
映画『平場の月』の公開初日(2025年11月14日)に、
(本作を鑑賞してすぐに)レビューを書いた。
その時に、挿入歌の「メイン・テーマ」や、
この曲を歌っている薬師丸ひろ子についても、
何か語りたいと思っていたのだが、
長くなりそうだったので、そのときは触れずにレビューを終えた。
それが少し心残りだったのだが、
今日、ちょっと時間ができたので、
思いつくままに何か書いておこうかという気になった。
映画『平場の月』では、挿入歌として、
薬師丸ひろ子の「メイン・テーマ」が実に効果的に何度も使われている。
映画の冒頭で青砥健将(堺雅人)が自転車に乗って鼻歌で歌い、
居酒屋では須藤葉子(井川遥)が店のBGMに合わせて歌い、
映画のラストで青砥が号泣するシーンでもこの曲が流れる。
「メイン・テーマ」は、
薬師丸ひろ子が出演した角川映画『メイン・テーマ』の主題歌で、
薬師丸ひろ子の通算3枚目のシングル曲。
累計51.2万枚のセールスを記録した。
かつて、私は、
「薬師丸ひろ子コンサート2018」(大阪)に行ったときのレポで、
極私的にいちばん好きな曲は、「メイン・テーマ」。
この曲のイントロを聴くだけで、胸がキュンとなる。
もちろん、歌ってくれました。
と書いたように、
「いちばん好きな曲」であるし、
「イントロを聴くだけで、胸がキュンとなる」曲でもあるので、
(そういう意味では)本作『平場の月』を鑑賞中は、
キュンキュンさせられっぱなしだったのである。
映画『メイン・テーマ』についても少し触れておこう。
2018年4月に、
「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」に行ったとき、
『メイン・テーマ』を(何度目かの)鑑賞したときのレポを引用する。
映画『メイン・テーマ』(1984年)

森田芳光が脚本と監督を務め、
薬師丸ひろ子が主演を果たした映画。
相手役の野村宏伸はオーディションで選ばれた新人だった。
映画と同題の主題歌が大ヒットしたことでも知られている。
小笠原しぶき(薬師丸ひろ子)は、
彼の車で旅に出ることにした。
しぶきの目的地は大阪、
健の目的地は沖縄だ。
気の合わない二人は、旅の途中で喧嘩ばかり。
浜松で健の叔父のマジックショーがあり、しぶきはその手伝いをする羽目に。
しかし健はショーの間、伊勢雅世子(桃井かおり)というジャズシンガーと会っていた。
雅世子にぞっこんな健を見て、しぶきは嫉妬する。
車は大阪に着き、二人は別れた。
しかししぶきは健のことが気にかかり、姉夫婦が住む沖縄へ旅立っていく。

この映画上映の後も、
行定監督が、
「角川映画の中でも私はこの作品が一番好きだ」
と語るほどイチオシの映画だそうで、
尊敬する森田芳光監督のウィットに富んだ演出と、
薬師丸ひろ子の“永遠の輝き”とも言うべき美しさが堪能できる作品とのこと。

薬師丸ひろ子の主演作というと、
アイドル映画のようなイメージを持つ人が多いと思うが、
実際はかなり違っている。
『セーラー服と機関銃』で相米慎二監督がやったことと同じように、
森田芳光監督も『メイン・テーマ』で、かなりハチャメチャなことをやっている。
「でも、素晴らしい映画」なのだ。
薬師丸ひろ子自身も、後ろの方の席で映画を見ていたそうで、
「こんな映画だったんですね」
「太田裕美さんは、私のお姉さんの役だったのですね!」
と観客の笑いを誘う。
「当時はすごい人気でしたよね」
との質問に、
撮影現場では、「クズだ」「ゴミだ」「チリだ」と罵倒され続けていたので、自分としては人気があるということがリアルには感じられなかった。ファンの方々が私に抱くイメージと、自分が自身に抱くイメージがかけ離れ過ぎていたように思う。もっと浮かれても良かったのかな?
と答えていた。
映画『メイン・テーマ』については、
篠山紀信さんから、
「本当に素晴らしい作品。この映画がどんなにすごい映画か、判っている?」
と訊かれたことがある。
とか。
また、共演した桃井かおりが、なぜ『メイン・テーマ』に出演したかというと、
「森田芳光監督はすごい監督だから、ぜひ出演してみたら」
と言われたことで、出演を決めたそうです。
など、いろんな話を次々に披露してくれた。
「僕たちの中の青春映画」というテーマで、
こちらの話も面白かった。(写真・熊本日日新聞の記事より)

もともと薬師丸ひろ子は私の好きな女優であり歌手であり、
出演している多くの映画も見ているし、
佐賀(鳥栖)で行われたコンサートも行っている。
“薬師丸”という性は、佐賀がルーツのようで、

『フォトメモワール』という本で、薬師丸ひろ子自身が、
「いまは別の地名になっているそうだけど、佐賀県に薬師丸という村があったと聞いています」
と語っている。
そこで、私は、その薬師丸村を探しに行って、レポも書いている。(笑)
かように私と薬師丸ひろ子は縁があり、(コラコラ)
「メイン・テーマ」という曲も思い出があったのである。

映画『平場の月』のラスト、
店内に「メイン・テーマ」が流れたことで、
青砥(堺雅人)が須藤(井川遥)を思い出し号泣するシーンがあるのだが、
この時、焼鳥屋の大将(塩見三省)が曲の音量を上げる場面があって、
(感動を煽るようで)〈これはさすがに野暮なシーンかな?〉
と思ったのだが、時間が経って考えると、
〈大将は、青砥の泣き声を消すために音量を上げたのかな? あれは大将の優しさだったのかも……〉
と思い直した。
「メイン・テーマ」の歌詞に、
20年も生きて来たのにね
とあるが、
70年以上生きて来たのに、
私は何もわかっていないことにあらためて気づき、驚く。(爆)
機会があればもう一度鑑賞したい。