
中山七里さんのデビュー作品とも言える小説です。
私はこの小説を読む前に、別の作品を読んでいたので、登場人物に少し記憶の引っかかりがありました。
同じ作家さんの小説では、キャラクターが作品をまたいで登場しますが、この作品にもその後の作品と重なる人たちが登場していきます。
割とエグいシーンも有り、読者を選ぶところはあります。
ただ、グロい描写のみを売りにしているという作品ではなく、やはり「どんでん返しの帝王」という異名を持つ中山七里さんですから、ストーリーのオチを知るまで、目が離せない内容です。
そして読者はみんな「騙された〜」となるんですね。
この小説は目次からしてなんかおかしいです。
一 吊るす
二 潰す
三 解剖する
四 焼く
五 告げる
最後の告げるを除いて、一~四までは、殺人方法を表しています。
吊るす、潰す、解剖する、焼く、文字を並べているだけでもこれらの方法を想像すると、異常な殺人です。
精神が病んでいる人間の犯行で、刑法39条の心神喪失者の責任能力に対しての問題提起というテーマもあり、猟奇的な連続殺人のみならず、結構重く考えさせられる部分も盛った作品です。
もともとは違う名前の小説だったのですが、元の「厄災の季節」という地味なタイトルと比べ、「連続殺人鬼カエル男」のほうがインパクトがあります。
やはりエンタメ小説として「売れる」ためにはタイトルって重要だなと思いますね。
あらすじ
飯能市で起きた殺人は女性が全裸でフックでぶら下げられていたというショッキングなものでした。
そしてそのそばには「きょうかえるをつかまえたよ」というメモがあり、犯行声明文と推定。
文字や文章からまるで幼児のような印象を受けます。
次の殺人はある車のスクラップ工場の施設で、車を圧縮する装置によって人体が破壊されていました。
そしてそこにはあの拙い文字で書かれたメモがあるのです。
2つの猟奇的殺人は同一犯と見られましたが、2つの殺人の被害者にはなんのつながりもありません。
唯一のつながりを発見した二人の刑事は愕然とします。
そしてそれをカンの良い雑誌の記者が記事にし、世間は大騒ぎになっていきます。
そして身の危険を感じた市民たちが警察がマークしている異常者のリストを奪いに警察署を襲撃するという暴挙に。
エグい殺人シーンもさることながら、子供の頃に受けた虐待も衝撃的で、むしろそちらのほうが吐き気を催すような描写です。
この本とともにデビュー作とされる「さよならドビュッシー」という本も読みましたが、どちらも非常にインパクトのある作品です。
エグさはこのカエル男が、どんでん返しの見事さはドビュッシーの方でしょうか。
どちらも終盤にひっくり返されますが、すごいものですね。
映像化もされているみたいですね。