ピザハットの業績が悪化をしている。店舗数を増やしても売上高が伸びない。より低価格のサイゼリヤの成長が大きく影響をしている。ピザハットは、低価格業態の「ピザハットWOW」を展開し、サイゼリヤに対抗をしようとしていると界面新聞が報じた。
レストラン業態で広がるピザハット
中国のピザハットは、日本での宅配ピザ業態とは異なり、中国ではピザレストランとして展開をしている。ピザハットは2024年Q1現在で3425店舗を出店していて、マクドナルド(約6300店舗)に次ぐ西洋飲食チェーンとなっているが、客単価は非常に高く、70元以上になる。今、ファストフードは客単価が30元以下のところが大勢で、ピザハットは高級感のあるピザレストランになっている。そのため、デートで使われることが多く、ゆっくりと食事を楽しむ場所になっている。

サイゼリヤに圧迫されるピザハット
しかし、長引く経済低迷により、多くの人が一食に30元以上出すことを躊躇するようになっている。飲食マーケティング企業「紅餐」の統計によると、西洋式ファストフードの9割が客単価40元以下で、20元以下でも6割になる。KFC、マクドナルドなどのファストフードは客単価を30元以下にする競争をし、今ではいかに20元に近づけるかという競争をしている。
その中で、業態が異なるとは言え、突出して客単価の高いピザハットは苦しい戦いを強いられることになった。特に強敵になっているのがサイゼリヤだ。サイゼリヤは、広州市、上海市、北京市に380店舗を展開していて、店舗規模はピザハットの1/10強だが、一線都市(4大都市)の出店数は702店舗と、サイゼリアに追い上げられている。
また、店舗数から単店売上を計算してみると、サイゼリヤはピザハットを2023年に追い抜いている。

値下げをするもサイゼリヤに勝てないピザハット
ピザハットは、2015年頃まではピザレストランという業態が他にはなく独占状態だったが、サイゼリヤというライバルの登場とともに、店舗数を増やしても、売上が伸び悩む状態が続いている。そこにコロナ禍以降の経済低迷とともにサイゼリヤが強みを発揮し、ピザレストランの中心は一気にピザハットからサイゼリヤに移ってしまった。
そのため、ピザハットでは、価格改定は行なわないものの、キャンペーンやクーポンを使ったり、低価格の新メニューを追加するなど、実質的な値下げを行なってきた。その中で、39元のイタリアンミートピザというヒット商品も生まれたが、サイゼリヤの勢いを止めることはできなかった。
低価格業態「ピザハットWOW」で対抗
そこで、ピザハットは低価格新業態に乗り出した。ピザハットWOWで、1号店が広州市の金沙洲永旺夢楽城モールに出店された。広州市はサイゼリヤのホームグラウンドとも言える地域だ。ピザは25元から29元まで、メイン料理も最高で49元だ。サイゼリアのピザは22元から30元、メイン料理は18元から45元であるため、サイゼリアとほぼ同じ価格帯にまで近づけた。
それでいて、ピザハット特有の高級感のあるインテリアを使っている。サイゼリアに行くことに+5元ほど追加することで、落ち着いた環境のあるところでイタリア料理を楽しめるというコンセプトだ。


中国の景気が悪化すればするほど成長するサイゼリヤ
一方、中国でのサイゼリアは強さを発揮している。2020年の新型コロナの感染拡大時にはさすがに売上を落としたが、その落ち込みは他の飲食業に比べて小さい。2022年の再拡大の時期には影響を受けず、売上を伸ばしている。さらに、経済低迷がはっきりとした2023年には、前年比で44.6%も伸びている。サイゼリアは、中国経済が減速をすればするほど来店客数が増える状態になっている。
しかし、サイゼリヤの強みは安さだけではない。展開している店舗はフランチャイズではなく、すべて直営店で、本部の制御が効く状態になっている。現場をよく観察し、来店客の嗜好を見て、そこから逆算してメニューを考え、食材の仕入れを考えるという顧客本位の運営をし、同時にコストを下げることにも成功している。サイゼリヤは、安いだけでなく、顧客体験にも優れているのだ。
ピザハットは、まずは安さでサイゼリヤと肩を並べた。しかし、顧客体験まで肩を並べることができるか。高価格帯レストランが、低価格帯レストランに挑戦をするという面白い状況が起きている。
