
以下に掲載するのは、
翻訳家・向井和美さんが所属する読書会の、
1987年から2022年にかけての課題本リストだ。

1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
ヴェルコール『海の沈黙・星への歩み』
ジッド『狭き門』
ジッド『田園交響楽』
サン=テグジュペリ『夜間飛行』
サン=テグジュペリ『人間の土地』
1992年
モーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』
ルナアル『にんじん』
1993年
メリメ『カルメン』
デュマ・フィス『椿姫』
1994年
ジョルジョ・サンド『愛の妖精』
ルソー『孤独な夢想者の散歩』
アナトール・フランス『少年少女』
1995年
オースティン『自負と偏見』上・下
テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の列車』
ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』
サルトル『水いらず』
チェーホフ『可愛い女・犬を連れた奥さん 他一編』
1996年
ドストエフスキー『白夜』
ドストエフスキー『虐げられた人びと』
ドストエフスキー『賭博者』
1997年
ドストエフスキー『白痴』上・下
ドストエフスキー『悪霊』上・下
1998年
サファイア『プッシュ』
モーパッサン『脂肪の塊・テリエ館』
1999年
トーマス・マン『ブッデンブローク家の人々』
カミュ『ペスト』
カミュ『革命か反抗か』
カミュ『転落・追放と王国』
ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』
ラディゲ『肉体と悪魔』
2000年
コンスタン『アドルフ』
モリエール『人間ぎらい』
ドリス・グランバック『静けさと沈黙のなかで』
バルザック『知られざる傑作 他五編』
作者不詳『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』
バルザック『従妹ベット』上・下
2001年
チェーホフ『かもめ』
チェーホフ『ワーニャ伯父さん』
ツルゲーネフ『はつ恋』
バルザック『幻滅』上・下
フランソワーズ・サガン『逃げ道』
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
2002年
ミラン・クンデラ『不滅』
ゾラ『居酒屋』
ゾラ『ナナ』
2003年
トルストイ『イワン・イリッチの死』
トルストイ『人はなんで生きるか』
トルストイ『少年時代』
トルストイ『青年時代』
2004年
トルストイ『光あるうちに光の中を歩め』
トルストイ『人生論』
トルストイ『復活』上
2005年
トルストイ『復活』下
プーシキン『オネーギン』
ゴーゴリ『外套・鼻』
『フランス短篇傑作選』
2006年
マルモンテル『インカ帝国の滅亡』
ツルゲーネフ『父と子』
プーシキン『大尉の娘』
アナトール・フランス『シルヴェストル・ボナールの罪』
バルザック『あら皮』
2007年
ゲーテ『若きウェルテルの悩み』
ヘルマン・ヘッセ『青春は美わし』
ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』
ヘルマン・ヘッセ『知と愛』
バルザック『知られざる傑作 他五編』
バルザック『「絶対」の探求』
ボリス・ヴィアン『日々の泡』
2008年
ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊』
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』1~2
2009年
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』3~6
2010年
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』7~11
2011年
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』12~13
サルトル『嘔吐』
トーマス・マン『トーニオ・クレーガー 他一編』
ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』
北杜夫『夜と霧の隅で』
クリスチャン・ガイイ『風にそよぐ草』
2012年
クリスチャン・ガイイ『ある夜、クラブで』
カート・ヴァネガット『母なる夜』
カート・ヴァネガット『スローターハウス5』
レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』
ドン・ウィンズロウ『犬の力』
2013年
ドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』
イレーヌ・ネミロフスキー『フランス組曲』
モーパッサン『ベラミ』
ユベール・マンガレリ『おわりの雪』
2014年
2015年
フランソワーズ・エリチエ『人生の塩』
グレアム・グリーン『情事の終り』
エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』
2016年
リルケ『マルテの手記』
アラン=フルニエ『グラン・モーヌ』
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』
アン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』
ロマン・ロラン『ピエールとリュース』
2017年
メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』
ラディゲ『肉体の悪魔』
ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』上・下
2018年
キャスリン・ストケット『ヘルプ̶̶心がつなぐストーリー』上・下
ゴールズワージー『林檎の樹』
マーク・トウェイン『人間とは何か』
フォークナー『八月の光』
ロバート・L・スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏』
2019年
シェークスピア『オセロー』
モーリアック『テレーズ・デスケルウ』
モーム『人間の絆』上・下
ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』
ジャイムズ『ねじの回転』
2020年
ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』
コンスタン『アドルフ』
カミュ『ペスト』
ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』
モーム『月と六ペンス』
サマセット・モーム『英国諜報員アシュンデン』
ヘミングウェイ『移動祝祭日』
2021年
アチェベ『崩れゆく絆』
ジッド『狭き門』
チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』上・下
レールモントフ『現代の英雄』
ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』
アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』
2022年
フランソワーズ・サガン『打ちのめされた心は』
ネルヴァル『火の娘たち』
ギッシング『ヘンリー・ライクロフトの私記』
J・M・クッツェー『鉄の時代』
(向井和美著『読書会という幸福』より)

この課題本リストを眺めるだけで、
脆弱な私など圧倒されてしまうのだが、
コツコツ読み続ければこれだけのものを読めてしまうという事実に、
勇気づけられもする。

この読書会は、「『チボー家の人々』を読む」という市民講座が出発点で、
本の途中で講座が終了した後も、有志が自主的に集まって最後まで読み続け、
その後もフランス文学を中心とする外国文学の翻訳書を読んできたそうだ。
わたしが参加している読書会では、毎月1冊ずつ(長編は複数回に分けて)、おもに外国文学の古典作品を読んでいる。古典文学を選ぶのは、個人ではなかなか読む機会がないからだ。ひとりでは読みにくいものこそ、読書会で取りあげる価値がある。ドストエフスキーやトルストイ、バルザック、トーマス・マンなど、いつかは読もうと思っていても日常の忙しさにかまけてつい先送りにしてしまい、気づくとすでに50代になっていたりするものだ。
何度でも言いたいのだが、読書会の利点はまずなんといっても、自分では手を出さないような本や途中で挫折しそうな本でも、みなで読めばいつのまにか読めてしまうことだ。
向井さんは「気づくとすでに50代になっていた」と書いているが、
私は「気づくとすでに70代になっていた」のである。(笑)
課題本リストを作った向井和美さんは、
このリストを眺めるだけでも達成感でにんまりしてしまうそうで、
本の好きな人と会うときにこのリストを持参して自慢げに見せるそうだ。
すると相手は「おお、すごいですね!」と感嘆してくれるとか。
ある人などは、リストをじっと眺めてから、
「ぼくはこのほとんどを読まずに死ぬのか……」
とつぶやいたそうだ。
この言葉は私の胸に刺さった。
私もこの課題本リストを見せられたら、
そうつぶやいてしまいそうな気がしたからだ。
以来、そうつぶやかないですむように、
今日も世界の古典文学を読み続けている。

※私の“一人読書会”では『アンナ・カレーニナ』を読了したので、
次は(同じトルストイの)『戦争と平和』に取り掛かろうと思います。
