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映画『敵』 ……瀧内公美、河合優実が魅力的な吉田大八監督の傑作……




本作『敵』を見たいと思った理由は、三つ。
瀧内公美の出演作であるから。


河合優実の出演作であるから。


③吉田大八監督作品であるから。



瀧内公美は、私の好きな女優で、
『さよなら渓谷』(2013年6月22日公開、監督:大森立嗣)
『日本で一番悪い奴ら』(2016年6月25日公開、監督:白石和彌
彼女の人生は間違いじゃない』(2017年7月15日公開、監督:廣木隆一)主演
ここは退屈迎えに来て』(2018年10月19日公開、監督:廣木隆一
『21世紀の女の子』「Mirror」(2019年2月8日公開、監督:竹内里紗)主演
『火口のふたり』(2019年8月23日公開)主演
『花束みたいな恋をした』(2021年1月29日公開)
『裏アカ』(2021年4月2日公開)主演
『由宇子の天秤』(2021年9月17日公開)主演

などの出演作を見てきて、このブログにレビューも書いている。
瀧内公美の出演作ならぜひ見たい!〉
と私に思わせる数少ない女優である。


河合優実の出演作は、映画だけでも、
『喜劇 愛妻物語』(2020年9月11日公開、監督:足立紳
『サマーフィルムにのって』(2021年8月6日公開、監督:松本壮史)
『由宇子の天秤』(2021年9月17日公開、監督:春本雄二郎)
『ちょっと思い出しただけ』(2022年2月11日公開、監督:松居大悟)
『愛なのに』(2022年2月25日公開、監督:城定秀夫)
『女子高生に殺されたい』(2022年4月1日公開、監督:城定秀夫)
『冬薔薇』(ふゆそうび)(2022年6月3日公開、監督:阪本順治
『PLAN75』(2022年6月17日公開、監督:早川千絵)
『百花』(2022年9月9日公開、監督:川村元気
『線は、僕を描く』(2022年10月21日公開、監督:小泉徳宏
『ある男』(2022年11月18日公開、監督:石川慶)
『少女は卒業しない』(2023年2月23日公開、監督:中川駿)主演
『ひとりぼっちじゃない』(2023年3月10日公開、監督:伊藤ちひろ
『あんのこと』(2024年6月7日公開、監督:入江悠)主演
ナミビアの砂漠』(2024年9月6日、監督:山中瑶子)主演

などを見続けてきて、大好きになったし、
かなり以前より「河合優実」推しを公言してきた。
一般(世間的)には、河合優実は、
TVドラマ「不適切にもほどがある!」(2024年1月26日~3月29日、TBS)
での小川純子役でブレイクしたような印象を持たれているが、
映画ファンの間では、かなり以前より評価され、注目されていたのだ。
瀧内公美と同様に、河合優実の出演作なら見たいと思った。


吉田大八監督作品は、
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007年)監督・脚本
クヒオ大佐』(2009年)監督・脚本
『パーマネント野ばら』(2010年)監督
桐島、部活やめるってよ』(2012年)監督・脚本
『紙の月』(2014年)監督
『美しい星』(2017年)監督・脚本
『羊の木』(2018年2月3日公開)監督
『騙し絵の牙』(2021年3月26日公開)監督・脚本

などを見ており、レビューも少なからず書いている。
〈吉田大八監督作品なら間違いない!〉
と思わせるものが私のなかにあった。


映画『敵』の原作は、1998年1月に刊行した筒井康隆の同名小説。
穏やかな生活を送っていた独居老人の主人公の前に、ある日「敵」が現れる物語を、
モノクロの映像で描いたものだとか。
今年(2025年)の1月17日に公開された作品であるが、
佐賀では(いつものごとく)遅れて公開され、
そのうち見に行こうと思っていたら、
3月20日(木)が公開最終日だという。
で、慌てて上映館であるシアターシエマに駆けつけたのだった。



大学教授の職をリタイアし、妻には先立たれ、
祖父の代から続く日本家屋にひとり暮らす、渡辺儀助(長塚京三)77歳。
毎朝決まった時間に起床し、
料理は自分でつくり、
衣類や使う文房具一つに至るまでを丹念に扱う。
時には気の置けないわずかな友人と酒を酌み交わし、
教え子を招いてディナーも振る舞う。
この生活スタイルで預貯金があと何年持つかを計算しながら、
日常は平和に過ぎていった。
そんな穏やかな時間を過ごす儀助だったが、
ある日、書斎のパソコンの画面に
「敵がやって来る」
と不穏なメッセージが流れてくる……



前半、というよりも序盤は、
77歳の元大学教授の淡々とした日常生活が描かれている。
毎日の料理を自分でつくり、晩酌を楽しむ。


朝起きる時間、食事の内容、食材の買い出し、使う食器、お金の使い方、書斎に並ぶ書籍、
文房具一つに至るまでこだわり、丹念に扱う。
麺類を好み、そばを好んで食す。やきとりも焼いて食べる。


たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずかしい思いもする。
食後には豆を挽いて珈琲を飲む。


モノクロ映像なので、昭和の時代を感じさせる。
使い切ることもできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。
親族や友人たちとは疎遠になったが、
元教え子の椛島松尾諭)は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理なども手伝ってくれるし、


時に同じく元教え子の鷹司靖子(瀧内公美)を招いてディナーを振る舞う。


後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの湯島(松尾貴史)と酒を飲む。


そこで出会ったフランス文学を専攻する大学生・菅井歩美(河合優実)に会うためでもある。


できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、
異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、
密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、


人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、
パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
ここまでが序盤。


これ以降は、現実なのか夢なのか妄想なのか判らなくなる。
私は、個人的に、儀助には認知症の症状が出始めたとみた。
ようするに「まだらボケ」状態。
私の父親は80歳の頃から認知症の症状が出て、90歳で亡くなったのだが、
認知症の症状が出始めた「まだらボケ」状態の頃が一番やっかいだった。
まだ介護は必要としないし、自分のことは自分で出来るのだが、
時折おかしな事を言い出し、
「自分のお金を誰かが狙っている」とか、
「我が家の敷地内に隣の家の土地が侵略している」とか、
被害妄想的な言動が増えてくる。
まさに、「敵」が自分を狙っていて、
「襲って来るのではないか……」と恐れ心配している状態。



原作者の筒井康隆が『敵』(1998年1月刊)を刊行したときは、
彼自身はまだ64歳だったし、前期高齢者にもなっていない年齢であった。
なので、77歳の儀助の「老い」のリアルはまだ解ってはいなかったのではないかと思われる。
映画化にあたって、筒井康隆は、「痴呆老人の映画にはしないでくれ」と言ったそうだが、
儀助の症状は、痴呆老人にはなっていないが、
(介護経験のある70歳の私から見ると)どうみても「まだらボケ」の状態である。



「まだらボケ」の状態のときには、
それまで真面目だった人が、急に「好色」になったりする(人もいる)ので、
儀助と、元教え子の鷹司靖子(瀧内公美)の(2回目以降の)色っぽいやりとりも、
儀助の脳内での出来事と思われる。
それにしても、靖子を演じた瀧内公美の何と妖艶なことか!


「私としたいんですか?」とか言われて、肯定する儀助も可笑しいが、
終電に間に合うように「15分間で」と言う靖子も可笑しい。



儀助と、フランス文学を専攻する大学生・菅井歩美(河合優実)とのやりとりも、
2回目以降は、儀助の脳内の出来事だと思われる。


それにしても、歩美を演じた河合優実も何と魅力的なことか!


「私、先生に教わりたかったわ」と(しれ~と)言う歩美も可笑しいが、
金に困っていそうな歩美に、「ぼくに何かできることはないかい?」と言って、
300万円も貸す儀助も可笑しい。(結局、持ち逃げされるのだが……)
フランス文学を専攻する大学生なのに、歩美は、
「フランス文学はあまり読んでいないんです」と言いながら、
「何か(料理を)作ってあげようか?」
と儀助が言うと、
「『失われた時を求めて』に出てくる料理を食べたいわ」
と言うのも可笑しい。
私も死ぬまでには『失われた時を求めて』を全巻読了したい。



いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、
意識が白濁し始め、やがて夢の中にも、
(20年前に亡くなった)妻・信子(黒沢あすか)が頻繁に登場するようになり、


鷹司靖子(瀧内公美)に嫉妬するのも可笑しい。


信子を演じる黒沢あすかも好い。



吉田大八監督が当て書きしたというだけあって、
渡辺儀助を演じた長塚京三も素晴らしい。


長塚京三は1945年7月6日生まれなので、79歳。(2025年3月現在)
かろうじて私と同じ70代。(今年の夏まで)
以前は、若い女の子に好かれるモテ中年役が多かった印象。
『恋と花火と観覧車』(1997年)はかなり好きな映画であった。(松嶋菜々子が美しい!)
本作『敵』では、「老醜を晒す」とまではいかないが、
以前なら考えられないような際どいシーンにまで挑んでいる。
キャリアの割に、映画出演は少なく、(TVドラマで多く活躍していた)
映画の代表作もすぐには浮かばない。(『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』あたりか)
『敵』が(「新たな」と言うより「真」の)長塚京三の代表作となることだろう。



本作『敵』は、
見る人の年代(10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代)で、
印象が随分と違ってくるのではないかと思った。
70代の私は、「今そこにある危機」として鑑賞した。(笑)
私にも「敵」が見えたら、このブログですぐにでも報告しようと思う。(爆)



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