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マーケティングで勝利可能なのは一度だけ。内容が伴わなければ『二度目』はない - 『ひらめき☆マンガ教室』8期同人レース Bチーム振り返り

『ひらめき☆マンガ教室』8期同人レース、お疲れさまでした!

Xアカウントのほうではちょくちょく書いているんですが、私たにし、株式会社ゲンロン主宰のマンガ学校「ひらめき☆マンガ教室」(以下ひら☆マン)*1に8期生として昨年から通わせていただいております。

ひら☆マンでは受講生が3チームに別れて同人誌を制作し、自主制作漫画誌展示即売会コミティア*2での売り上げを競う「同人レース」と呼ばれる課題が例年行われており、僭越ながら私たにしはBチームリーダーを務めさせていただきました。

先日2/22(日)コミティア155*3で実際の販売が行われたわけですが、ありがたいことに我らがBチームは見事優勝。大団円を迎えることができました。これもすべてはチームメンバーのみなさまのおかげ。不甲斐ないリーダーを支えてくださり本当にありがとうございました。


レースに対しては↓YouTube番組で各チーム代表者から制作過程のプレゼンおよび、ひら☆マン講師陣からの講評が行われており、私もBチームリーダーとして発表させていただいております。

(たにしのBチーム発表は 24:45 辺りから)
www.youtube.com

Bチームの制作過程詳細については番組をご覧いただきたいのですが、ここでは番組後、講評を受け個人的に考えたことを補足的に書いてみようと思います。

「マーケティングの勝利」について

講師陣からはBチームの勝利について「マーケティングの勝利」という講評をいただきました。「女装男子」というテーマ設定がコミティアの客層とマッチしており、「女装好きなXアカウントを率先してこちらからフォローし、顧客層での認知拡大を狙う」というX広報戦略も適切であったと。

これは当日、現場で売り子をしていても確かに感じたことで、Bチーム本は試し読みなし、ブース確認なしで事前情報を元に即買いしていくお客さん、いわゆる「指名買い」がものすごく多かったんですね。体感的に6割くらいは「指名買い」だったんじゃないでしょうか。これはX広報でウチの本を認知し、お目当てにして買いに来てくださったお客さんが多かったことの証左だと思います。


番組中でも語っているとおり、「コミティアは指名買いが多い」という情報を風のうわさで聞きつけていましたので、X等での事前広報が当日と同じかそれ以上に重要であるという考えは一応もってはいました。たにし自身も指名買い派ですし。

とはいえ。

これは具体的な数値データがあるわけでもない、あくまでネットで聞いた風のうわさレベルのあいまいな話*4。X広報が実際のところどこまで効くのかは販売前まで完全に未知数。ふたを開けてみればどうやら正解だったらしいという要するに結果論で、「広報いわれてもXぐらいしか思いつかないし」でX広報をやっていたというのが実際のところです(やるからには全力でメチャクチャチカラ入れましたが)。


これはテーマ決めについても同様で、「女装男子」というテーマは特別コミティアを意識して選ばれたものではありませんでした。番組で語ったように「ある程度の尖ったフックがあること」「作家さんが描きたい/描けるテーマであること」から選択したもので、これがもしコミティアの客層とマッチしていたというのであれば「たまたま」としか言いようがありません(笑)


つまり「マーケティングの勝利」と講評され、結果を見れば確かに私もマーケティングが上手くいったから売れたのだなと合点がいくのですが、それは多くが結果論であり、キッチリ狙い澄ましたものではなかったということです。「マーケティング」というと「狙った顧客に狙った戦略で売る」という意味合いに聞こえるので、そう講評されるのには正直こっ恥ずかしさがある(笑)

「ある程度は推論ベースで狙っていたけれど、それがハマったのはほとんど結果論だったよねw」というのが実感といったところです。


私たちは数ヶ月まえ完全にランダムでチームを組んだ、急ごしらえの烏合の衆*5。出版社のように過去のイベント客層や売り上げ等のデータを持っているわけでもない。である以上どんなマーケティング施策も推論の域から出られないのは、このレースの限界といえるのかも知れません。


「内容の弱さ」について

マーケティングについて好評をいただいた一方で、内容については厳しめの評価を頂戴しました。曰く「女装男子目当てで指名買いにくるようなコア層が期待する内容になっていない」と。特に自身も大の女装男子好きという由田果先生は厳しい評価で、「女装男子本買うならコミティアでは買わない。私が期待する内容ではない可能性が高いから。もっとコアな即売会で買う」ということでした。

これは非常によくわかる話で、大のゲーマーである私の言葉で言い換えるなら「ゲーセン行くならプリクラやUFOキャッチャーメインの店には行かない。私が期待するゲーセンではない可能性が高いから。ミカド*6やもっとコアなビデオゲームばかり置かれた個人ゲーセンへ行く」という話でしょう(笑)


これも言われてみれば尤もな話で、今回のBチーム本は全作品が女装男子の登場する物語ではあるものの、女装男子コア層が求めていそうなフェティシズムに訴えるような作品は一作もないんですね。つまりマーケティングではコア層へ訴求し、実際それが上手くいったにも関わらず、その期待に応える内容になっていないと*7。これでは一度めはあってもリピーターになってもらうことはできないよと。


今回のレースは一発勝負であり、ウチの本も同一メンバー同一テーマで続編が出版されることはもう二度とありません。そうしたレギュレーションでの勝負なので、「二度目」については無視してしまっても勝てる闘いではありました。

しかしこれが通常の出版物であれば、「一度目」で期待を裏切られた読者に「二度目」はありません。Bチーム本が定期刊行誌であれば、「初号はマーケティング成功により爆売れしたけれど、読者の期待に応えられず徐々にジリ貧。数号で廃刊の憂き目となった残念な雑誌」になってしまっていた可能性は否定できません。


「内容がよければ売れるわけではない」。コンテンツ業界で非常によく耳にする言葉です。けれどもそれじゃあ内容はどうでもいいのかといえばまったくそんなことはありません。「一度め」だけであればマーケティングその他の力で売ることはできるかも知れない。けれどもそれで「ハズレ」を掴まされた顧客はもう二度と買ってくれません。

商業作品において「一度め」は確かに内容が軽視されがちかも知れない。内容がモノをいうのは「二度目」以降、長期的な視座においてです。任天堂はじめ長期IPとなったゲームタイトルは総じてそうしてブランド化したタイトルばかり*8。「作家買い」の対象とされるような大御所作家たちも同じでしょう。

この点においてBチーム本が弱かったというのは、確かに講評のとおりだと思います。

マーケティングが上手くいき「同人レース」という1回限りゲームには勝利した。しかし長期的に見た場合に疑問が残る

Bチームの総評としては↑のようになると思います。今回の同人レースのレギュレーションに、Bチームの戦略が(その多くはたまたまだったかも知れないが)マッチした。しかし長期的に見た場合、この内容ではジリ貧になってしまうだろう。

なかなかに手厳しい。しかしそれでも勝利は勝利。運も実力のうち。素直に勝利を喜びつつも、見えてきた課題に対しては今後の糧としていきたいところです。

*1:ひらめき☆マンガ+ – マンガ業界で活躍する人材を育成している「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」の公式サイト

*2:COMITIA

*3:COMITIA155開催情報

*4:探せば数値データもあるのかもしれないけどそこまでしなかった。

*5:本当になんの忖度もなくガチでランダムだと、運営から説明を受けています。

*6:ゲーセンミカド

*7:作品そのもののクオリティの話ではなく、ターゲットであるコア層の嗜好には合っていないという話であることにご留意ください。

*8:アタリショックを思い出してください。




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