
原作は、佐伯泰英の同名小説。
双葉文庫より、書き下ろしで、2002年4月から2016年1月にかけて刊行され、
全51巻、シリーズ累計発行部数2000万部を超えるベストセラーとなっている。

その後、加筆修正を経た「決定版」が、
文春文庫より2019年から3年にわたって刊行され始めている。

磐音と奈緒、ふたりの幼き日々から悲劇の直前までを描いた『奈緒と磐音』も、
新作書き下ろしのスピンオフとして刊行されたのが、ファンとしては嬉しいところ。

テレビドラマとしても、山本耕史主演で、
『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』としてシリーズ化され、
2007年にNHKの「木曜時代劇」で、
2008年と2009年には「土曜時代劇」で放映された。
また、2017年には「正月時代劇」で完結編が放映されている。

私は、このテレビドラマの方も、
ヒロインのおこん役を佐賀県出身の中越典子が演じていたこともあって、
毎回欠かさず観ていた。

松坂桃李主演で映画化されることは、昨年末に知った。
テレビドラマで中越典子が演じた役を、
映画版では、木村文乃が演じるという。

このブログで度々言及しているように、
私は木村文乃が好きだ。(コラコラ)
木村文乃の出演作は、ほとんど見ている。
なので、映画『居眠り磐音』も見たいと思った。
ワクワクしながら映画館へ向かったのだった。

三年間の江戸勤番を終えた坂崎磐音(松坂桃李)は、
幼なじみの小林琴平(柄本佑)、河井慎之輔(杉野遥亮)とともに、
九州・豊後関前藩に戻った。


琴平の妹・舞は(宮下かな子)慎之輔に嫁ぎ、
磐音もまた、琴平と舞の妹である奈緒(芳根京子)との祝言を控えていた。

しかし、妻の舞が不貞を犯したという噂を耳にした慎之輔が舞を斬ってしまい、
それに激高した琴平が慎之輔に噂を吹き込んだ人物と慎之助本人をも斬るという事態に発展する。
豊後関前藩の国家老・宍戸文六(奥田暎二)が琴平を上意討ちするように命じるが、

追っ手を次々に返り討ちにする琴平に対し、
現場に駆け付けた磐音は、真相を話し、琴平を治めようとするが、
琴平から「おまえと尋常の勝負がしたい」と言われ、
それを受けて、琴平を斬ってしまう。

二人の友を一日にして失う悲劇に見舞われた磐音は、
許婚の小林奈緒を残したまま関前を後にする。
江戸で長屋暮暮らしを始めた磐音は、
長屋の大家・金兵衛(中村梅雀)の紹介もあり、
昼は鰻割きとして働き、

夜は両替商・今津屋で用心棒稼業を始める。
春風のように穏やかで、誰に対しても礼節を重んじる優しい人柄に加え、
剣も立つ磐音は、次第に周囲から信頼され、
金兵衛の娘・おこん(木村文乃)からも好意を持たれるようになる。

そんな折、幕府が流通させた新貨幣めぐる陰謀に巻き込まれ、
磐音は江戸で出会った大切な人たちを守るため、
哀しみを胸に悪に立ち向かうのだった……

全51巻もあるシリーズ物なので、
映画は、シリーズの前半をコンパクトにまとめたものであったが、
NHK木曜時代劇『ちかえもん』を手がけた藤本有紀が脚本を担当したこともあって、
予備知識なしでも楽しめるような工夫がなされていて素晴らしかったと思う。
それに加え、
監督が『超高速!参勤交代』シリーズの本木克英だったので、
緩急をつけた演出も効果的で、楽しんで鑑賞することができた。
『超高速!参勤交代』シリーズに出演していた、
佐々木蔵之介(佐々木玲圓役)、

西村まさ彦(田沼意次役)、

陣内孝則(庄右衛門役)、

橋本じゅん(甚兵衛役)、

などもキャスティングされており、
『超高速!参勤交代』シリーズのファンにとっても嬉しいことであった。
主演の磐音を演じた松坂桃李。

ここ数年、
『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年10月28日公開)
『不能犯』(2018年2月1日
『娼年』(2018年4月6日公開)
『孤狼の血』(2018年5月12日公開)
など、これまでやったことのない役に次々に挑戦し、
素晴らしい演技を見せている松坂桃李の、
時代劇初主演作ということで、楽しみしていたのだが、
時代劇での彼もとても良かった。
ふだんはおっとりしているが、
剣を持つと別人かというように変貌するのだが、
その殺陣も美しく、観客を魅了する。
最初は、
〈こんなおっとりとした人に用心棒が務まるのか……〉
と心配していたおこん(木村文乃)でさえ、うっとりするような剣さばき。
おこんに限らず、誰もが、
「惚れてまうやろ~」
と思わず叫んでしまいそうな格好良さであった。(コラコラ)

金兵衛の娘・おこんを演じた木村文乃。

松坂桃李と同じく、ここ数年、
『火花』(2017年11月23日公開)
『伊藤くん A to E』(2018年1月12日公開)
『羊の木』(2018年2月3日公開)
『体操しようよ』(2018年11月9日公開)
などで、様々な役に挑戦し、好演している彼女なので、
時代劇での木村文乃も素晴らしかった。

磐音のことを知れば知るほど好きになっていくおこんを巧く演じており、
彼女の美しさも相俟って、ずっと見惚れていた。(コラコラ)

好きという感情を押し殺し、
磐音が想い続ける奈緒(芳根京子)のことを心配する心情も上手く表現されており、
木村文乃ファンとしては「文句なし」であった。

本作には当初、
豊後関前藩の国家老・宍戸文六役でピエール瀧が出演することになっていたが、
麻薬取締法違反の容疑で逮捕、起訴されたことにより、
奥田瑛二を代役にして4月に撮り直しを行い、
当初の予定通り5月17日に公開された。
左が最初のパンフレットで、右が修正後のパンフレット。

左のパンフレットにはタイトル文字の下にピエール瀧の写真があるが、
右のパンフレットでは消えている。
急遽の代役であったが、奥田暎二もふてぶてしい家老を巧く演じており、
違和感なく見ることができた。

その他、
有楽斎を演じた柄本明と、

小林琴平を演じた柄本佑の演技が、
ずば抜けて素晴らしかったことを付記しておこう。

主題歌として起用された「LOVED」は、
MISIAが2018年12月26日にリリースしたアルバ『Life is going on and on』の収録曲で、
米倉利紀(エンドロールでは米倉利徳と表記されていた)が作詞作曲を手がけたバラードナンバー。
この曲を聴きながら、余韻にひたりたい。


【耳より情報】
チケットを買って、入場するときに、
文庫サイズの非売品の本をもらった。


佐伯泰英の短編小説と、
映画『居眠り磐音』の脚本と、
本木克英監督と松坂桃李の対談が収められており、

これがなかなかの代物。
私は好きな映画の脚本を読むのが好きなので、
とても有難かった。

いつまで配布されているのか分らないが、
この無料でもらえる本はぜひゲットしてもらいたい。
そういう意味でも、映画館へ、早く早く。