を進めているコミュニティ食堂を、若者も利用するようになり、そこで若者と高齢者の接点が生まれている。高齢者の消費嗜好も若者化をしており、若者と高齢者の消費行動がシンクロし始めていると中国改革報が報じた。

 

コミュニティ食堂が高齢者と若者の接点に

若者の消費傾向と高齢者の消費傾向が同調をする現象が起こり始めている。その接点の場所となっているのがコミュニティ食堂だ。北京市長春市などの都市では、政府がコミュニティ食堂の設置を始めている。高齢者の食事は万国共通の問題だが、配食をするのはコストがかかる。そこで、コミュニティ食堂を設置して、そこで食事をしてもらう。食堂の場所は、公民館などの市政府の施設を利用したり、企業の社員食堂やスーパーのイートインコーナーなどを提供してもらう。市政府からの補助金を入れることにより、格安で食事が提供できるというものだ。

このようなコミュニティ食堂を設置することで、高齢者にとっては運動にもなり、他の知り合いと顔を合わす機会も生まれる。歩いてこられない健康状態の人には、介護施設に入ってもらったり、配食サービスを行う。

▲高齢者の食事問題を解決するために生まれたコミュニティ食堂だが、安くて安心できる食材を使っていることから若者が利用することが目立つようになっている。

 

高齢者は若者に助けられる、若者も高齢者に癒される

このようなコミュニティ食堂は、通常の飲食店の半額程度15元ほどで食事ができるようになっている。これに若者たちが目をつけた。安くて暖かくて美味しい食事ができるからだ。コミュニティ食堂では相席があたりまえであるので、高齢者と若者が同じ席で食事をし、自然と交流が生まれている。

特にコミュニティ食堂で目立つのが、「社恐」(シャーコン、社交恐怖症)と呼ばれる若者たちだ。社恐たちは、同世代と交流をして友人をつくらなければならないという意識を持っている。しかし、実際に交流してみると、緊張からおかしな言動をとってしまい、自己嫌悪に陥ってしまうという人たちだ。人とうまく交流したいという意識が強すぎて失敗をしてしまう。

しかし、高齢者たちとであれば、そのような緊張を感じることなく、すんなりと交流できるのだ。高齢者たちも若者と交流する機会は多くはないため、大歓迎をしてくれる。

北京市西城区のコミュニティ食堂に通う大学2年生の靳さんも社恐であることを自認していたが、コミュニティ食堂で高齢者のグループと仲良くなり、高齢者向けの日帰りツアーに申し込みをした。「次々とお菓子などくれ、すごく世話を焼いてくれます。おしゃべりも、今流行しているものの話題が多く、飽きません。高齢者向けのツアーなので、時間的にも余裕があるように組まれているため、ゆっくりと観光地を楽しむことができ、とてもリラックスできました」。

▲コミュニティ食堂は相席が基本。そのため、高齢者と若者が相席になることも多く、そこで接点が生まれている。

 

高齢者に売れるユニクロとスマートウォッチ

高齢者の側でも若者化が進んでいる。高齢者向けの商品を買うのではなく、若者向けに販売されている商品を買う傾向が強くなってきているのだ。

その顕著な例が衣類だ。以前の高齢者は、いかにも高齢者らしい服装をしていたが、今では若者向けのカジュアルウェアを着るようになっている。ユニクロは若者だけでなく、高齢者からも人気のブランドになっている。機能性衣料が進化をしたため、軽くて暖かいという実用性が評価をされている。また、おしゃれを楽しむことに恥ずかしさがあっても、ユニクロだからという言い訳が成り立つため、おしゃれも楽しむことができる。

また、スマートウォッチも高齢者に売れ始めている。若者は、スマートフォンへの通知が手元で見られることや、スポーツアクティビティの記録がつけられるから使うが、高齢者は心拍数や睡眠時間が自動的に記録されることからスマートウォッチを使っている。

逆に、若者が高齢者向け製品を使い始める例もある。ステッキだ。足元がおぼつかなくなる高齢者のために、さまざまなステッキが販売されているが、先に鼎がついていて安定をして突くことができたり、折りたためるなどの実用性が向上している。また、見た目も鮮やかなプリントが施され、デザイン性も向上している。これに目をつけた若者たちが、アウトドアのストックとして購入し始めている。価格も安く、性能もよく、キャンプや低山歩きといったライトなアウトドアにはぴったりだからだ。

▲コミュニティ食堂で高齢者と知り合った若者が、高齢者向けの日帰りツアーに参加をする例が目立つようになっている。高齢者向けのツアーは、日程もゆったりをしているので、若者にとってもリラックスして楽しめる。

 

課金をする割合が多い高齢者ゲーマー

また、カジュアルゲームの世界でも高齢者は重要な消費者群に成長してきている。「中国ゲーム産業報告」(伽馬データ)によると、2024年9月段階で60歳以上のWeChatミニゲームのアクティブユーザー数は1.13億人にもなっている。その多くは、日常使っているSNS「WeChat」の中から簡単に呼び出せるパズル系、落ちもの系のゲームだが、注目すべきは課金率の高さだ。一般的なゲームでは65%前後が無課金ユーザーだが、60歳以上ではわずか33.79%しかいない。6割以上の高齢者がゲームにお金を払ってくれるのだ。ゲームの課金は金額としては大きくないために、気に入ればお金を払ってくれるのだ。

中国で流行するマイクロドラマでも高齢者が重要な消費群になってきている。マイクロドラマは、1話が1分から2分程度で、50話、100話連続するドラマで、多くの場合、「10話まで無料、以降は課金」という仕組みになっている。この分野では、これまで若者が主な視聴者層と考えられ、都市恋愛や愛憎劇といった若者向けのテーマが多かったが、最近では主力の課金視聴者層が40歳から60歳の男性であり、それに次いで60歳以上の男性が多いことが明らかとなり、中年の恋愛や人生をテーマにしたマイクロドラマが増え始めている。

 

シンクロする若者と高齢者の消費嗜好

中国インターネット情報センターが公表した統計によると、60歳以上のEC利用率は69.8%にも達している。健康に問題がある人以外はほぼ全員使ったことがあると考えられる。特に、小家電、健康器具、健康食品、基礎化粧品、宝飾品などの利用が多いという。

若者向けと高齢者向けで商品を変える必要が薄れてきている。必要なのは、若者にも高齢者にも喜んでもらえる世代ユニバーサルデザイン感覚だ。広い世代に使われる商品、サービスが、爆発的な成長はしなくても、安定した売上に結びつく鍵になってきている。

 

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