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『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)(21) ……第3部、第9編、第1~5節……

 

カラマーゾフの兄弟』読了計画の第21回は、

第3部、第9編「予審」の、

 

第1節「官史ペルホーチンの出世のはじまり」

第2節「パニック」

第3節「魂は苦悩のなかを行く 第一の受難」

第4節「第二の受難」

第5節「第三の受難」

を読みたいと思う。

 

 

第3部、第9編、第1節「官史ペルホーチンの出世のはじまり」

 

【要約】

ピョートル・ペルホーチンは、女商人モローゾフの家を訪ね、フェーニャに会い、「ドミートリーは、グルーシェニカを探すといって駆け出していった際、臼のなかから杵をつかみ、戻ってきたときにはもうその杵はなく、代わりに手が血まみれだった」という証言を得た。ドミートリーが駆け出していった先は父親の家以外にありえず、だとしたらそこで何ごとかが起きたに違いない。フェーニャがドミートリーに、「どうして手が血だらけですの?」と訊くと、ドミートリーは、「この血は人間の血だ。たったいま人を殺してきたところだ」と答えたという。まずフョードルの家に行き、何か変わったことが起こってないか確かめようと思ったが、かりに何も起きていなかったら、皮肉屋のフョードルから笑い話にされ、スキャンダルにされてしまう。そのことを恐れたペルホーチンは、先にホフラコーワ夫人を訪ねることにした。もし夫人がドミートリーにお金を貸していなければ、ドミートリーが父親を殺してお金を奪った可能性が高くなる。ペルホーチンがホフラコーワ夫人の自宅を訪ねると、深夜だったということもあって一度は断られたが、「とても重大な用件でうかがいました」と話すと、会ってくれた。そして、夫人から、「あの男にはびた一文お金を貸していません」という証言を得、念のために一筆書いてもらった。ペルホーチンは、「いまからこのまま警察署長のところへ行ってあらいざらい話してきます」と言って、駆け出して行った。この若い役人(ペルホーチン)と、まださほど年をとっていない未亡人(ホフラコーワ夫人)との唐突な出会いが、のちにこの青年の出世の糸口になるのである。(と予告されて第1節は終わる)

 

ペルホーチンは、ドミートリーがピストルを抵当に金を借りた相手である。

第3部、第8編、第5節「突然の決意」の要約の最後に、私は、

「ミーチャが去った後、ミーチャの言動に不安を感じたペルホーチンは、フェーニャの家に行き、扉をノックした」

と書いたが、その続きが、ここに繋がるのである。

 

 

第3部、第9編、第2節「パニック」

 

【要約】

警察署長ミハイル・マカーロフは、退役陸軍中佐で、やもめ暮らしをする好人物だった。だが、仕事の面で格別の能力があるとは言い難く、無教養で、能天気な人物だった。この町に赴任して3年。彼の家にはひんぱんに来客があり、毎日必ず彼の家で食事をとっていた。この夜も、検事のイッポリート・キリーロヴィチ、行政監察医のワルヴィンスキー、予審判事のニコライ・ネリュードフが、まるでしめしあわせたように集っていた。ペルホーチンは警察署長の家に入るなりすっかり面食らってしまった。なぜなら、そこにいた連中が、すでにすべて(フョードル・カラマーゾフがその夜、自宅で殺され、金を奪われたというニュース)を承知していたからである。それは、ペルホーチンがやってくる直前、次のようにして明らかになった。その夜、グリゴーリーの妻マルファは、スメルジャコフの(癲癇からくる激しい)悲鳴で目が覚めた。マルファが大声で夫を呼ぶが、ベッドにはいなかった。探しに行くと木戸のそばで全身血まみれで倒れていた。マルファがフョードルの部屋を窓から覗き込むと、フョードルは床に倒れており、テーブルの上のろうそくが、鮮血と、フョードルの死顔を照らしていた。マルファは裏のマリアの家に駆け込み、マリアが警察署長に知らせるために走り、署長の家にいた全員を驚かせたという訳だ。一同はフョードルの家で現場検証を行った。頭を打ち割られたフョードルは、即死状態だった。凶器と思われる銅製の杵が庭の小道で見つかった。グルーシェニカのために用意されていた3000ルーブルが入った封筒の中は空っぽだった。ペルホーチンから「ドミートリーはピストルに弾を込め、遺書を書いていた」という証言を得たことから、「夜明け前にはきっとピストル自殺するだろう」と推測した一同は、(自殺を阻止し)ドミートリーの身柄を拘束するため、モークロエに急行した。被害者の死体を解剖するためにフョードルの家に残った監察医は、むしろスメルジャコフの容態の方に興味を持っていて、「スメルジャコフは朝までもたない」と言ったことを、検事と予審判事はよく覚えていた。

 

フョードルを殺した「犯人」は誰なのか?

すべての証言や、状況証拠が、

「ドミートリー」を指しているようにも見えるのだが、

はたして真相は……

これより予審が始まる。

 

 

第3部、第9編、第3節「魂は苦悩のなかを行く 第一の受難」

 

【要約】

「ぼくは無罪です! 殺したいと思っていましたが、身に覚えがありません!」とミーチャは叫んだ。彼がこう叫び終わらないうちに、グルーシェニカが飛び出してきて、「わたしのせいで彼が殺したんです。わたしがそれほど彼を苦しめたんです。わたしの責任です。わたしも一緒に裁いてください。わたしも一緒に罰してください。この人となら、たとえ死刑でも受けます!」と叫んだ。予審判事のネリュードフはミーチャを落ち着かせ、「では、あなたは、ご自分の父親であるフョードル・カラマーゾフさんの死については無罪と主張なさるんですね?」と問うた。ミーチャは、「無罪です。もう一人の老人の血にたいしては罪はあります。殺しました。でも、こちらの血のせいで、もう一人の血の責任までとらされるのは苦しい。濡れ衣です」と訴えた。ネリュードフが、「あの老人、下男のグリゴーリーのことでしたら、心配するにはおよびません。彼は生きているんです」と言うと、ミーチャは、「生きてるんですって? それじゃ、彼はいきているんですね!」と言って、神に感謝し、三度十字をきった。自分がもう人殺しではないことを知ったミーチャは、一瞬のうちに人が変わったようになり、「ネリュードフさん、これからはこちらがあなたを助ける番ですよ。ぼくは生き返りました」と明るく笑いながら言い、そして、「これからぼくの心のうちをすべて、あなた方に打ち明けます。すべて吐き出します。すべてにけりをつけましょう」と言った。尋問が再開された。

 

グリゴーリーが死んでいなかったことを知ったミーチャは、

「自分は人殺しではなかった!」と歓喜した。

そして、「これからはこちらがあなたを助ける番ですよ」と言って、

「犯人捜し」に協力でもするような言動をし、

「すべてを打ち明ける」と宣言する。

だが、次の第4節のタイトルは「第二の受難」であり、

第5節のタイトルは「第三の受難」なのである。

波乱の予感しかしないのだが……

 

 

第3部、第9編、第4節「第二の受難」

 

【要約】

「ぼくは一昨日の朝、ここの商人サムソーノフさんのところにうかがいました。確実な抵当をかたに、3000ルーブル借りるためです。急な必要に迫られていたんです。急にせっぱつまった事情が生じたんです……」ミーチャがこう言うと、検事は、「どうして急に3000ルーブルが必要になったんです?」と訊いた。すると、ミーチャは、「どうかつまんないことは聞かないでください」と言って、なかなか答えようとしない。検事は、「どうしてあなたがあれほどの大金を、3000ルーブルを必要としたのか、なんとしても知らなくてはならないのです」と言ったので、ミーチャが、「借金を返すためです」と答えると、「だれに、です?」と検事が更に訊いてきたので、ミーチャは、「それだけは、口が裂けても言えません」と拒否した。すると、検事は、「あなたは、出された質問に対して、黙秘する完全な権利をお持ちです。しかし、あなたがなんらかの証言を拒否することによって、あなたご自身がどれほどの不利をこうむることになるか、それをはっきりと説明することも、われわれの仕事の一部なんです」と言ったので、ミーチャは動揺する。尋問の中で、ミーチャは、グルーシェニカへの嫉妬心から、彼女がフョードルの家に出入りするのを見張るための監視場所を裏庭に設置していたことや、だれか人を殺してでも3000ルーブルを手に入れたいと思っていたことや、杵をつかんで走り出たことなどを自供していった。

 

 

第3部、第9編、第5節「第三の受難」

 

【要約】

ミーチャは、重々しい口調で話し出した。実家の塀を飛びこえて、窓際まで近づいていったときの様子、父親にグルーシェニカが来たという合図を送り、窓を開けさせる決心をしたときの様子、窓から顔を突き出した父親を見て憎しみの念がむらむらと湧き起こり、ポケットから思わず杵を取り出したときの様子まで話した。「武器をつかんで……それから、どうしたんです?」と予審検事が訊いてきたので、ミーチャは、「ぼくは窓から飛びのき、塀にむかって走り出しました……親父はびっくりしたような顔をしていました。で、そこではじめてぼくの姿をみとめ、何か大声をあげて、窓から飛びのいたのです。ぼくは庭を走りぬけ、塀に向かいました……そこで、追っかけてきたグリゴーリーにつかまったのです」と答えた。すると、検事が、「お気づきにならなかったのですか? 窓のそばから走りさるとき、母屋のもういっぽうの端にある、庭に出るドアが開いていたかどうか?」と言ったので、「いいえ、開いてませんでした」とミーチャは答えた。検事たちが駆けつけてきたとき、ドアは開いており、フョードルを殺した犯人は、そのドアから入り、殺害を決行した後、同じそのドアから外に出たのだという。ミーチャは、「そんなはずはない」と言った後、合図を知っているのは自分とスメルジャコフと死んだ父親だけなので、フョードルが合図なしでドアを開けるなんてことはありえないと強調した。「いったい何の合図なんです?」と訊かれたので、ミーチャは正確に包み隠さず供述した。ミーチャとスメルジャコフとフョードルの3人しか知らない合図だとすると、(ミーチャが殺人を否定している現在)スメルジャコフに疑いの目が向けられたが、ミーチャは即座に(そんなことができる男ではないと)否定し、スメルジャコフは現在、癲癇の発作を繰り返して意識不明のままベッドに寝ていることから、疑いは消えた。予審判事は、ミーチャに、「それほどの大金を、いきなりどこから手に入れられたのか」とお金の入手経路を訊いてきた。ミーチャは、その質問に対する答えの中に(自分の)恥辱が隠されているとして、返答を拒否する。しかし、ペルホーチンの自宅に入ったときにいくら持っていたかという質問には、約800ルーブルと答えた。プロトニコフの店での支払いや、ペルホーチンの返済、御者への支払い、賭けに負けた分を含めると、当初1500ルーブルは持っていたことになる。ネリュードフは、衣服をはじめ、もろもろについても詳細かつ厳密に検査する必要があり、義務があると言い、ミーチャに服を脱ぐように告げる。

 

要約の中に「ミーチャは、その質問に対する答えの中に(自分の)恥辱が隠されているとして、返答を拒否する」と書いたが、

ミーチャの戦いを困難にしているものは、「恥辱」の感覚であった。

カテリーナに3000ルーブルを返さずにグルーシェニカと一緒になるくらいなら、

人を殺してでも3000ルーブルを調達してカテリーナに返し、

殺人の罪に復する方がマシだとまで口にする。

常人には理解しがたい論理なのだが、

金を返さない「卑怯者」になることは、

殺人を犯すことよりも「恥」としてミーチャには認知されているのだ。

そのくせ、手に入った金はすぐに使ってしまう。

この「恥辱」に対する独特の感覚は、判事たちを混乱に陥れる。

次回、第6節のタイトルは、「検事はミーチャを追い込んだ」。

ミーチャはどうなってしまうのか……

 




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