中国工信部が、ワンペダル方式を禁止する国家標準の案を出し、テスラオーナーから反発を招いている。ワンペダルは安全なのか、危険なのか、工信部とテスラオーナー、さらに専門家まで巻き込んだ議論が起きていると科技Niceが報じた。
テスラのワンペダルモードが禁止になる?
中国工業情報化部は「乗用車ブレーキ系統技術の要求と試験方法」のパブリックコメントを募集している(https://www.miit.gov.cn/jgsj/zbys/qcgy/art/2024/art_c20dfec760b04cad999ac5270f80b61a.html)。このパブリックコメント募集は2回目となり、前回ではテスラが採用しているワンペダルモードが国家標準から取り除かれた。これに対して、主にテスラ所有者から異論が寄せられ、内容を改定した上で、異例の2回目のパブリックコメント募集となった。
踏むとアクセル、放すとブレーキのワンペダル
ワンペダルは、中国ではテスラが持ち込んだ仕組みだが、現在では多くの電気自動車(BEV)がオプションとして採用するようになっている。アクセルを踏むと加速するのは同じだが、アクセルをあげる/放すとブレーキがかかり停止をするというものだ。ブレーキペダルに踏み替える必要がなくなるため、疲れない、わかりやすいと、使用している人が多い。

慣れるまではペダル踏違い事故のリスクも
ところが、ワンペダルを使いこなすには慣れが必要で、慣れるまでの間に操作ミスをして事故を起こしてしまうことがある。問題は、アクセルだけで加速と停止ができるためにブレーキペダルを使わなくなってしまうことだ。運転者の意識からブレーキペダルが消えてしまう。これが問題になる。
運転中、突然子どもが飛び出してきたなどというとっさの瞬間、正しい操作は「ブレーキペダルに踏み替えて急ブレーキをかける」だが、ブレーキペダルの存在が意識から消えている運転者は、「ブレーキを強く踏み込む」という動作だけを体が覚えていて、ワンペダルを強く踏み込んで加速してしまう。これにより、深刻な交通事故を招くことがあった。

テスラオーナーは賢くワンペダルを使っている
この問題を重視した工信部では、国家標準からワンペダルそのものを禁止しようとしたが、テスラオーナーから大きな反発を招いた。その主張によると、慣れれば操作ミスをすることはないし、運転の疲労度がまるで違うというのだ。
安全に運転をしているテスラオーナーは、ワンペダルのみで運転をしているわけではないのだという。通常の走行ではペダルを踏んで加速、緩めて減速をしているが、信号待ちなどで停止をする時は必ずブレーキペダルに踏み替える、あるいは左足でブレーキペダルを踏む習慣づけを行っているという。ワンペダルを放すだけでも停止をすることはできるが、停止をする時はあえてブレーキペダルを踏むことで、ブレーキペダルの存在を意識することになり、とっさの場合でもブレーキペダルを踏んで急ブレーキがかけられることになる。

テスラオーナーはワンペダルの方が安全だと感じている
このため、工信部の修正案では「ワンペダルで完全停止することを禁止、最後はブレーキペダルを使わなければ停止できない」仕様にすることを求め、なおかつ工場出荷時にはワンペダルモードには設定されていないこと、運転者が常にどのモードであるのかがわかるように表示することなどを求めている。
つまり、ワンペダルを禁止するのではなく、運転者が自分で設定をすれば利用できるようにし、なおかつ停止をするにはブレーキペダルを使わなければならないというものに改めた。
この修正案については、賛成をするテスラオーナーもいれば、さらに反発をするオーナーもいて意見が割れている。確かにワンペダルは、とっさの時に踏み間違えを起こすことがあるが、それは運転者がブレーキペダルを使う習慣を身につけることで回避できる。また、それ以外の場面では、ペダルを放すと減速をするため、多くの事故を未然に防ぐことになっている。ワンペダルを使っている人の多くが、ワンペダルの方が安全性が高まっていると感じている。
パブリックコメントを受けて、工信部が最終的にどのような標準に決定するのかが注目されている。
