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日本に求められる独自の中東外交

 きょうは40度近くまで気温が上がる予報で、猛暑のピークはまだ先になりそうだ。

 先日、ジャーナリストの藤原亮司さんが「ヨーロッパにとってイスラエルという国を作らせることは『体の良いユダヤ人追放』でした。追放した結果、イスラエルに対して強く言えないのがヨーロッパのスタンスです」と語っていた。

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 今朝の新聞に、中東政治の研究家の酒井啓子千葉大特任教授のヨーロッパと中東についてのインタビュー記事が載っていた。

 私たち「ジン・ネット」がテレ朝の『サンデープロジェクト』で中東特集をやるときは、よく酒井さんをコメンテーターにお招きした。お話が論旨明快で分かりやすいのと、お美しく優雅な立ち居振る舞いが魅力的だった。余計なことだが。

朝日新聞8月5日朝刊

 今朝の記事で、かつての日本のスタンスを思い出し、あらためて独自外交の必要性を認識させられた。メモがわりに記しておく。

 酒井さんは、欧州とは一線を画した姿勢で中東と向き合った時期があったとして、以下論じている。

「1973年のオイルショックに慌てた日本政府は、外交政策を親アラブ路線に転換し、イスラエルパレスチナ占領を批判する談話を出します。米国がテロ組織認定していたPLOパレスチナ解放機構)の東京事務所開設を認め、79年にイスラム革命が起きたイランとの断交を米国から求められても、日本は外交関係を維持しました。歴史的にこの地域を植民地支配した経験がないことは、もちろん大きな利点でした。

 産油国の巨大開発事業を日本企業が次々と受注し、79年にはペルシャ湾岸諸国に長期滞在する日本人はオイルショック前の6倍弱に急増。この時代の日本人駐在員の丁寧な仕事ぶりは、戦後の奇跡的な経済復興への憧れとともに、強い親日感情につながりました。

 しかし90年代以降、日本の中東政策は米国追随に大きく傾きます。湾岸戦争でカネだけではない軍事貢献を求められて以降、その流れは、今世紀に入って米国の対テロ戦争に組み込まれていくことで決定的になります。現地での日本企業のプレゼンスも低下。結局、日本は中東を資源の確保先や市場としか見ていなかったと認識され、中東の人々の日本への期待は片思いに終りつつあります。

 ただ、それでもまだ日本には、欧米には果たせない役割と潜在力があります。2023年秋のガザ戦争開始以降、欧米では多くの大学で「反ユダヤ主義」と見なされた研究事業や講演が差し止められる事例が相次いでいます。「知の虐殺」とも言える事態が進行する中、欧米の中東研究者が口をそろえるのは、自由に意見を述べ議論できる日本の環境の素晴らしさです。

 ユダヤ人迫害やパレスチナ問題をめぐる歴史的しがらみの少ない立場をいかし、学問の自由や国際協調、人道支援の中核として貢献する。それが、かつての独自外交の「正の遺産」を引き継ぐことになるはずです。」(聞き手・石川智也)

 「反ユダヤ主義」の呪縛のある欧州だが、そこでいまパレスチナ国家承認の動きが出てきている。トランプに「関税を上げるぞ!」と睨まれそうなのに、フランスやカナダだけでなく、アメリカとは最も緊密な同盟関係にあるイギリスまでも承認に動いている。パレスチナをめぐっては、国連加盟193カ国の4分の3以上がすでに国家として認めている。石破総理はおそらく個人的には承認の意向だろうが、アメリカの鼻息をうかがう今の政権では無理だろう。

 「それでもまだ日本には、欧米には果たせない役割と潜在力があります」との酒井さんの指摘には勇気づけられる。パレスチナ国家承認とイスラエル非難にむけて国会での集中的な審議を望む。




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