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拼多多、Temuはなぜ常識外れに安いのか。中国で始まっているBOPビジネスの拡大

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今回は、中国製品の安さの秘密とBOPビジネスの関係についてご紹介します。

 

Temu(テム)やSHEIN(シーイン)、AliExpress(アリエクスプレス)といった中国越境ECに対する風あたりがどんどん強くなっています。このメルマガでも何度か触れましたが、「クレジットカードが不正利用される」「品質のひどいものが販売されている」「韓国では有害物質が検出された」などです。もはや繰り返しませんが、デマと断定をしていいものから、真剣に考えなければならないものまでさまざまです。

カードに関してはデマあるいは勘違いと断定してかまわないことはお伝えしました。低品質については、自分の経験や周囲の経験からはあり得ないと思いますが、それでも「問題のある商品は1つもない」と断言することはできません。有害物質検出の件は、同じ製品が日本でも販売されている可能性があり、アマゾンでも同類と見られる商品が販売されている以上、日本でもすぐに検査をし対処をする必要があります。しかし、公的機関はなかなか動いてくれません。

「SHEIN、Temu、アリエク…商品から“発がん性物質”検出の韓国発表を受け厚労省「情報収集中」」(弁護士JPニュース、https://news.yahoo.co.jp/articles/30f22455451d3cd4a454d9013f00910cb88f1dcd)では、厚生労働省化学物質安全対策室の担当者が「具体的にどの商品から何の物質が検出されたかなど、報道だけではわからない部分もあり、情報を収集しているところです。情報が集まり次第、日本の基準に照らして精査し、検査をするのか、する場合はどの商品を調べるのかなど今後の対応を検討していくことになります」と述べているのですが、有害物質が発見された商品については、韓国ソウル市のウェブサイトで公開されています。

 

https://www.seoul.go.kr/news/news_report.do#view/412765

▲ソウル市が検査した有害物質を含む製品については情報公開が行われている。

 

ところが、この情報公開は不十分で、商品の写真はあるものの、販売業者の名前や商品名、型番のようなデータが記載されていません。外見写真だけから、商品を特定するのは非常に手間がかかるため、ソウル市の方に照会をしている最中なのかもしれません。

いずれにしても、健康に直結する話なので、早く検査をして、問題のある商品に関しては販売停止をするなどの措置をしていただきたいものです。このままでは、消費者は不安の中に置かれ、Temuなどの越境ECにとってもいつまでも疑義がかけられた状態になるため、誰も得をしません。

 

最後の有害物質の件は重視する必要がありますが、カードの問題と品質の問題は「安すぎておかしい、何か裏があるはず」という思い込みに基づいている可能性が高いと思われます。それも無理はありません。今、中国ビジネスの世界では、価格に関して、これまでの常識の覆す大転換が進行中だからです。

これまでにない常識によって価格が決まるため、これまでの常識から見たら「この価格はあり得ない、おかしい」になってしまうのも当然なのです。これは中国人ですら2018年から2019年にかけて通ってきた道です。都市部の住人は、Temuの母体であるソーシャルEC「拼多多」(ピンドードー)の価格を見て、「あまりに安すぎておかしい」と言い、品質に大きな問題があるのではないかとか、労働者を低賃金で酷使させているのではないかとか、場合によっては盗品ではないかとまで言われることもありました。

拼多多は急速に成長をしたため、確かに品質に問題のある製品も混ざっていました。そのような実例がSNSで拡散すると、多くの人が「やっぱり」と得心をし、「だから怖くて拼多多は使えない」と言い、「拼多多は貧乏人のEC」とまでひどいことを言う人までいました。

その結果、現在はどうなったでしょうか。拼多多は2021年に年間ユニーク購入者数は8.69億人となり、タオバオの8.11億人を抜きました(2022年以降、拼多多はユニーク購入者数の発表をしなくなっています。タオバオも2023年以降は公表をやめています)。今では、大都市住人も少し照れながら拼多多を使っていることを隠しません。「だって、便利で安いんだもん」というわけです。

 

この他、中国では激安ビジネスが拡大をしています。レモネードが4元という安さで2万店舗を超えるメガチェーン「蜜雪氷城」(ミーシュエ)、9.9元コーヒーで2万店舗を突破した「瑞幸珈琲」(ラッキンコーヒー)、MUJIの1/5以下の価格で日用雑貨を販売する「名創優品」(ミンチュアン)、3元で定食を出す「南城香」(ナンチャンシャン)、一般的なスーパーの半分の価格のドイツ系スーパー「ALDI」(アルディ)など低価格を売りにする小売業が元気です。しかも、いずれもちゃんと利益を出しているのです。

これは何が起きているかというと、「中国が不況で安いものしか売れない」という追い風もありますが、2019年頃から進み始めた「BOPビジネスの一般化」なのです。

 

BOPビジネスのBOPとはBottom of Pyramid(ピラミッドの底辺)のことで、ありていに言えば貧困ビジネスのことです。最近では、Bottom(底辺)という言い方に差別的なイメージがあるということから、 Base of Pyramid(ピラミッドの基礎層)という言葉が使われるようになっています。

BOPビジネスというと、社会貢献が目的であり利益を求めないものと思われがちですが、それは古い時代の慈善活動の考え方であり、BOPビジネスではきちんと利益追求を行います。利益を出すからこそ、継続をすることができ、社会貢献としても持続可能になるという考え方です。

ただし、その利益を誰が受け取るかについてはさまざまな考え方があります。BOPビジネスとして最も有名なバングラデシュグラミン銀行https://grameenbank.org.bd/)は、貧困層に対する小口融資=マイクロファイナンスをする銀行です。グラミン銀行の融資を受けたい人は、その地域の知り合いで5人のグループをつくり登録をします。同時に融資を受けられるのは、この5人のうちの1人だけなので、グループで話し合いをして、誰がどのような順番で融資を受けるか計画を立てます。返済は5人の連帯責任ではありませんが、返済を支援する義務を負います。

1人で孤独に借金をすると、少額であっても、耐えられなかったり面倒になって貸し倒れになりがちです。しかし、5人が協力し合うことで滞りなく返済をしていくことができ、グラミン銀行の貸し倒れ率は非常に少ないと言われています。このような融資資金を使って、何かの仕事を始め、貧困から脱却してもらうというのがグラミン銀行の目標です。

グラミン銀行は返済率も高いため、利益が出ています。しかも、株主の98%は貧困層から脱却をした市民であるため、利益の多くを貧困脱却のプロジェクトに投資をし、多くの人を貧困から救っています。社会的意義の大きなビジネスで、創立者の経済学者、ムハムド・ユヌス氏は、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。

 

アリババ傘下の金融企業「アントグループ」も同様の網商銀行を運営しています。網商銀行ではアリババが開発をした社会信用スコアシステム「芝麻信用」(ジーマクレジット)を活用して、310方式の貸付を行っています。利用者が融資が必要になった時は、スマホから申込書を書くのに3分、貸付判断は1秒で行われ、人間の介在は0人というものです。あらかじめ、ジーマクレジットに基づいて貸付上限金額が計算されているため、それ以下であれば瞬時に貸付が実行されます。貸付はアリペイで行われるため、銀行に行く必要もなく、電話すらする必要もなく、自分のアリペイ口座に入金をされます。

利用しているのは農家や個人店主がほとんどで、特に自然災害の後、ビニールハウスを補修しなければならない、屋台を修繕しなければならないという時に、瞬時に貸付が実行される網商銀行は多くの人から感謝をされています。

この網商銀行もわずかですが、利益をあげています。この利益は、通常のビジネスと同じように株主であるアントグループの利益となっています。やっていることは社会貢献的ですが、ビジネスモデルはごく普通のビジネスと変わりありません。これも立派なBOPビジネスです。

今、このBOPビジネスがピラミッドの中間層にも広がっているのです。BOPビジネスは、単に対象とする消費者層が異なり、設定される価格が異なっているというだけではありません。さまざまなことを従来とは逆転の発想で考えていかなければならないのです。

先ほど挙げた蜜雪氷城などの例は純粋なBOPビジネスとは呼べませんが、BOPビジネスから多くの手法を取り入れています。その中でもほぼBOPビジネスに近くなっているのが拼多多です。拼多多のどこにBOPビジネスの要素があるのかをご紹介し、中国製品の安さがどこからきているのかを理解していただこうというのが今回の趣旨です。

 

もうひとつ重要なのが、このBOPビジネスが貧困層低所得者層だけでなく、中流層にまで広がっているということです。これが、中国で激安ブランドが続々登場する背景になっています。なお、BOPビジネスが中流層にまで広がっていると言っても「安かろう悪かろう」ではありません。もちろん、高級品質ではありませんが、標準品質は達成しています。この技術力、製造力の向上が、中国でBOPビジネスが広がる背景になっています。

つまり、従来のビジネスモデルで、各プロセスを合理化してコストダウンするというやり方では追いつかなくなっているのです。価格競争になったら、BOPビジネスは圧倒的な競争力があります。例えば、蜜雪氷城やラッキン、コッティが登場したことで、スターバックス中国の24Q2の既存店売上は前年比14%減とかなり深刻な状況になりました。また、個人経営のカフェや小規模チェーンは、厳選した豆を使った高級カフェ以外はほぼ駆逐されていると言ってもいい状況です。

BOPビジネスが中流層に広がると、それまで中流層に地位を築いていた既存小売があっという間に駆逐されるという現象が起こり始めています。

では、既存のビジネスとBOPビジネスは、考え方のどこに違いがあるのでしょうか。この違いを知っておくことが重要です。

今回は、拼多多の成長を振り返り、BOPビジネスの要素をどのように取り入れてきたのかをご紹介し、BOPビジネスとはどのような考え方をするものなのかをご紹介します。

 

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  • 下町バームクーヘン

 




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