
いや~、良い映画でした。
傑作と言ってイイでしょう!
なんといっても松坂慶子さん、
素敵です!
若い頃も輝いていたけど、中年の彼女は、若い頃よりももっと輝いてます。
顔のシワも、たるんだ贅肉も、すべてが魅力的。
演技力も文句なし!
惚れ直しました。
ちょっと気が早いですが、来年の日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞の有力候補でしょう。

いきなりハイテンションになってしまいましたが、そもそもこの作品を見に行ったキッカケは何かと言うと、「ハムレット」という言葉である。
この「ハムレット」という言葉に、私は異常反応するのである。
シェイクスピアの『ハムレット』との出会いは、私の学生時代にさかのぼる。
ある日、ジョン・エヴァレット・ミレイの画集を見ていた私は、「オフィーリア」という絵に衝撃を受けた。
そこに描かれているオフィーリアの美しさに……だ。
そのオフィーリアが出てくる物語がシェイクスピアの『ハムレット』であることを知り、その時私は初めて『ハムレット』を読んだ。
その後、松たか子がオフィーリアを演じた蜷川幸雄演出の『ハムレット』を観たり、ケイト・ウィンスレットがオフィーリアを演じたケネス・ブラナーが監督・主演した映画『ハムレット』を見たりして、文学だけでなく、演劇や映画などでも親しんできた。
また、ミレイの「オフィーリア」の絵を昨年8月に実際に見る機会があり、そのことは、このブログに、「ジョン・エヴァレット・ミレイ展 ……オフィーリアに逢いたくて……」(←クリック)と題して書いたりもした。
それほど関心がある作品なのである。
だから、『大阪ハムレット』というタイトルを目にした時、どうしても見たいと思った。
主要都市では今年の1月17日から公開されていたが、私の住む佐賀県では、少し遅れて2月21日から「シアター・シエマ」で公開されている。
そもそも『大阪ハムレット』とは何ぞや?
森下裕美のコミックが原作らしい。
私はこの原作漫画はまったく知らなかった。
読んだことも見たこともなかった。
(今度読んでみようと思う)
ハムレットというからには、かのシェイクスピアの『ハムレット』と関係があるのかといえば、あるのである。
大阪の町。
ある日、オトンが死んだ。
残された久保家のオカンと3人の息子。
3人の息子は、顔が似ていない。
それぞれ父親が違うのではないかという噂が広がっている。
そんなことをネタに、大阪の久保家では、葬式の日にも笑いが起きる。
親戚一同が笑っている中、泣きながらオトンの弟である叔父がやってくる。
なにか場違いな雰囲気……。
後日、この叔父がひょっこり訪ねてきて、久保家で一緒に暮らし始める。
舞台設定そのものが、『ハムレット』のような複雑な家庭環境なのである。
そこで3人の息子は、それぞれに悩みを抱えている。
中学生の長男は、恋する年上のファザコン女性に「私のお父ちゃんになってほしい」と言われ困惑している。

ヤンキーの次男は、自分が例えられた「ハムレット」が近所のペットではないことは解決したものの、自分の顔がオトンに似ていないことに気づき、家族と人生について悩んでいる。

小学生の三男は、クラスで将来の夢を訊かれ、「女の子になりたい」と宣言。イジメに遭ったりして悩んでいる。

このような悩みを抱える三兄弟を温かく包み込む肝っ玉母さんと、なぜかそこに同居する「おっちゃん」の物語。
この「おっちゃん」を演じるのが、私の大好きな岸部一徳。
もう、そのヘタレ具合が抜群です。
松坂慶子と岸部一徳。
二人のやりとりを見ているだけで、なんだかふんわりとした優しい気持ちになります。

本家の『ハムレット』が、
「To be, or not to be: that is the question.」
生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ……
と問えば、
『大阪ハムレット』は、
……生きるべきか死ぬべきかって、生きとったらそれでええやん。
と答える。
実に明快。
世間体なんか気にするな。
自分の信じた道を進めばいいやん。
悲しくもないのに、映画を見ていて、後半はずっと泣いてました。
なのに、不思議と元気が出てくる映画です。
この作品、上映館が少ないですが、もし機会があったら、ぜひ見て下さい。
人生が楽しくなること請け合いです。
【上映館】
佐賀県「シアター・シエマ」2月21日~3月6日
長崎県「長崎セントラル」2月28日~
福岡県は残念ながら公開は終了しているようです。