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志と運用のあいだに

「志や目的が正しくても、運用を続けるうちに変わってくることはありますよね」

 これは一昔前、会務に参画している事業者団体の合併統合の作業を進めていた際、とある統計作業の可否の問い合わせに対する公取委の担当官の回答の冒頭にいわれた言葉である。続けて「こういうことがありますよね?そうなるとこうなりますよね?」(具体的にはさすがに書けない)とたたみ込まれ、こちらは「はい、承知しました」としか回答するしかなかった。そのくらい担当官は事業者団体活動の内情を知り尽くされていたのである。

 企業法務や調達部門の担当者が騒然とした某パブコメの一件である。
 改正下請法(取適法)の目的はおそらく正しいものなのだろう。しかし、あのパブコメの回答を読み進めていると、冒頭の話ではないが志の正しさを運用が実現できるとは考えにくい。大企業のように業務分掌が明確でなく総務も人事も経理もひとりかふたりで回している企業がすべての取引先から毎月毎回常時使用する従業員数を問われたらどうなるのか。従業員要件からみれば、発注者・受注者ともに同じような規模の企業間取引もあるのではないか。取引上の立場の弱い者を守る目的のはずがかえって逆効果になりはしないか。発注者側とて月々の資金計画に影響がでかねない。資金に余裕がある企業ばかりではない。当事者に負担を強いる運用方法は早々に穴があくものだ。

 そしてこのパブコメは、企業の管理部門、とくに業務規程やマニュアルを作成する管理部門の担当者の教材になると思う。「四角四面」「木で鼻を括る」と盛り上がって(?)はいたが、はたして我が身を顧みるとどうなのか。己の志や目的の正しさばかりを追いかけているようなことはないか。「本部の人はいいですよね。やれ、といってくるだけだから。」「こちらからの質問にちゃんと答えていただけないですよね。」当事者部門からこんな声があがるときには、もう目端のきく人間が運用面の穴を見つけているかもしれないのだ。

冒頭の担当官の話、口調は穏やかで柔らかかったと記憶している。しかしいまなお鋭く刺さったままなのである。

 

 




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