
本作『悪い夏』を見たいと思った理由は、5つ。
➀河合優実が出演しているから。

➁伊藤万理華が出演しているから。

③木南晴夏が出演しているから。

④城定秀夫監督作品であるから。

⑤向井康介が脚本を担当しているから。

河合優実につては、ここで何度も書いているので、以下を参照。

※河合優実関連・ブログ「一日の王」掲載記事
映画『サマーフィルムにのって』……本作の欠点を葬り去るほどの伊藤万理華の魅力……
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人生の一日(2023年1月13日)「批判する頭のよさより……」
第9回「一日の王」映画賞・日本映画(2022年公開作品)ベストテン(最優秀助演女優賞)
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(タイトルをクリックするとレビューが読めます)

伊藤万理華とは、
『サマーフィルムにのって』(2021年)で出会い、
……本作の欠点を葬り去るほどの伊藤万理華の魅力……
とのサブタイトルを付して、彼女を絶賛した。(コチラを参照)
その後、
『もっと超越した所へ。』(2022年)
『まなみ100%』(2023年)
を鑑賞し、レビューも書いている。
伊藤万理華の出演作なら見たいと思った。

木南晴夏は私の好きな女優で、
映画がTVドラマのレビューの他にも、
『キナミトパンノホン』という著書のブックレビューも
……パン好き女優と真弓精肉店の揚げサンド……
とのサブタイトルを付して書いている。(コチラを参照)
木南晴夏の出演作なら見逃せないと思った。

城定秀夫監督作品とは、
『アルプススタンドのはしの方』(2020年)監督・編集
で出合い、以降、
『愛なのに』(2022年)監督・脚本・編集
『猫は逃げた』(2022年)脚本
『女子高生に殺されたい』(2022年)監督・脚本
『よだかの片想い』(2022年)脚本
『夜、鳥たちが啼く』(2022年)監督
などを見続けて、レビューも書いている。
城定秀夫監督作品なら「見て損はない」と常日頃思っている。

向井康介が脚本を担当した映画には、
『リアリズムの宿』(2003年)
『リンダリンダリンダ』(2005年)
『松ヶ根乱射事件』(2006年)
『神童』(2006年)
『色即ぜねれいしょん』(2008年)
『マイ・バック・ページ』(2011年)
『ふがいない僕は空を見た』(2012年)
『陽だまりの彼女』(2013年)
『もらとりあむタマ子』(2013年)
『ピース オブ ケイク』(2015年)
『聖の青春』(2016年)
『愚行録』(2017年)
『ある男』(2022年)
『マイ・ブロークン・マリコ』(2022年)
など、優れた作品が多く、
向井康介の脚本ならば「間違いない」と思った。

本作『悪い夏』の原作は、
第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した染井為人の同名小説。

(古い人間の私は、『悪い夏』といえば倉橋由美子の小説を思い出す)

主演は北村匠海。
河合優実、伊藤万理華、木南晴夏の他、
窪田正孝、毎熊克哉、箭内夢菜、竹原ピストルなども出演している。
真面目に生きてきた気弱な公務員が、
破滅へと転落していく姿を描いたサスペンスとのことで、
ワクワクしながら公開初日(2025年3月20日公開)に、
佐賀での上映館である109シネマズ佐賀で鑑賞したのだった。

市役所の生活福祉課に勤める佐々木守(北村匠海)は、
同僚の宮田(伊藤万理華)から、

「職場の先輩・高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」
との相談を受ける。

面倒に思いながらも断りきれず真相究明を手伝うことになった佐々木は、
その当事者である育児放棄寸前のシングルマザー・愛美(河合優実)のもとを訪ねる。

高野との関係を否定する愛美だったが、
実は彼女は裏社会の住人・金本(窪田正孝)と、

その愛人の莉華(箭内夢菜)、

手下の山田(竹原ピストル)とともに、

ある犯罪計画に手を染めようとしていた。

そうとは知らず、愛美に惹かれてしまう佐々木。

生活に困窮し万引きを繰り返す佳澄(木南晴夏)らも巻き込み、

佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まる……

いや~、面白かったですねぇ~
上映時間の114分間、たっぷり楽しませてもらった。
普通、どんな映画でも、中だるみや眠くなるような箇所があるものだが、
本作にはそれがまったくなかった。
河合優実、伊藤万理華、木南晴夏という私の好きな女優たちが、
入れかわり立ちかわりスクリーンに現れるというのもあったが、
サスペンスのみならず、ラブストーリー的な要素もあり、
一瞬たりとも目が離せなかったのだ。

市役所の生活福祉課に勤める佐々木らと、生活保護受給者との関係は、
映画『渇水』(2023年)の、
市役所の水道部に勤め、水道を止める「停水執行」の担当者と、支払いが滞っている人たちとの関係を思わせ、(コチラを参照)
『渇水』の結末が頭をよぎった。
だが、『渇水』のような(変に)ヒューマンドラマにすることもなく、
『悪い夏』の終盤は、佐々木守(北村匠海)のみならず、
宮田(伊藤万理華)や高野(毎熊克哉)の怒りも爆発し、(笑)
ひっちゃかめっちゃかの様相を呈し、
怒涛のラストへとなだれ込んでいく。
それでいて、嫌な感じは残らず、後味が良かった。
実に不思議な映画であった。
育児放棄寸前のシングルマザー・愛美を演じた河合優実。

生きる気力もなく、死んだような目をしている愛美だが、

佐々木から諭されると、
「だったら助けてよ」
と上目づかいに見る愛美(河合優実)のなんと魅力的なことか。
佐々木ならずとも、あんな目で、あんなこと言われたら、
〈もうどうなってもかまわない!〉
と思うのではないだろうか。(笑)
少なくとも、私はそうなる。(爆)

佐々木守(北村匠海)の同僚の宮田を演じた伊藤万理華。

『サマーフィルムにのって』や『もっと超越した所へ。』などを見てきて、
元気一杯な女優というイメージがあったのだが、
本作『悪い夏』の宮田は、
(序盤は)ちょっと大人な、落ち着いた雰囲気があり、

〈こんな感じも新鮮でいいな~〉
と思いながら見ていたら、
終盤に激変し、強烈なキャラクターと化し、
これまでよりも更に過激な伊藤万理華を見ることができた。

生活に困窮し万引きを繰り返す佳澄を演じた木南晴夏。

生活に疲れ切った、絶望の表情。
不幸オーラを纏いながらも、駄々洩れするそこはかとない色気に魅せられる。

佐々木の不誠実な対応に、ある決断を迫られるが、

その決断は、映画『渇水』を思わせた。
〈どうなるのだろう……〉
と、固唾をのんだが、悪くない結末が用意されていた。
さすが城定秀夫監督、
さすが向井康介(脚本)と、私に思わせた。

本作のキャッチコピーは、
「クズとワルしか出てこない! 狂乱のサスペンス・エンターテインメント」とあったが、
私には、それほどのクズとワルは出ていないように思えた。
金本(窪田正孝)も、
その愛人の莉華(箭内夢菜)も、
手下の山田(竹原ピストル)も、
佐々木の職場の先輩・高野(毎熊克哉)も、
善人とは言えなくとも、そこまでの悪人とは思えなかった。

それぞれを演じた窪田正孝、箭内夢菜、竹原ピストル、毎熊克哉の演技も良く、




陰惨な事件を扱っていながらも、笑わせられるシーンもあり、
最後まで楽しく見るとこができた。

なので、私にとっては、
「クズとワルしか出てこない! 狂乱のサスペンス・エンターテインメント」
ではなく、
「クズとワルにならざるを得なかった人々の、狂乱のサスペンス・ラブストーリー」
のようにしか思えなかった。
そう、本作『悪い夏』は、「佐々木と愛美」の、


そして「宮田と〇〇」の究極のラブストーリーであったのだ。

ラストのラスト、
佐々木守(北村匠海)がアパートに帰ると、
中から「おかえり」という声が聞こえたような……
部屋の中には愛美(河合優実)がいてほしいと思った。