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人生の一日(29) ……そうつぶやかないですむように……

 

以下に掲載するのは、

翻訳家・向井和美さんが所属する読書会の、

1987年から2022年にかけての課題本リストだ。

 

1987年

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』1~3

1988年

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』4~10

1989年

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』11~13

ロマン・ロランジャン・クリストフ』1~2

1990年

ロマン・ロランジャン・クリストフ』3~4

1991年

ヴェルコール『海の沈黙・星への歩み』

ジッド『狭き門』

ジッド『田園交響楽

ラファイエット夫人クレーヴの奥方

サン=テグジュペリ『夜間飛行』

サン=テグジュペリ『人間の土地』

1992年

モーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』

アゴタ・クリストフ悪童日記

ルナアル『にんじん』

1993年

メリメ『カルメン

デュマ・フィス『椿姫』

マルセル・プルースト失われた時を求めて1』

1994年

マルセル・プルースト失われた時を求めて2』

コレット青い麦

ジョルジョ・サンド『愛の妖精』

ルソー『孤独な夢想者の散歩』

アナトール・フランス『少年少女』

1995年

オースティン『自負と偏見』上・下

テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の列車』

ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック

ヴォルテールカンディード

サルトル『水いらず』

チェーホフ『可愛い女・犬を連れた奥さん 他一編』

1996年

ドストエフスキー貧しき人びと

ドストエフスキー『白夜』

ドストエフスキー死の家の記録

ドストエフスキー『虐げられた人びと』

ドストエフスキー地下室の手記

ドストエフスキー罪と罰』上・下

ドストエフスキー『賭博者』

1997年

ドストエフスキー『白痴』上・下

ドストエフスキー『悪霊』上・下

ニーチェツァラトゥストラ』上・下

1998年

ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟』上・中・下

サファイア『プッシュ』

モーパッサン『脂肪の塊・テリエ館』

モーパッサンモーパッサン短編集1』

1999年

モーパッサンモーパッサン短編集2』

トーマス・マン『ブッデンブローク家の人々』

カミュ『ペスト』

カミュ『革命か反抗か』

カミュ『転落・追放と王国』

ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会

ラディゲ『肉体と悪魔』

2000年

コンスタン『アドルフ』

モリエール守銭奴

モリエールドン・ジュアン

モリエール『人間ぎらい』

ドリス・グランバック『静けさと沈黙のなかで』

バルザック『知られざる傑作 他五編』

バルザックゴリオ爺さん

作者不詳『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』

バルザック『従妹ベット』上・下

2001年

チェーホフ桜の園・三人姉妹』

チェーホフ『かもめ』

チェーホフ『ワーニャ伯父さん』

ツルゲーネフ『はつ恋』

バルザック『幻滅』上・下

フランソワーズ・サガン『逃げ道』

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』

2002年

ミラン・クンデラ『不滅』

ゾラ『居酒屋』

ゾラ『ナナ』

ジャン・ジュネ泥棒日記

2003年

マルグリット・デュラスモデラート・カンタービレ

トルストイ『イワン・イリッチの死』

トルストイ『人はなんで生きるか』

トルストイ幼年時代

トルストイ『少年時代』

トルストイ『青年時代』

トルストイアンナ・カレーニナ』上・中・下

トルストイ『クロイツェル・ソナタ 悪魔』

2004年

トルストイ『光あるうちに光の中を歩め』

トルストイ『人生論』

トルストイ戦争と平和』1~4

トルストイ『復活』上

2005年

トルストイ『復活』下

プーシキンスペードの女王・ベールキン物語』

プーシキン『オネーギン』

ゴーゴリ『外套・鼻』

ゴーゴリ狂人日記 他二編』

『フランス短篇傑作選』

2006年

マルモンテル『インカ帝国の滅亡』

ツルゲーネフ『父と子』

プーシキン『大尉の娘』

アナトール・フランスシルヴェストル・ボナールの罪』

ラクロ『危険な関係』上・下

バルザック『あら皮』

ゲーテファウスト』第一部

2007年

ゲーテファウスト』第二部

ゲーテ『若きウェルテルの悩み』

ヘルマン・ヘッセ『青春は美わし』

ヘルマン・ヘッセデミアン

ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』

ヘルマン・ヘッセ春の嵐

ヘルマン・ヘッセ荒野のおおかみ

ヘルマン・ヘッセ『知と愛』

バルザック『知られざる傑作 他五編』

バルザック『「絶対」の探求』

ボリス・ヴィアン『日々の泡』

2008年

サン=テグジュペリ星の王子さま

ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊』

フローベール感情教育』上・下

ヴィクトル・ユゴーレ・ミゼラブル1~3』

トルストイトルストイ民話集 イワンのばか 他八編』

マルセル・プルースト失われた時を求めて』1~2

2009年

マルセル・プルースト失われた時を求めて』3~6

2010年

マルセル・プルースト失われた時を求めて』7~11

2011年

マルセル・プルースト失われた時を求めて』12~13

コレット青い麦

サルトル『嘔吐』

トーマス・マン『トーニオ・クレーガー 他一編』

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』

北杜夫『夜と霧の隅で』

クリスチャン・ガイイ『風にそよぐ草』

2012年

クリスチャン・ガイイ『ある夜、クラブで』

カート・ヴァネガット『母なる夜』

カート・ヴァネガット『スローターハウス5

レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』

ドン・ウィンズロウ『犬の力』

ライマン・フランク・ボームオズの魔法使い

G・ガルシア=マルケス予告された殺人の記録

2013年

ドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』

イレーヌ・ネミロフスキー『フランス組曲

モーパッサン『ベラミ』

ユベール・マンガレリ『おわりの雪』

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』1~4

2014年

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』5~9

2015年

ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』10~13

フランソワーズ・エリチエ『人生の塩』

ジョン・ウィリアムズストーナー

グレアム・グリーン『情事の終り』

エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』

ミシェル・ウエルベック服従

2016年

リルケ『マルテの手記』

アラン=フルニエ『グラン・モーヌ』

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』

ディケンズ二都物語

アン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』

ロマン・ロラン『ピエールとリュース』

2017年

トーマス・マン魔の山』上・下

メアリー・シェリー『フランケンシュタイン

ラディゲ『肉体の悪魔

ガストン・ルルーオペラ座の怪人

ユゴーノートル=ダム・ド・パリ』上・下

2018年

キャスリン・ストケット『ヘルプ̶̶心がつなぐストーリー』上・下

ゴールズワージー『林檎の樹』

マーク・トウェインハックルベリー・フィンの冒けん』

マーク・トウェイン『人間とは何か』

フォークナー『八月の光

ハーパー・リーアラバマ物語

ロバート・L・スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏

シェークスピアリア王

2019年

シェークスピアハムレット

シェークスピアマクベス

シェークスピア『オセロー』

モーリアック『テレーズ・デスケルウ』

モーム『人間の絆』上・下

コレットシェリ

ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』

ヴァージニア・ウルフ灯台へ

ジャイムズ『ねじの回転』

2020年

ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』

ラファイエット夫人クレーヴの奥方

コンスタン『アドルフ』

カミュ『ペスト』

ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会

モーム『月と六ペンス』

ヘミングウェイ老人と海

サマセット・モーム『英国諜報員アシュンデン』

ヘミングウェイ武器よさらば』上・下

ヘミングウェイ『移動祝祭日』

2021年

ヘミングウェイ誰がために鐘は鳴る』上・下

フィッツジェラルドグレート・ギャツビー

アチェベ『崩れゆく絆』

カズオ・イシグロ日の名残り

カズオ・イシグロ浮世の画家

カズオ・イシグロわたしたちが孤児だったころ

ジッド『狭き門』

チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』上・下

レールモントフ『現代の英雄』

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』

アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』

2022年

フランソワーズ・サガン『打ちのめされた心は』

ネルヴァル『火の娘たち』

ギッシング『ヘンリー・ライクロフトの私記』

J・M・クッツェー『鉄の時代』

(向井和美著『読書会という幸福』より)

 

この課題本リストを眺めるだけで、

脆弱な私など圧倒されてしまうのだが、

コツコツ読み続ければこれだけのものを読めてしまうという事実に、

勇気づけられもする。

 

この読書会は、「『チボー家の人々』を読む」という市民講座が出発点で、

本の途中で講座が終了した後も、有志が自主的に集まって最後まで読み続け、

その後もフランス文学を中心とする外国文学の翻訳書を読んできたそうだ。

 

わたしが参加している読書会では、毎月1冊ずつ(長編は複数回に分けて)、おもに外国文学の古典作品を読んでいる。古典文学を選ぶのは、個人ではなかなか読む機会がないからだ。ひとりでは読みにくいものこそ、読書会で取りあげる価値がある。ドストエフスキートルストイバルザックトーマス・マンなど、いつかは読もうと思っていても日常の忙しさにかまけてつい先送りにしてしまい、気づくとすでに50代になっていたりするものだ。

何度でも言いたいのだが、読書会の利点はまずなんといっても、自分では手を出さないような本や途中で挫折しそうな本でも、みなで読めばいつのまにか読めてしまうことだ。

 

向井さんは「気づくとすでに50代になっていた」と書いているが、

私は「気づくとすでに70代になっていた」のである。(笑)

 

課題本リストを作った向井和美さんは、

このリストを眺めるだけでも達成感でにんまりしてしまうそうで、

本の好きな人と会うときにこのリストを持参して自慢げに見せるそうだ。

すると相手は「おお、すごいですね!」と感嘆してくれるとか。

ある人などは、リストをじっと眺めてから、

「ぼくはこのほとんどを読まずに死ぬのか……」

とつぶやいたそうだ。

この言葉は私の胸に刺さった。

私もこの課題本リストを見せられたら、

そうつぶやいてしまいそうな気がしたからだ。

以来、そうつぶやかないですむように、

今日も世界の古典文学を読み続けている。

 

※私の“一人読書会”では『アンナ・カレーニナ』を読了したので、

次は(同じトルストイの)『戦争と平和』に取り掛かろうと思います。

 




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