
映画『容疑者Xの献身』のレビューを書いたのはいつだったかと調べてみたら、
なんと、2008年11月06日であった。
もう5年近い年月が流れていたのだ。
ビックリである。
光陰矢の如し。
『容疑者Xの献身』の公開日は2008年10月4日なので、
公開から1ヶ月ほど経ってから、レビューを書いていることになる。
なぜか?
10月4日より公開され、
現在、観客動員300万人。
興行収入は38億を記録し、
実写の日本映画としては久々の4週連続1位を記録している。
公開されて1ヶ月以上も経つのに、なぜまだ見に行っていないのか?
それは、原作となっている小説の『容疑者Xの献身』を読んでいたからだ。
読んで3年も経つのに、その読後感の悪さを私の脳が憶えていたからだ。
と、私は、5年前に、このブログに書いている。
映画を見る前に小説を読んでおり、
その読後感が悪かったので、映画を見に行くのを躊躇っていたのだ。
天才数学者といわれる石神のアリバイ工作に無理があり、
結局、この男が余計なことをしなければ、
花岡靖子と娘の犯罪は情状酌量の余地があり、
もっとも軽い刑ですんだのではないか……ということだ。
どこが天才なのかさっぱり解らない……
というのが私の素直な感想であった。
ということで、映画を見に行こうか行くまいかと迷っていたのだが、
今日(6日)思い切って見に行ってきた。
そして、見た感想はというと――
これが、傑作と言っていいほど良かった。
原作の欠点が、見事に修復されていたのだ。
原作となった小説よりも、
映画の方が数段優れていたので、ホッとしたことを憶えている。
TVドラマ『ガリレオ』は、最初、
2007年10月15日から12月17日まで、
フジテレビ系列で、
毎週月曜日の21:00~21:54(通称「月9」枠)に放送された。(全10話)
原作は、東野圭吾の小説で、
物理学科准教授・湯川学(福山雅治)が、
新人女性刑事・内海薫(柴咲コウ)の依頼を受けて、
明晰な頭脳で事件のさなかに起きる超常現象を解き明かして事件を解決する。
原作では湯川の相方は草薙刑事(北村一輝)であるが、
テレビドラマ版ではドラマに華を添えるため女性刑事の内海に変更され、
平均視聴率21.9%という異例の高視聴率を獲得した。
さらに翌年公開された映画『容疑者Xの献身』は、
興行収入49.2億円の大ヒットを記録。
長らくドラマの第2シリーズが望まれていたが、
ようやく、今年(2013年)の4月15日より6月24日まで放送され、
これまた高視聴率(平均視聴率19.9%)を獲得。
6月29日には、映画の第2弾『真夏の方程式』も公開されたのだった。
以前、私はこのブログで、次のように述べたことがある。
「夏」という言葉が好きで、
ていうか「夏」のイメージが好きで、
昔からタイトルに「夏」のついた小説や映画を好んで読んだり見たりしている。
映画で言えば、
『おもいでの夏』『チクソルの夏』『解夏』『菊次郎の夏』『姑獲鳥の夏』『夏の嵐』『あの夏、いちばん、静かな海。』など、個性的かつ魅力的な作品が多い。
そう、『真夏の方程式』にも、「夏」という言葉が入っている。
東野圭吾の作品は苦手なので、小説は読んでいなかったが、
映画は見たいと思った。
美しい海が残る玻璃(はり)ヶ浦という小さな港町。
海底資源の開発計画が持ち上がって以降、
賛成派と反対派が激しく対立していた。
開発計画の説明会にアドバイザーとして招聘された湯川(福山雅治)は、
川畑夫妻(前田吟・風吹ジュン)と、その一人娘・成実(杏)が経営する旅館「緑岩荘」に滞在することになる。

そこで湯川は一人の少年・恭平(山崎光)と出会う。
恭平は、両親の仕事の都合で、夏休みの間、親戚の川畑家に預けられることになったという。

翌朝、堤防下の岩場で男性の変死体が発見される。
男の身元は「緑岩荘」のもう一人の宿泊客で、
引退した元捜査一課の刑事・塚原(塩見三省)であった。
塚原は、16年前に起きたある殺人事件の犯人で、服役後に消息を絶った仙波英俊(白竜)という男を探していたらしい。
県警は塚原の死を堤防からの転落事故として処理しようとするが、
それでは説明のつかない不可解な点がいくつもあった。
現地入りした捜査一課の岸谷美砂(吉高由里子)は、さっそく湯川に協力を依頼。

思わぬ形で事件に巻き込まれていく恭平、

環境保護活動にのめりこむ旅館の一人娘・成実、

事件に無関心を装う川畑夫妻。
死んだ塚原はなぜこの町にやってきたのか。
事件を巡る複雑な因縁が、次第に明らかになっていく。
そして湯川が気づいてしまった、哀しき事件の真相とは―――
大がかりなトリックもなく、
前作『容疑者Xの献身』よりはミステリー色が薄いように感じた。
その分、ドラマ性が増していて、
感動がより深くなっているように思った。
物理学科准教授・湯川学役の福山雅治。

音楽の方では、すでにスーパースターの地位を築いているが、
TVドラマの方でも、その活躍はめざましい。
主なものを挙げてみただけでも、
『ホームワーク』(1992年)
『ひとつ屋根の下』(1993年)
『いつかまた逢える』(1995年)
『ひとつ屋根の下2』(1997年)
『めぐり逢い』(1998年)
『パーフェクトラブ!』(1999年)
『美女か野獣』(2003年)
『ガリレオ』(第1シーズン)(2007年)
『龍馬伝』(2010年)
『ガリレオ』(第2シーズン)(2013年)
など、記憶に残る作品が多い。
ところが、映画となると、出演作は極端に少ない。
『容疑者Xの献身』(2008年)
『真夏の方程式』(2013年)
の他には、
『アマルフィ 女神の報酬』(2009年)
『アンダルシア 女神の報復』(2011年)
など、数作あるのみ。
だが、今秋には、傑作の呼び声高い映画『そして父になる』が控えている。
今年(2013年)10月5日に公開予定だったが、
第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したこともあって、
当初予定していた10月5日(土)の公開日を1週間繰り上げ、
9月28日(土)に全国公開することが決定した。
少しでも早く劇場で鑑賞したいというご要望に応え、
9月24日(火)~27日(金)の4日間は、
全国の劇場にて先行上映されることも決定している。
待ち遠しい限りだ。

事件の鍵を握る女性・川畑成実役の杏。
この映画を見に行ったのは、
彼女が出演しているということも大きかった。
彼女については、
映画『妖怪人間ベム』のレビューを書いたときに述べているが、
そのオトコマエぶりが実に魅力的で、好きなのだ。
本作『真夏の方程式』においても、
日焼けした(もちろん日焼けメークだとは思うが)少年のようなスレンダーな躰で躍動しており、ダイビングシーンが凄く美しい。
海に潜るシーンが多いため、彼女はダイビングの資格も取得したとか。
杏はやはりオトコマエだ。

秘密を抱えた川畑夫妻役の前田吟と風吹ジュン。
前田吟といえば、
映画『男はつらいよ』における寅次郎の妹さくらの夫・博の役、
そして、『渡る世間は鬼ばかり』シリーズなどの橋田壽賀子脚本のドラマに多数出演しているが、
なんだか同じような役ばかりしているようで、
イメージが固定されてしまって、損をしている印象があった。
ところが本作では、これまでの印象を覆す素晴らしい演技をしている。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、
ラスト近くで湯川と対峙するシーンは、
この映画の名シーンのひとつであろうと思われる。

風吹ジュンも良かった。
いまではベテラン女優のひとりであるが、
若き頃は、ユニチカマスコットガールとして、
あの頃の男どもを虜にしていたグラビアアイドルであった。
(と娘たちに言っても信用してくれないが……)
本作では、
若き頃も美しく、今なお魅力的な女性という役なのだが、
彼女にピッタリの役であったと思った。
『コキーユ・貝殻』(1999年/報知映画賞主演女優賞受賞)をまた見たくなった。

捜査一課刑事・岸谷美砂役の吉高由里子は、
TVドラマのときのようなウルサさがなくて良かった。
でも、私としては、前作に出ていた柴咲コウの方が好きかな。(ゴメン)

16年前に起きた元ホステス殺人事件の容疑者・仙波英俊役の白竜。
佐賀県伊万里市出身なので、佐賀県では特に有名な俳優。
もともと存在感抜群の男優であるが、
本作でも素晴らしい演技で、その存在感を示す。
その他、元警視庁捜査一課刑事で被害者・塚原正次役の塩見三省、
恭平の父・柄崎敬一役の田中哲司、
元ホステス殺人事件の被害者・三宅伸子役の西田尚美など、
演技派俳優が脇をかためているので、
安心して鑑賞することができる。

夏休み、小さな港町、美しい海、美しい娘、花火、少年……
これだけでも十分に魅力的なのに、
そこに「死」と「謎」が加わり、
ひと夏の切ない“愛の物語”が誕生した。

湯川と少年がペットボトルロケットの実験をするシーンが、
いまでも私の脳裏にフラッシュバックする。
2013年の夏は、
多くの人にとって、
そして私にとっても、
映画『真夏の方程式』を体感した夏……になることだろう。