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映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 ……自分の人生が愛おしくなる……


この作品を見ないと、たぶん今年の映画については語れないのではないかと思われるほどの傑作である。
「この作品と比較して……」
というように、今年の映画を語る上で、基準になる作品になるような気がする。
一食抜いてもぜひ見てもらい作品であることを、最初に述べておきたい。

かなり前から「アンチエイジング」ブームは続いている。
老化に逆らい若返る方法を説く文章や画像が、今でも様々な媒体で踊っている。
それほどまでに、人は、実年齢より若く見られたいのだ。
だが、いくら若く見られたからといって、若いわけではない。
いくら若く見られても、実年齢を減らすことはできないのだ。
若く見られた人間も、そうでない人間も、等しく老い、やがて死を迎えることには変わりがない。
残酷な言い方だが、これは真実だ。
「老いて生まれて、次第に若くなって、人生の裏も表もすべて解った50歳から60歳の頃に20歳の肉体が与えられたらどんなにイイだろう」
そう思っている人は案外多いのではないだろうか?
「人生の一番いい時は最初にやってきて、一番悪い時は最後に来るってのはつらいよなあ……もし、人が80歳で生まれ、ゆっくりと18歳に近づいていけたなら、人生は限りなく幸福なものになるだろうに……」
と言ったのは、『トム・ソーヤーの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』でお馴染みのマーク・トウェイン
その言葉にインスピレーションを得て、短篇小説に仕上げたのが、『グレート・ギャツビー』などで知られるF・スコット・フィッツジェラルド
『The Curious Case of Benjamin Button』(ベンジャミン・バトンの奇妙な症例)という作品だ。
この掌編とも呼ぶべき短い作品を、『セブン』などの作品で有名なデビッド・フィンチャー監督が映画化した。
それが『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』というわけだ。

主演は、ブラッド・ピットケイト・ブランシェット
脚本は、アカデミー脚本賞受賞作『フォレスト・ガンプ/一期一会』のエリック・ロス

この作品を見終わっての感想は、

第一に、脚本がよく出来ている。
全編、名言に溢れている。
見ている間も、自分の人生と対峙させられているような不思議な感覚を味わう。
常に自分と対話しながら見ることになる。

第二に、主演のブラッド・ピットケイト・ブランシェットが素晴らしい。
最初、老人と少女で出会うが、ほぼ同世代の二人。




老人は次第に若くなり、少女は大人の女性へと変身していく。
共に魅力的な年代で交差するが、その期間は短い。(その時のブラッド・ピットケイト・ブランシェットは本当に美しい!)




その時間の変化、流れを、二人は巧みに演じている。
特殊メイクも優れている。

第三に、物語が淡々と過ぎていく。
これは悪口ではない。
褒め言葉である。
このような奇想天外な物語は、派手な演出や感情むき出しの演技がつきものだが、この作品においては、それが一切ない。
主人公は、感情をなるべく表面に表さない人物として描かれ、それがこの主人公の秘めたる感情をより表現することにもなっている。
167分という3時間近い上映時間にもかかわらず、このような地味な演出で、最後までまったく飽きさせないのは、脚本の良さもさることながら、監督の手腕によるところも大きい。

第四に、音楽が良い。
音楽を担当したのは、『真珠の耳飾りの少女』『真夜中のピアニスト』『ラスト、コーション』などの作品で、素晴らしい才能を発揮しているアレクサンドル・デプラ
静かで気品溢れる音楽が、この映画を、第一級の作品へと押し上げている。
音楽を聴いているだけでも、胸を締め付けられるような郷愁、哀愁が感じられる。

第五に、衣装が格好良く、美しい。
その時代その時代のファッションをうまく取り入れ、派手さはないものの、背景とうまく溶け合ったデザイン、色彩で、見る者を楽しませてくれる。


その他、良い点を数え上げたら、キリがないくらいだ。
わずか一人の男の人生を逆向きにさせるだけで、周囲の人々のそれぞれの人生をこれだけくっきりと浮き彫りにし、感動させられるとは……まさに映画のマジックであろう。

「80歳で生まれ、若返っていく男」の人生は、果たして幸福であったのか?
そうでなかったのか?
マーク・トウェインの語った言葉は、実証されたのか?
その答えは、見た人それぞれで違うかもしれない。
私の場合は、見終わって、自分の人生を抱きしめたくなった。
私自身の人生をそれほど愛おしく感じさせてくれた作品である。


若い人よりも、人生の折り返し地点を過ぎた世代の人々の心に深く染み入る作品のように感じる。
再度言う。
一食抜いても、ぜひ……



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