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映画『舞妓はレディ』 ……上白石萌音や草刈民代が歌い踊る周防正行監督作品……


周防正行監督は好きな監督の一人なので、
最新作『舞妓はレディ』も公開(9月13日公開)されてすぐに見に行ったのだが、
最近はなにかと忙しくてレビューを書く機会を逸し、
「書かなければ、書かなければ」と思っているうちに、
とうとう今日になってしまった。
少し遅すぎるとは思うが、
とにかくなにか書いておこうと思い、
こうして取り掛かっている。

周防正行監督作品は少なく、
『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984年)
マルサの女をマルサする』(1987年)
マルサの女IIをマルサする』(1988年)
『ファンシイダンス』(1989年)
シコふんじゃった。』(1991年)
Shall we ダンス?』(1996年)
それでもボクはやってない』(2007年)
ダンシング・チャップリン』(2011年)
終の信託』(2012年)
の9作で、
本作『舞妓はレディ』を含めても10作しかなく、
マルサの女をマルサする』と『マルサの女IIをマルサする』はメイキングなので、
この2作を除くとわずか8作だ。
『変態家族 兄貴の嫁さん』は周防正行監督のデビュー作で、
ピンク映画でありながら全編小津安二郎タッチで撮りあげた異色作。
(もちろん見ている)
大ヒットした『Shall we ダンス?』以降、
それでもボクはやってない
『終の信託』(←クリック)とシリアスな作品が続き、
古湯映画祭(←クリック)で、
「この映画は、見終わったあと、かなり気分が重くなります。そういう風に映画を作りました。だから皆さんは重い気分のまま帰ることになります。覚悟しておいて下さい」
と語られたように、それまでの
『ファンシイダンス』『シコふんじゃった。』とは全く違う、
気持ちが滅入ってくるような(笑)作品だったので、
次作はどんな作品だろうと楽しみにしていた。

で、映画『舞妓はレディ』はどんな作品かというと……

古都・京都。
下八軒のお茶屋・万寿楽に、
「絶対に舞妓になりたい」
と、少女・春子(上白石萌音)が押し掛けてくる。



春子は必死で頼み込むが、誰も相手にしようとしない。
ところが偶然その様子を目にした言語学者の「センセ」こと京野(長谷川博己)が、
鹿児島弁と津軽弁が混ざった方言を話す彼女に関心を寄せ、
「なまりを直して立派な舞妓にしてみせる」と宣言。
春子は京野と共に特訓の日々を送ることになる……



構想は20年前からあったそうで、
大ヒットした『Shall we ダンス?』の後、
次作を考えていたときに、
京都の花街の舞妓さん少なくなっているという話を聞き、
「今度は舞妓の世界を描いてみたい」
と決意。
構想を友人に話してみると、
「じゃあ、『舞妓はレディ』だね」
と、語呂合わせ(ダジャレ?)で返され、
それがそのままタイトルになったとか。
語呂合わせの元は、
もちろん『マイ・フェア・レディ』。
オードリー・ヘップバーン主演の、
「運が良けりゃ」(With A Little Bit of Luck)
「踊り明かそう」(I Could Have Danced All Night)
など、名曲揃いのミュージカル映画
その『マイ・フェア・レディ』にあやかってか、
本作『舞妓はレディ』もまたミュージカル仕立てになっている。
映画が始まり、
出演者が歌いだすと、やはり最初は違和感があった。
専門のミュージカル俳優を集めたわけでもないので、
歌唱力でグイグイ引っ張っていくと感じではなく、
なんだか素人芸のような感じ。
正直、序盤はあまり面白いとも思えず、
「周防監督、やっちゃったかな~」
と、心の内で心配になる。
周防監督も、最初は迷いながら演出をされていたのではないだろうか?
映画が俄然面白くなってくるのは、
草刈民代が、途中から、なにかふっ切れたように踊り出す頃から。


着物姿からいきなりフラメンコの衣装に変身し、
ガンガン踊るのだ。
これにはビックリ。


竹中直人渡辺えりも『Shall we ダンス?』を彷彿とさせるような踊りを見せるし、
草刈民代はもちろん、長谷川博己田畑智子も、
あの富司純子までもが歌い踊る。


マイ・フェア・レディ』には、
「スペインの雨」 (The Rain in Spain)という歌があり、
「スペインの雨は主に平野に降る」
なんて意味不明(?)の歌詞があったりするのだが、
これは、音声学者ヒギンズ教授が、
花売り娘イライザの下町なまりを矯正するためにやらせた例文が歌詞なので、
それにはちゃんとした理由がある。


しかし、『舞妓はレディ』では、これを、
「京都の雨は大概盆地に降るんやろか」と、
こちらは発音練習でもなんでもなく、
ただ本家の歌に似せただけの歌詞で、
しかも言語学者京野(長谷川博己)が歌うので、
そんなところがすごく可笑しかった。
こういったパロディのような小ネタも満載で、
見る者を楽しませる。


そして、なによりも良かったのは、
春子役の上白石萌音
歌にも踊りにも演技にも、素朴な良さがあり、
舞妓として成長していく姿に好感が持てた。


ある映画評論家が、
オードリー・ヘップバーンにはレディに変貌した時の高貴さがあったが、『舞妓はレディ』のヒロインには、輝く舞妓に変身した時のインパクトが欠けていたように思う」
と語っていたが、
それは違うと思った。
マイ・フェア・レディ』は貧しく粗雑な下町娘から高貴なレディへと変貌したが、
『舞妓はレディ』は、普通の娘が舞妓になるために努力する物語である。
鹿児島弁や津軽弁よりも京都弁が高貴というワケでもなく、
普通の娘より舞妓が高貴というワケでもない。
両者の位に高低はないのだ。
舞妓になりたいと夢を抱いた純朴な娘が、
舞妓になりたい一心で稽古に励み、
舞妓という職業女性へと成長していく物語なのである。
そこが本家の『マイ・フェア・レディ』と違うところであるし、
『舞妓はレディ』の素敵なところだ。
そして、上白石萌音が、そのヒロインを見事に演じ切っているのだ。


豪華絢爛なラスト、
そして、エンドロールまで見終わって、
周防監督のやりたかったことの全部が把握できたような気がした。


映画を見てから、
周防監督の某インタビュー記事を読んだ。

僕が花街で一番驚いたのは、映画の中でも草刈民代さんと田畑智子さんにやっていただきましたが、「しゃちほこ」と呼ばれる逆立ち芸を見たとき。舞妓さんといえば「はんなり」という言葉が代表するように、優雅なイメージがあるのに、その舞妓さんが突然、足に着物を挟んで逆立ちですから。こういうのもありなんだと。あれはお座敷の楽しみ方という意味で僕の入り口になりましたね。

『舞妓はレディ』の破天荒さには、ワケがあったのだ。
「はんなり」だけではない、
仰天するような面白いお座敷の楽しみ方もあることを、
映画鑑賞者に知らせる意味もあったのだ。

とにかく「この役者さんがこんなふうに歌うのか」といったようにね、楽しんで観てほしいです。歌手にはできない、役者だからこそ出せた歌の力があると思います。役者の底力を見てほしいですね。

映画『舞妓はレディ』の楽しさ、面白さは、
周防監督のこの言葉に集約されているように思った。
私が映画の序盤で感じた違和感こそが、
周防監督の狙いであったのだ。
ありきたりのミュージカル映画ではない、
周防監督オリジナルの痛快なミュージカル映画が、
ここに誕生した。



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