この時期、いろんなところで戦争や原爆に関する催しがある。
いつも行く近くの図書館でも原爆のパネル展をやっていた。のぞいてみると、とても小規模の展示なのだが、鋭く訴えてくるものがある。


水爆はもう使わないで
先生
お父ちゃんを助けてください。
あのじっけんさえなかったら
こんなことにならなかったのに
こんなおそろしいすいばくは
もう使わないことにきめてください
小学三年 久保山みや子
原水爆の被害者は
わたしを最後にしてほしい
久保山愛吉
(久保山さんは、1954年の南太平洋ビキニ環礁で、アメリカの水爆実験による死の灰を浴び亡くなった「第五福龍丸」の無線長)
この少女の顔を正視するのがつらい。どんなにささやかなものでも、戦争や被爆を語り継ぐ催しには心を揺さぶられる。ぜひ続けてほしい。
・・・・
テレ朝の「モーニングショー」をたまたまつけていたら、総理談話を特集していた。これまでの談話を振り返ってみたいと思っていたので好都合だった。
総理談話は国政の重要事項に関する総理の公式見解で、内閣の節目や大きな決断の際に示されるもので、閣議決定を経て発表される。

〇戦後50年の村山富市総理談話は、日本の「植民地支配」、「侵略」を認め、アジア諸国に謝罪した。
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html
〇戦後60年の小泉純一郎首相談話は、「植民地支配と侵略に対する痛切な反省と心からのお詫び」について村山談話を踏襲した。ただ村山談話にあった「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ・・」は無くなっている。
「先の大戦では、三百万余の同胞が、祖国を思い、家族を案じつつ戦場に散り、戦禍に倒れ、あるいは、戦後遠い異郷の地に亡くなられています。
また、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表します。悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意です」
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11236451/www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2005/08/15danwa.html
〇戦後70年の安倍晋三首相談話は、「侵略」「おわび」などの文言はかろうじて踏襲している。ただ、反省はやや通り一遍で、欧米の「経済のブロック化」で日本が追い詰められ「進むべき針路を誤」ったという論法になっている。そして、日露戦争まではよかったと言う。
「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。
当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。
満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました」
また、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とあり、謝罪外交に終止符を打つことが大きな狙いだった。
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10992693/www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html
「安倍談話」有識者懇談会のメンバーだった宮家邦彦氏によれば、「談話がどの価値観を持った人からも一定の評価がされるよう、周到に準備されていた」という。

さて、「今、必要なのは、どうすれば二度と戦争をおこさないという、ある意味そういうような仕組み。そういうものについて、(過去の)談話を踏まえた上で、その問題提起というものも受け止めながら考えてみたい」という石破茂首相。
いったいどんなメッセージを出すのか。
(つづく)