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オーストラリア戦略政策研究所からの警告。中国の先端技術独占が限界を突破

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今回は、オーストラリア戦略政策研究所のレポートをご紹介します。

 

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI、https://www.aspi.org.au/)は、オーストラリア政府により設立されたシンクタンクで、Critical Technology Tracker(重要テクノロジー追跡)を運営しています。

このASPIが「ASPI’s Critical Technology Tracker:The Global race for future power」(未来の力をめぐるグローバル競争、https://www.aspi.org.au/report/critical-technology-tracker)というレポートを公開しています。特に登録など必要なく、誰でもダウンロードして読むことができます。今回は、このレポートの内容をご紹介します。

 

このレポートの趣旨は、先端技術とされる42の分野で、中国の独占がはっきりとしてきていることを警告するというものです。

すでに、先端技術の世界では国境というものはほぼなくなっていて、「どの国が強い」という見方をすることは意味がなくなっています。その最たるものがAIの世界で、関連論文の中には、米国と中国の研究機関による共同研究のものが多くなっています。

「vol.182:中国のデジタル科学研究は米国にどこまで迫っているのか。論文、人材、特許の量と質から考える」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2023/06/25/080000)でもご紹介しましたが、調査機関マルコポーロの調査によると、米国の機関、企業に所属をするAI関連の高度人材のうち29%が中国の大学出身者でした。ほぼ全員が中国人であると考えられます。これは米国の大学出身者(多くが米国人だと思われる)の20%を大きく超え、最も大きい集団を形成しています。

つまり、AIの分野に関しては、米国の躍進が目覚ましいことは言うまでもありませんが、その研究を担っているのは米国人ではなく、中国人になっているのです。AI分野の中国の高度人材は、中国の大学を卒業した後、米国の大学院に進むことが多く、そのまま米国の研究機関や企業で働くことも多くなっています。その一部が中国に帰国をし、研究機関や企業に就職をしたり、起業をしたります。

このため、以前のドナルド・トランプ大統領は、いわゆるトランプ政権1.0の時に、「中国人留学生は米国の技術を盗んで中国に持ち帰っている」と批判をして、中国人留学生の在留資格を取り消そうとしたことがあります。しかし、これは学界やテック企業から猛反対に会いました。ひとつは、米国のAI研究が大きな打撃を受けてしまうことです。もうひとつは、中国を利することになってしまうことです。本当に留学資格を取り消したら、中国人AI研究者たちはこぞって帰国することになり、中国のAI研究が進んでしまいます。高度人材は中国に返さず、米国の中で米国に貢献してもらった方が国益にかなうのです。

 

AI研究の多くは、成果物がソフトウェアであるため、ネットで簡単に共有をすることができ、議論もオンラインで簡単にできることから、米国と中国の共同研究もごくあたりまえのことになっています。さすがに企業同士は難しい壁がありますが、大学同士では盛んに共同研究が行われるようになっています。もはや、アカデミックな世界では「米国だ、中国だ」と国を分けて考えることがナンセンスになりつつあります。

これは人類にとって、非常に好ましい方向です。私たちは、人種に関係なく同じ人類であり、全人類が幸福に暮らせるように力を合わせていくのが理想です。しかし、現実にはそうはいきません。誰かを犠牲にして幸せになる方が簡単だからです。

コロナ禍以降、世界の経済の歯車がうまく噛み合わなくなり、世界中で保護主義的な感覚が広がっています。余裕がなくなり、自国のことで精一杯で、他国のことなどかまっていられなくなっています。このようなデカップリングが進む中で、特定の国だけ技術が進むことは非常にまずい状況を引き起こします。技術的優位になった国が経済成長をすることにより、富の独占が起こるからです。各国は経済ブロック圏をつくり、他国を排除しようとします。

第二次世界大戦の直前がまさにそのような状態でした。英国を中心にしたスターリングブロック圏、南北アメリカのドルブロック圏、フランスやオランダ、ベルギー、スイスなどで構成されたフランブロック圏、ナチスドイツの生存圏、そして日本の大東亜共栄圏です。それぞれのブロック圏が拡大をしようとして、衝突が起きたことも第2次世界大戦が起きた要因のひとつになっています。

 

このレポートは、先端技術に関するアカデミックな研究の世界で、中国の独占が始まっていることを警告し、自由社会はこれに対抗する手立てを考えなければならないと警告しています。レポートの最後には23の提言をしていますが、誰でも想像できるような提言で、それだけ中国の独走を抑える手立てがなくなりつつあることを感じさせます。

「そんなに先端技術の世界で中国がリードしている?」と思われる方もいるでしょう。このレポートは、産業ではなく、アカデミックな研究分野での独占状態を調査しています。研究分野で強いということは、今すぐ産業に結び付かなくても、5年後、10年後の産業の強さとなって現れてきます。なので、今だったら、中国の独占を抑える時間があるからこそ、レポートで警告をしているわけです。

 

では、先端技術の研究領域で、中国はどの程度、独占状態なのでしょうか。次の図は、このレポートの結果を1枚の表にまとめたものです。

▲レポートの結果の一覧。ほとんどの分野で中国がリード国になっている。赤い部分は、中国と2位の高品質論文のシェアが3倍以上開いていて、独占リスクがきわめて高い分野。

 

42の先端技術研究で、中国がリードしている分野が35分野もあります。米国がリードできているのは7分野にすぎません。

こうおっしゃる方も多いでしょう。「中国の研究者はいい加減で、論文の質は低い。捏造も常に行われている。仲間同士で引用しあって、論文の価値を水増ししている」。そのとおりです。しかし、このようなことは中国だけでなく、どこの国でも行われていることです。研究者も人の子ですから、職を失うのが何よりも怖く、淘汰線上にいる研究者は、正しくないことだと思っても、自分の地位を守ろうとします。

このような避けられない不正行為を排除して、研究者の業績を正確に把握しようとしたものがh-indexです。2005年に物理学者のHirschにより提案をされたためh-index、h指数などと呼ばれます。

h-indexは、研究者の論文の質と量を同時に定量化しようとするものです。基本になるのは論文の引用数です。h回引用された論文をh編書いた場合に、その人のh-indexはhとなると定義されています。

例えば、次のような2人の研究者がいたとします。

A:10回引用される論文を過去に10本書いている。

B:100回引用される論文を過去に1本書いている。

AのH-indexは10となり、BのH-indexは1となります。つまり、質と量の両方を兼ね備えている研究者ほどh-indexが高くなる仕組みです。言い方は失礼かもしれませんが、1本の論文が大量に引用され、それ以外は仕事をしていない一発屋のような研究者はh-indexが高くならない仕組みになっています。

 

また、必ずしも不正とは言えませんが、政治力を活かして、研究者としての評価を高めようとする人もいます。研究機関の中での地位を活かして、部下のチームが行なった研究に、自分は関与をしていないのに論文著者として名前を入れさせるというものです。

このような政治的な業績水増しを排除するために、Critical Technology Trackerでは複数の著者がいる場合は、引用数を均等に配分をします。

このようにしてh-indexを計算し、上位10%の研究者の所属機関をカウントし、国別ランキングをつくっていきます。上位10%に絞るため、仲間内で論文を引用し合うような水増し論文は排除されることになります。中国の大学を卒業し、米国の大学院に留学をした人が論文を書いた場合は米国にカウントされます。

このようにして、ランキングをつくったところ、多くの先端分野で中国が第1位になりました。

今回は、この「ASPI’s Critical Technology Tracker:The Global race for future power」についてご紹介し、どのような独占が起きているのかをご紹介します。

 

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