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弱き者の名を消費者という

 いまさらだがジュリスト1月号(NO.1605)と6月号(NO.1611 )の特集記事を読む。
前者は「カスタマーハラスメント」後者は「消費者法の検討」が特集されている。

 「カスタマーハラスメント」の加害者となる消費者は、必ずしも経済的困窮者や情報弱者ともいいきれない。何らかの理由である種のバイアスがかかった信念や情報しか持ち合わせていないという点では「弱者」といえなくもないが、過剰な要求や攻撃的な言動に繋がり企業や自治体の従業員・職員を徒に苦しめているようであれば「弱者」とはいえない。いや、「弱者」がより弱い立場にある弱者を苛む点ではもっと性質が悪いかもしれない・

 企業が自分の望む要求(合理的に考えても過剰要求)に応じなければ、blogに書く、企業のSNSに書き込むなどと高圧的な言動を行うということは普通にあるし、企業担当者の携帯電話に夜間であろうが休日であろうが執拗に着信を繰り返す事例も1件や2件ではない。これらの行為の当事者は普通の会社員や公務員といった勤め人である。だが私生活においては「消費者」の面を被り、およそ自分の職場ではやらないような行為をはたらくのである。

 カスハラ条例をはじめとするカスハラ問題は企業の安全配慮義務をいかに果たすか、という労働法の視点で論じられる。法務担当者が「そこまでの対応は必要ない」と判断するような事例でも、販売やサービスの現場では「顧客第一」「顧客満足」というキーワードが担当者を縛っている現実がある。いわゆるカスハラ条例で消費者は常に弱者ではないという側面がクローズアップされたことは「消費者対応」に日々悩まされる企業や担当者にとっての意味は大きい。

 一方でひと昔前の「モンスタークレーマー」対応のときも現場には注意をしたのだが、消費者からの怒りの感情満載の言動ひとつで「クレーマー」「カスハラ」と断じるのはある意味「思考停止」であり危険である。自社になんらかの落ち度があればそれは認め対処する。そして正当な要求と過大要求を切り分け対応するという点は従前のモンスタークレーマ対応と変わるところはないと考える。過大要求から担当者を窓口部門だけでなく会社が守るという点では、法務担当者や労務担当者がより自社の「消費者対応」に関与することになると考える。

 それにしても「消費者」である。

 以前自分が会務に参加していた事業者団体の消費者関連分科会での話題である。(消費生活用製品の事業者団体である)。「生活の知恵」「賢い家事」といったテーマのblogやSNSでの発信内容(賢いお手入れ、掃除のやり方といったもの)が製品の品質にダメージを与えるものだった事例がある。ダメージ(故障、破損、汚損)が生じたことで、製造事業者に苦情を寄せられても「誤使用」なので「有償で対応」と回答するしかないのだが、ここから延々と理のないクレームが続くことがある。インターネットやSNSで情報を入手していることから「情報弱者」とはいえないと思うのだが、こういう人たちはどういうわけか商品に必ず付属する、あるいは事業者のホームページ所載の「取扱説明書」を読まないのである。自分が見聞きしたことしか信じない、という消費者が登場していく時代に、事業者や事業者団体に要請される「消費者教育」とはどのようなところを目指していけばよいのだろうか。

 消費者行政・消費者法が想定する悪質な事業者(中間層、極悪層)と消費者との関係を否定する気はないが、消費者は弱者であるという前提のみで進めても事業者と消費者間の諸問題が解消に繋がるとは考えられない。自分は消費者行政や消費者法が「消費者=弱者でなければ成り立たない構造」に陥っているところがあるように思えてならないのである。

 

 




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