隣家の柿の木から落ちた葉っぱ。誰かが「自然は芸術家」などと言ったそうだが、ほんとうにそう思わされる。

今年は夏から秋にかけて北朝鮮による拉致に関する本を執筆していた。ようやく脱稿したが、政府が隠蔽してきた事実など未公開情報をたくさん盛り込んだので、その確認などに時間をとられ、紅葉を見に遠出する余裕がなかった。でも遠出しなくても季節の移ろいは身近にあった。
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北朝鮮についてはロシアとの軍事提携や核・ミサイル開発、中国との接近、トランプとの再会談はあるか、など地政学的な角度からのニュースばかりだが、人権の問題抜きに北朝鮮を語ることはできない。私見では、北朝鮮の人権状況はかつてのナチスドイツより酷い。アウシュヴィッツ・ビルケナウ の強制絶滅収容所を見学したとき、当時の非人道的な待遇を想像して心が痛んだが、北朝鮮の政治犯収容所の体験記はそれを上回ると思った。
人々の無権利状態が、百万人超の餓死者を出すなかでの核・ミサイル開発や秘密が完璧に守られた大規模な拉致工作などを可能にしたのである。
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12日、当時13歳の横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてからまもなく48年となるのを前に、母の早紀江さんが会見に応じた。来年90歳を迎える早紀江さん。
まだ政府に拉致被害者と認められないなかで署名活動を始め、全国を回っての講演は1400回以上。2000年には、自民党本部前で座り込みをしたこともある。歴代首相が拉致問題は「最重要課題」と口では言いながら、2002年の小泉訪朝時以降、拉致被害者が誰も帰っていない。早紀江さんは、この現状に「精も根も尽き果てた」と語っていた。

以下会見で早紀江さんが語った言葉より―
「どうしてこんな大事なことが解決されないのかなと。こんな時間がたってしまった」
「来年90歳になるんですよね。私たちも体力なくなってきて、前のように元気でないの分かっているので、早くなんとかならないかということばかりを願って」
「めぐみちゃんはとにかく明るい子だったし、本が好きで、いろんな本を読んであげたのが一番印象深い。(これまで)総理大臣に1人1人目を見て話して『誰かがやらなきゃいけないことです』と言ってきたんだけどなかなか動いていかない」
「精も根も尽き果てたという感じで、年もいってきて、本当にもう会えないのかなと思う時もあるし、だんだん絶対弱っていくと思う」
「それでも解決しなければ、会えない時がくるかもしれないことも現実に起きるから、早くなんとかならないのかということばかりを願って、総理大臣が代わるたびにお願いしてきて、お願いしても全然動かない」
「日朝首脳会談をしていただかないと、話し合いをしなかったらとにかく動かないと思っている」
一つひとつ、胸に響いてくる。いま拉致問題への関心は非常に低く、若い人は、横田めぐみさんの名前も知らない。今回、私があらためて拉致についての本を書こうと思ったのも、なんとか人びとの関心を高め、この問題の進展に寄与したいと思ったからだ。1997年からこの問題に関わってきたものとしての責任を感じる。
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拉致問題では2014年のストックホルム合意以降、何の進展もない。合意後、北朝鮮が田中実さん(政府認定拉致被害者)と金田龍光さん(特定失踪者)の2人が「生存」していると日本側に通告したにもかかわらず。政府は11年前もの間、これを無視し二人を見殺しにし、国民に隠し通している。
8月末、二人の地元、神戸で「金田龍光さんを放っておいて良いのか」という集会があった。ここでは拉致問題の裏にある深い闇を3人の論者が語っている。これを編集して、【拉致問題の闇】第4弾として公開している。ぜひご覧ください。