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映画『ほたるの川のまもりびと』 ……里山を守ろうとする人々を描写した秀作……




ちょうど7年前の6月23日、
私は、
「九州のマッターホルン」と称されている虚空蔵山(608.5m)に、
海抜0メートルから登った。(コチラを参照)
それまでは、佐賀県側の長野登山口からしか登ったことがなく、
海側の長崎県側からは登ったことがなかった。
海抜0メートルからの山歩きということで、
そのときは、
川棚の海から出発し、木場登山口を経て、虚空蔵山山頂へ。
復路は、川内登山口へ下りて、東彼杵町の海へ至った。


長崎県側から登るのは初めてだったので、
なにもかもが新鮮で、
キョロキョロしながら登っていたのだが、
美しい田園風景の中に、
ある地点から看板が目立つようになった。
その看板には、
「水の底より今の故郷」


「ダム絶対反対」


などと書かれてあり、
〈ここにもダム建設の話があるのか……〉
と思いながら歩いていたのを思い出す。


そして、7年後の今年、
シアターシエマの上映予定の作品をチェックしていたら、
『ほたるの川のまもりびと』という作品が目に留まり、
映画の内容を調べてみて、
それが、あの、虚空蔵山の中腹にある長崎県川棚町川原(こうばる)地区の、
ダム建設問題に翻弄されてきた人々のドキュメンタリーであることを知った。
約半世紀にわたり長崎県佐世保市が計画する石木ダム事業に、
ノーと言い続けてきた人たちの日常を映し出しているという。
アウトドアブランド「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行らがプロデュースを担当し、
CMプランナーとして大手広告代理店に所属する山田英治が監督を務める。


〈これは見ておかなければ……〉
と思った。
シアターシエマでの上映は6月22日(金)~6月28日(木)の1週間だけだったので、
公開2日目の6月23日(土)に見に行ったのだった。



朝、子どもたちが学校に行く、
父と娘がキャッチボールをしている、
季節ごとの農作業、


おばあちゃんたちがおしゃべりをしている。


それは一見、ごく普通の日本の田舎の暮らし。


昔ながらの里山の風景が残る長崎県川棚町川原(こうばる)地区に、
ダム建設の話が持ち上がったのが半世紀ほど前。
この計画は長崎県でもあまり知られていないが、
50年もの長い間、川原(こうばる)地区の住民たちは、このダム計画に翻弄されてきた。


かつて同じ地域に暮らしていた人びとの一部は補償金を手に土地から去っていった。
現在残っている家族は、13世帯。
長い間、苦楽を共にしてきた住民の結束は固く、
54人がまるで一つの家族のようだ。


ダム建設のための工事車両を入れさせまいと、
毎朝、おばちゃんたちは必ずバリケード前に集い、座り込む。


こんなにも住民が抵抗しているのに、進められようとしている石木ダム。
「ただ普通に暮らしたい」
という住民たちのごくあたりまえの思いが、
映像を通じてつづられていく……




映画を見終わって感じたのは、
あの一見穏やかに見える田園風景の中に、
〈これほどまでに厳しい歴史があったのか……〉
ということだった。
「自分たちの暮らしを守る」という、
ぶれることのない住民ひとりひとりの思いが詰まっている作品だなと思った。


石木ダムの計画は、約半世紀前の1962年に持ち上がった。
事業の主体は、長崎県佐世保市
ダムの目的は、利水と治水。
利水とは水道事業のことだが、
人口減により水需要は年々減少している。
また、治水の面では、
石木川は、注ぎ込む川棚川の流域面積の9分の1にすぎない。
その川にダムをつくることで、果たして治水に有効なのか?


総工費は538億円。
長崎県民が負担する。
長崎県負担185億円、佐世保市民負担353億円。
うち国庫補助金(=国民の税金)147.5億円。
これだけ大きな負担を負うにもかかわらず、
実は、長崎県民の2人に1人が、石木ダムの計画について、
「よく分らない」
と調査で答えている。
また、ダム建設に反対する人の割合が賛成する人を上回るなど、
客観的に見て、巨額の公共事業の進め方としては、
疑問を呈さざるを得ない。
調査でも、県民の約8割が、県が「十分な説明をしていない」と答えている。


この石木ダム計画については、
著名人も関心を示していて、
ダム建設予定地を訪れ、コンサートもした加藤登紀子は、


「口にするまでもない素晴らしい自然がある。計画から50年以上たって、建設をすることに不条理を感じる」
とコメントし、


同じく、ダム建設予定地を視察し、本作の試写会にも参加した坂本龍一は、


「ネット上の情報だけは伝わらないことも多く、ぜひ多くの人に映画を観てほしい」
と映画に関して話したほか、
「環境資源は有限で、現在の豊かな生活のために未来の資源を奪ってはならない」
という環境問題に関する考えも述べている。


また、映画を見た椎名誠も、
「国家権力の元、強引に迫ってくる妥協のない自然破壊のなかで、おだやかな人間のこころそのままに里山を守ろうとする人々の淡々とした描写が美しい。決していきりたつこともなく、しかし粘り強く手をつなぎ、真剣にたたかう人間の力に感動した」
とコメントしている。


豊かな未来の図というのは、
SF映画で描かれるような巨大都市ではなく、
きっと、
蛍の飛び交うような里山の風景のようなものなのだ。
そういうことを、さりげなく教えてくれる映画であった。


長崎県民はもちろんのこと、
佐賀県民、福岡県民、熊本県民にも、ぜひ見てもらいたい作品である。


ダム建設問題は、全国各地にあり、
決して他人事ではなく、
いずれ何らかの形で己の身に降りかかってくる問題である。
映画『ほたるの川のまもりびと』は、
九州以外では、
(東京)ユーロスペース 2018年7月7日(土)〜
(神奈川)ジャック&ベティ 2018年7月28日(土)~
を皮切りに、全国でも公開予定である。
機会がありましたら、ぜひぜひ。


エンドロールに「川原(こうばる)のうた」が流れるのだが、


最後の最後、
ちょっと感動的なシーンが付け加えられている。
館内が明るくなるまでは席を立たないようにね。



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