
腰痛が良くなりかけたと思っていたら、通勤電車(大阪環状線)内で急ブレーキがあり、将棋倒しのように人が倒れ込んできました。
私は吊り革で耐えたのですが、そのせいで再び腰を痛めてしまったようです。
さて、中山七里さんのもう一つのデビュー作品であるのがこの「さよならドビュッシー」です。
「連続殺人鬼カエル男」「連続殺人鬼カエル男ふたたび」を立て続けに読んで、その後この作品を読みました。
先に読めばよかったかな?とも思いました。
インパクトの強さではカエル男になるのでしょうか?
センセーショナルな殺人事件がワイドショーで視聴率が取れるように、カエル男のような作品のほうが手にとって読まれやすいのかもしれません。
こちらの本も中山七里さんの代名詞となっている「どんでん返し」が待っています。
わかっていてもころっと騙されるわけですが、それがとても気持ちいいですね。
この作品は岬洋介シリーズとなっていて、その後の作品にも登場する中山七里作品の主役の一人です。
個性的なキャラクターがたくさんいる中山七里作品ですが、この岬洋介だけは欠点らしい欠点がないと言うか、完全無欠な人間でちょっと珍しいと思っています。
カエル男に登場する刑事渡瀬や古手川は優秀ではあるもののたくさんの欠点も持っています。
また悪魔の弁護士と呼ばれる御子柴礼司シリーズの主人公御子柴礼司は、そもそも「死体配達人」と呼ばれた猟奇的殺人犯で、犯行当時14歳という少年であったため、更生して社会復帰したという人物です。
「嗤う淑女」「ふたたび嗤う淑女」に登場する蒲生美智留も美人で頭が良いのですが、どこか人間として壊れています。
「嗤う淑女二人」ではカエル男に登場した有働さゆりが参加しています。
蒲生美智留とはタイプの違う悪女としての登場です。
岬洋介はこの本の主人公ではなく、探偵役であり、この物語はピアニストを目指す女子高生が不幸にも火事によって焼けただれた姿から手術、リハビリを経てから再生していく物語です。
ピアニストという大変な才能と努力が必要な世界。
主人公のための特別な先生として天才ピアニストである岬洋介がさっそうと登場します。
この天才ピアニストは、もう一方の顔は法曹界のエリートの子息で司法試験トップ合格というものです。
姿は細身ながら引き締まっており、イケメン。なんだか完璧すぎて、ドン引きしますが、そういう人物なのですね。
さて物語は、この土地の有力者である香月玄太郎とその孫娘たちに起きる不幸な事故から動き出します。
玄太郎はワンマンですがいわゆるやり手で大層な資産を築き上げます。
彼には一人娘と二人の息子がいました。
一人娘の玲子はすでになくなっており、残されたルシアは長男の家庭に養子となっています。
長男の娘である遥はルシアと同じ年齢で、幼い頃よりピアニストになるために努力を重ねています。
ルシアもピアノを弾くのですが、ピアニストになるための教育を受けている遥とは違います。
そんな折、玄太郎の住む家が火事に見舞われます。
そこに泊まっていた遥とルシアですが、玄太郎とともにルシアは死亡。
かろうじて一命をとりとめた遥は全身のやけどで声も出せず、全身の形成外科手術を受けます。
その後、リハビリを経て、再びピアニストを目指すことになるのです。
玄太郎は司法書士に遺言書を残しており、それには遥がピアニストになるために財産を相続させるというものでした。
全身手術を受けてピアニストを目指すという遥は同時に巨額の資産を得ることに。
ところが彼女の周りには不穏な空気が漂い、身の危険を感じることになります。
ピアノの家庭教師である岬洋介は、今度はこの不穏な空気のもとを突き止めるため、探偵として活躍することになります。
どんでん返しが楽しい小説なので、あらすじはこの程度のしておきますが、この小説の良いところはピアニストになるための世界というのがいかに特殊で大変なところなのかというのを小説で詳細に描いていることです。
音楽についてもタイトルになっているドビュッシーの作品を見事に表していて、ピアノに興味がある人はもちろんですが、興味が全くない人でも「聞いてみようかな」と思えるような内容となっています。
幼い頃ピアノを習っていましたが、私なんぞバイエル卒業ぐらいで、その後ピアノもほぼ触っていないので全く弾けませんが、面白く読ませてもらいました。
ちなみにカエル男でも有働さゆりがピアニストで、ベートーベンの悲壮ソナタがクローズアップされています。
ちなみに映画化もされていますが、見ていません。
小説を読んでからなので俄然興味が出ますね。