
一昨年、NHKの大河ドラマで「鎌倉殿の13人」というのをやっていました。
毎回欠かさず見ていたわけではないですが、あのドラマを見る前に読んでいたほうが楽しめたかもしれません。
歴史小説なので史実からあまりにも離れた話を作ることはできませんので、だいたいドラマと同じ流れです。
ただ、タイトル通り、この小説の主人公は後に尼将軍と呼ばれた北条政子です。
日本の歴史上3大悪女の一人として数えられることも多い北条政子ですが、この本を読むと「悪女」として片付けられるのは気の毒に思いましたね。
普通の武家の女として生きていれば、きっと違う人生があったのでしょう。
それが鎌倉幕府を起こした源頼朝の正室、御台所としての振る舞わなければならないという運命。
普通の女性として普通に過ごすことなんてできなかったのだと思います。
鎌倉殿の13人では、彼女の弟である北条義時が大きな存在でしたが、こちらの小説では終盤こそ彼の活躍が描かれるものの、それほど目立つ存在ではないです。
それよりも兄の宗時が非常に優れた人物として描かれています。
若くして命を落としてしまいましたが、存命していれば随分と歴史も変わったことでしょう。
何よりも政子の性質を知り尽くし、いつも優しく支えてくれた兄。
激しい気性の持ち主で、いつもやりすぎてしまう政子を叱りつけるのではなく、そっとたしなめてくれる兄。
夫の頼朝ももし宗時が存命していたら、きっと要職につけていたでしょう。
女性の目線で、女性が描いた歴史に登場する女性。
北条政子は気が強かったのは間違いないにしても、その激しさは強い愛情の裏返しでもあると考えると、悪女という言葉も憚られる気がします。
婚家である源直流が途絶え、北条家が執権として鎌倉幕府を支えるという流れを作り出したのは、結果としてそうなったということで、政子が望んで源一族を根絶やしにしたわけでもないのですが、歴史的にはそう取られてしまったのかな?とも思えます。
私も学生の頃、歴史の授業で学んだ北条政子はなんともゾッとするような存在でした。
事実だけを見れば、嫁ぎ先の血筋を絶やしてしまい、実家の血筋を脈々と執権家として確立した女性、そんなふうに取れてしまいます。
頼朝の妻として、御台所と呼ばれ、すごい権力を持った女性です。
しかし、彼女がはじめから権力欲しさに頼朝の妻になったわけではありません。
そしてこの時代は、上皇、帝を中心とした公家たちからは「道具」として利用されてきた武士たち。
しかし、武力、戦を通じて、彼らは確実に力をつけ、ついに武士による世の中を作り上げていくのです。
考えてみれば頼朝と政子の夫妻は、日本の大きな変革を作った人たちなんですよね。
そのための犠牲といえば、聞こえは良いかもしれませんが、我が子がみんな死んでいくというのはどういう気持だったでしょう。
女性、母として考えてみると、とても不幸な女性であったと思いますね。