
染井為人さんは「正体」の映画で日本アカデミー作品賞を取り、あまり馴染みのない人にも有名になりました。
私は「正体」は先に映画を見たので、その後原作を読むということになり、映画よりも原作が批判される理由が感覚的にチョットわかるなあ~という感じです。
映画は素晴らしかっただけに、そういう現象が起きたわけで、作者のあとがきに結末についての「言い訳」みたいなものが書かれていました。
ちなみに染井為人さんの作品はこれまで、4作品読んでいますが、どれも面白かったです。
でも一番インパクトがあったのが、この「悪い夏」でした。
この作品がここまでおもしろくなかったら、多分その後の作品は読んでいないと思います。
Amazonプライム・ビデオに登場したので視聴しました。
展開もいいのですが、善人の公務員佐々木が闇落ちしていくところが生々しく、そしてえげつないです。
エンタメとしてみているならともかく、現実味がありすぎて怖いのですね。
原作に忠実な部分と、若干変わっている部分があるようです。
公務員佐々木を演じる北村匠海さんはイケメンすぎますが、この映画の中ではモテない地味な公務員を演じています。
そしてその相手役となる生活保護を受けている林野愛美を演じているのは河合優実さんで、どうしても「あんのこと」とイメージが重なります。
生活保護を詐欺ビジネスとして手引している金本を演じているのが窪田正孝さんです。
彼こそが諸悪の根源のように見えますが、愛美を引きずり込んだのは同じくシングルマザーの友人です。
そして嵌められた最初の人間は先輩の高野(毎熊克哉さん)なのですが、高野の場合、自業自得です。
なんというか、生活保護を食い物ビジネスにしている人たちは確かに存在しています。
どこまでが合法で、どこからが違法なのかの線引は難しいですが、それをビジネスとしてしまっている国の仕組みがダメなのでしょう。
この物語にも登場しますが、働けるのに働かない、働こうとしない人に生活保護=お金が行き渡り、本当に保護を必要としている人に生活保護を支給することができないと言う歪な行政のあり方が描かれているのです。
内容が内容だけに、あまり笑えないのですが、映画としては原作のテイストを十分に描ききったのではないかと思います。