
長年、映画を見てきているので、
好きになった女優は多い。
ジワジワ好きになることもあるが、
私の場合、一目惚れが多く、(コラコラ)
「熱しやすく冷めにくい」という性格が災いして、
好きな女優は増えていく一方なのである。
昔は、サユリストやコマキストなど、(死語?)
“その人のファンひとすじ”という人が多かったと思うが、
私はそうではなく、“目移り型”もしくは“蓄積型“なので、
メリル・ストリープ、キーラ・ナイトレイ、エル・ファニング、ソン・イェジンなど、
外国映画の女優を含めると、(数えてみたことはないが)かなりの人数になると思う。
これが女優ではなく、普通の一般女性であったならば、
「浮気だ!」「不倫だ!」と、大問題になるところであるが、
映画の世界のことなので、大事(おおごと)にならずに済んでいる。(笑)
日本の女優だけでも、(思いつくままに列記してみる)
小松菜奈、広瀬すず、モトーラ世理奈、石井杏奈、石橋静河、平手友梨奈、蒼井優、黒木華、長澤まさみ、有村架純、満島ひかり、仲里依紗、二階堂ふみ、広末涼子、松たか子、瀧内公美、門脇麦、木村文乃、唐田えりか、沢尻エリカ、朝倉あき、榮倉奈々、夏川結衣、安藤サクラ、夏帆、小西真奈美、小雪、薬師丸ひろ子、麻生久美子などの出演作は、
なるべく見るようにしているし、
主演作は必ず見るようにしている。
そんな(私の好きな)女優の一人に、清原果耶もいる。
私が初めて清原果耶を素晴らしい女優として認知したのは、
映画『3月のライオン』(前編:2017年3月18日、後編:同年4月22日公開)においてであった。
その後編のレビューで、私は次のように記している。
『3月のライオン 後編』を見て、
前編ではそれほど良さに気づかなかったが、
後編を見て、その魅力に気づかされた女優がいる。
川本ひなたを演じた清原果耶である。

どこかで見た女優……と思っていたが、
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年12月17日公開)という映画で、
ヒロイン・小松菜奈が演じる福寿愛美の中学生時代を演じていたのを思い出した。

(中略)
若手女優では、今、
広瀬すず、石井杏奈、小松菜奈に注目しているが、
その中に清原果耶も加わった感じだ。
私(の個人的見解)としては、『3月のライオン』は、
清原果耶が出演していた作品、
清原果耶と出逢った作品として記憶されるであろう。

その後に観た清原果耶が主演したNHKドラマ『透明なゆりかご』(2018年7月20日~9月21日)があまりにも素晴らしく、
NHKドラマ『透明なゆりかご』 ……清原果耶の演技力と存在感に圧倒される……
と題し、またまた清原果耶を絶賛する記事を書いた。
その一部を紹介する。
主演は、これがドラマ初主演となる清原果耶。

とにかく、この清原果耶の演技が素晴らしかった。

『透明なゆりかご』というドラマには、
看護助手のアルバイト・青田アオイを演ずる清原果耶の他、
「由比産婦人科」の院長・由比役の瀬戸康史、
看護師長・榊役の原田美枝子、
看護師・紗也子役の水川あさみなどが出演していて、
毎回、ゲスト出演する俳優もいるのだが、

若干16歳の清原果耶は、
それらベテラン俳優たちにまったくひけをとらず、
互角に、いや、それ以上に渡り合い、
毎回、感動させられるのだ。

清原果耶の出演作は、どの作品も感動させられるのだが、
特に印象深かったのが、映画『デイアンドナイト』(2019年1月26日公開)であった。
そのレビューで、私は清原果耶を次のように論じている。
大野奈々を演じた清原果耶。

本作『デイアンドナイト』に、もし清原果耶がいなかったら、なんと殺伐とした映画になっていただろう……と思った。
自殺、悪意、復讐、犯罪、暴力など、暗い描写が多い中で、
大野奈々を演じた清原果耶が出てくるシーンだけが、なんだかホッとできたような気がする。

泥水に咲いた蓮の花のような存在であった。
2002年1月30日生まれだから17歳になったばかり。(2019年2月現在)
撮影時は、まだ15歳か16歳であったろう。
その若さで、この演技。

いやはや、凄い女優がいたものだ。

末恐ろしいとさえ感じる。
20代、30代、40代、50代、60代……と、
清原果耶は将来どんな女優になっていくのか?
それを見届けられないのが悔しい。
このように思える女優に出逢えたことは、
ある意味、幸運なことではあるのだけれど……

かように大好きな清原果耶なのであるが、
私にしては珍しく、“一目惚れ”ではなく“演技惚れ”して好きになった。
そんな彼女も、
かつての可愛い女の子から、
(2002年1月30日生まれなので)19歳となった今、(2021年3月現在)
大人の美しい女性へと変貌しつつある。

そんな、女の子から大人の女性への転換期に撮られたのが、
本日紹介する映画『まともじゃないのは君も一緒』(2021年3月19日公開)なのである。
『宇宙でいちばんあかるい屋根』に次ぐ主演作で、(成田凌とのW主演)
清原果耶のファンとしては、見逃すことのできない作品である。
で、公開直後に、ワクワクしながら映画館に駆けつけたのだった。

外見は良いが、数学一筋で“コミュニケーション能力ゼロ”の予備校講師・大野康臣(成田凌)。

彼は普通の結婚を夢見ているが、普通がなんだかわからない。
その前に現れたのが、
自分は恋愛上級者と思い込む、実は“恋愛経験ゼロ”の秋本香住(清原果耶)。

全く気が合わない二人だったが、
共通点はどちらも恋愛力ゼロで、どこか普通じゃない、というところ。

そして香住は普通の恋愛に憧れる大野に、
「もうちょっと普通に会話できたらモテるよ」
と、あれやこれやと恋愛指南をすることになる。

香住の思いつきのアドバイスを、大野は信じて行動する。
香住はその姿に、ある作戦を思いつく。
大野を利用して、憧れの存在である宮本(小泉孝太郎)の婚約者・美奈子(泉里香)にアプローチさせ、破局させようというのだ。
絶対にうまくいくはずがないと思っていたが、
予想に反して、少しずつ成長し普通の会話ができるようになっていく大野の姿に、

不思議な感情を抱く香住。

ある時、マイペースにことを進める大野と衝突した香住は、
「もうやめよう」
と、言い出す。
すると大野は、
「今変わらないと、一生変われない。僕には君が必要なんだ!」
と、香住に素直な気持ちを伝える。

初めて誰かに必要とされた香住は、
そんな大野の言葉に驚き、何か心に響くものがあり、
初めての感情に、
〈これって何!?〉
と、悩み始める。
二人の心がかすかに揺らぎ始めた時、事態は思わぬ方向へと動き出す。
二人が見つけた“普通”の答えとは……?

どこか普通じゃない二人、
テンポのよい会話、
いつの間にか惹かれ合うようになる二人……
〈お~~~〉
と、思った。
〈スクリューボール・コメディではないか……〉
と。
スクリューボール・コメディとは、
1930年代初頭から1940年代にかけてハリウッドでさかんに作られたコメディ映画のジャンルのひとつで、突飛な行動をとる男女が、テンポのよい会話をしながら、恋に落ちるまでの様を描いたもの(が多い)。
三谷幸喜の作品(の一部)や、昨年見た『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』(2020年2月14日公開)などにもスクリューボール・コメディの匂い(?)を感じたが、
日本映画では珍しいジャンルの映画で、
懐かしさを感じつつ、楽しんで見ることができた。

とにかく高田亮の脚本が素晴らしい。

高田亮脚本の映画は、
『さよなら渓谷』(2013年)
『そこのみにて光輝く』(2014年)
『銀の匙 Silver Spoon』(2014年)
『きみはいい子』(2015年)
『セーラー服と機関銃 -卒業-』(2016年)
『オーバー・フェンス』(2016年)
『猫は抱くもの』(2018年6月23日公開)
など、このブログでもレビューを書いているし、
『さよなら渓谷』『そこのみにて光輝く』『きみはいい子』『オーバー・フェンス』など、
「傑作」として絶賛した作品も多い。
そんな高田亮の脚本なので、期待しつつ見ていたのだが、
初期作品に多かった会話劇とも言うべき映画で、
大いに驚かされたし、感動させられた。

監督は、前田弘二。

長編映画としては、これまで、
『婚前特急』(2011年)
『わたしのハワイの歩きかた』(2014年)
『夫婦フーフー日記』(2015年)
『セーラー服と機関銃 -卒業-』(2016年)
の、4作品があるが、このうち、
『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』『セーラー服と機関銃 -卒業-』の3作品が、
脚本家・高田亮とのコンビ作で、
本作『まともじゃないのは君も一緒』が4作目ということになる。
初のコンビ作の『婚前特急』からして、
今考えてみると、スクリューボール・コメディっぽい作品だったが、
これまでの4作品は、面白い作品ではあるのだが、
(一部に熱烈なファンはいるものの)高い評価を得られているとは言えず、
興行的にも成功しているとは言い難いものがあった。
だが、今回見た『まともじゃないのは君も一緒』は違った。
興行的に成功するかどうかは(公開されたばかりなので)まだ分らないが、
少なくとも、これまでの作品にない質の高さを感じた。
高田亮の脚本の良さもあるが、
前田弘二監督の演出も冴えに冴えている。
本当に面白い部分のみを抽出し、
98分間に凝縮させた濃厚エキスのような作品で、
前田弘二監督の現時点での“代表作”であり、“最高傑作”と言えると思う。

高田亮の脚本、前田弘二監督の演出がいくら良くても、
演ずる俳優が駄目だったら、傑作にはならない。
本作が傑作になっているのは、もちろん主演の二人の演技の良さがあってのこと。

まずは、秋本香住を演じた清原果耶。

凡作を佳作に、佳作を傑作に押し上げることのできる稀有な女優なので、
W主演の一人に清原果耶をキャスティングした時点で、
この作品の成功は約束されていたと言えよう。
ほとんどが大野康臣を演じる成田凌との会話劇、二人芝居のような感じであったのだが、
長いセリフであっても一本調子にはならず、
言葉のひとつひとつに感情を込め、それでいて重くならず、
軽快に、テンポよく、喋りまくる。
自分は恋愛上級者と思い込む、“恋愛経験ゼロ”の女の子の役なので、
不安がる部分や、虚勢を張る部分など、
複雑な心情も見事に表現されており、
様々な表情を見ることができるという意味でも、
清原果耶という女優を存分に堪能できる一作になっている。
シリアスな演技をする彼女も素晴らしいが、
こういったコメディ映画での彼女も魅力的だし、
何度でも見たいと思わせる作品になっていた。

今年(2021年)5月17日から放送予定のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に主演することも決まっており、

清原果耶を毎日観ることができる歓びに、今から打ち震えている。(笑)



大野康臣を演じた成田凌。

香住(清原果耶)が激しく突っ込むので、
どちらかというと受けの芝居が多かったのだが、
良い意味での脱力感があり、
清原果耶との演技の相性も良く、楽しんで見ることができた。
ボソッと語る短い言葉が、香住の感情に火をつけ、
ますます炎上してしまうのであるが、
それだけでなく、香住の言葉尻をとらえて反撃することもあり、
攻守が入れ替わり、立場が逆転するのも面白かった。
このような特異なキャラクターを演じられる俳優は少ないと思うし、
成田凌は、その希少な男優の一人なのである。
前田弘二監督が、
2人ともセリフが多いけれど、本当の気持ちはセリフとは別のところにある。それをお互いに少しずつ見せていくので、芝居としては大変だったと思います。脚本もセリフが面白い分、温度感が難しい。熱量が高いとハイテンションで重くなってしまうし、低くすると生々しく見えてしまってちょっと違う。自然体ではあるけれど、ちょっと浮いているくらいの微妙なラインでないとこの作品の可笑しさが生まれないので、リハーサルや現場ではそこを探っていました。(「映画board」インタビューより)
と、語っていたが、
清原果耶と共に、成田凌が主演なればこその“傑作”であったと思われる。
成田凌は、現在放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」(2020年11月30日~)に、
天海一平(2代目天海天海)役として出演しているが、

5月17日から清原果耶主演の「おかえりモネ」にバトンタッチされるというのも面白い。

清原果耶、成田凌の二人以外では、
香住(清原果耶)の憧れの存在である宮本を演じた小泉孝太郎が、
体面ばかりを気にする調子のイイ小心者の男を上手く演じていたし、

宮本の婚約者・美奈子を演じた泉里香が、

傷つくことを恐れて一歩を踏み出せない内気な女性を、

実に魅力的に演じていて感心させられた。

本作のテーマは、“普通”。
本作では、
「“普通”とは何か?」
が、常に問われ続け、誰もが答えを見いだせない。
変な人(出演者)たちが、
「“普通”とは何か?」
と、問い続けるので、
“普通”がどんなものであるか分らなくなり、
映画鑑賞者も、思考回路がこんがらがり、
〈何が“普通”なのか?〉
と、悩むことになる。(笑)
誰もが、
〈自分こそが“普通”〉
と思い込んでいるものだが、
大抵の人は“普通”じゃない。(爆)
〈“普通”を追求するだけで、これだけ面白い作品ができるのか……〉
と、大いに驚かされたし、楽しまさせてもらった。
近いうちに、もう一度見に行きたいと思っている。