パチパチパチパチ~~~~
…と書いても突然私がなにを言いだしたのか、ほとんどの方がぽかーんだと思いますが、書いた言葉そのまんまです。本日2025年6月29日は、『スクールカースト』という言葉が誕生して20周年の記念すべき特別な一日なのです。
どうしてそんなことがわかるのかって?
『スクールカースト』という概念を言語化し、ネットで広めた張本人がこの私、たにしだからです。
いまではこんなにも一般化した『スクールカースト』の発祥が、Xフォロワー1000人程度、市井の弱小アカウントであるこの私なんてウソみたいだろ…でも、本当です。ウソみたいなホントの話。事実は小説より奇なり*1。
手前味噌で恐縮ですが、今日はそんな『スクールカースト』20周年を記念して、発祥者であるこの私から誕生秘話的な話を書いてみたいと思います。
『スクールカースト』誕生秘話
『スクールカースト』をWikipediaで調べてみると↓のようにあります。
スクールカースト - Wikipedia
スクールカーストという語の初出については、雑誌『AERA』2007年11月19日号に、スクールカーストという言葉を2年ほど前に初めてインターネット上に登録したと述べている当時29歳の男性への取材記事が掲載されている。
↓がその『AERA』2007年11月19日号(たにし私物)。



このAERAには「マサオさんは2年ほど前、インターネット上に言葉を登録し、説明文を編集できるサイトに、実体験を基にこう書き殴った」とありますが、↓がそのサイトです。
当時の「はてなキーワード」現在の「はてなブログタグ」。
d.hatena.ne.jp
このサイト、現在は編集できなくなっていますが2005年当時ははてなユーザであれば誰でも編集できる簡易Wikipediaのようなシステムで、ここに初めて「スクールカースト」を登録したのが当時 id:Masao_hate を名乗っていたこの私*2
『スクールカースト』はてなキーワード登録告知記事。2005年6月29日23:08
masao-hate.hatenablog.com
2005年ごろのはてなダイアリーには「はてな非モテ論壇」と呼ばれた今でいうXの弱者男性論壇的な界隈がありまして。当時私は論者のひとりとして自身の経験を基にブログでスクールカーストやモテ/非モテについて頻繁に言及しており、はてなキーワード化もその一環。それがトラックバックやはてなブックマーク等を通して広まっていったという経緯です。
この概念を教育評論家の森口朗氏が新書『いじめの構造』(2007年6月)で取り上げてくださり、これがマスメディアでの『スクールカースト』使用第1号*3 。
その後この概念が冒頭のAERA編集者の目に留まり、私へ取材の申し込みがあるなど徐々に定着。「スクールカーストもの」がマンガ/小説で1ジャンルと認知され、若者研究やいじめ研究などアカデミックな分野でも論文書籍が多数執筆されるなど、今日ではネットスラングを超えた一般用語として使用されているのはみなさまご存じのとおりです。
masao-hate.hatenablog.com
『スクールカースト』の元ネタ
さてこの『スクールカースト』、私がゼロから考案したオリジナル概念というわけではなく、発想の元ネタがあります。90年代後半に流行したテキストサイトのひとつ『ペヤンゲ』*4の1コーナー「オタク専門学校」で使用された「学校カースト」がそれです。
オタク専門学校3:間違った盛装 (Webアーカイブ)
現実に、いちじるしく太いことは厳しいカースト制に支配されて
いる学校において、容易にいじめの原因になりえます。<中略>
なにも太っているだけとは限りません。あなたの学校生活の中で
自由にグループを作ったりするとき、余ってしまうヤツはいたはず
です。いやマジ絶対いましたって。いないと言い張る人はよっぽど
クラスのカリスマだったか、さわやか3組だったんですね。なんで
こんなもん読んでるんですか?ああすいません。つい話がそれましたが、学校カーストで下層の
地位に置かれた人間は、オタク化しやすいのではないでしょうか。
おみそ扱いが、逃避の呼び水になっているのです。
もちろん例外はたくさんあります。ですがオタク発生最大の原因、
それは学校カーストです。
このサイトを初めて読んだとき、私は心臓が止まるほどの衝撃を受け、コンプレックスが強烈に刺激されました。私自身が「学校生活の中で自由にグループを作ったりするとき、余ってしまうヤツ」張本人だったからです。
中学時代の私のクラスメイトに「教室には男にも女にも1軍/2軍/3軍の序列がある」という持論を持つ女性がいたのですが*5、「学校カースト」という言葉を見た瞬間、このふたつの事象が強烈に私の中で紐づけられました。このイメージを「人気の序列」と解釈し言語化したのが『スクールカースト』。
ですのでこの概念はゼロから私が発明したわけではなく、私がそれまでの人生で見てきた様々な学校体験が、カルメン伊藤氏の「学校カースト」をキーワードとして結合し昇華されたものであるというのが正確なところです。
このあたりの経緯については2012年、この言葉の出自について話題にされていた id:gryphon さんの↓記事でコメントしたことがあります。『いじめの構造』の著者森口朗氏もコメント欄に登場しているなどちょっとした歴史的資料の赴きなので、ご興味ある方は是非ご一読を。
m-dojo.hatenadiary.com
『スクールカースト』というインターネット・ドリーム
このようにして誕生した『スクールカースト』ですが、20年前ネットの片隅に私という一個人が種をまいた言葉がこのような広がりを見せたことはとても感慨深く、若かった私のスクールカーストに対する鬱屈した想いをネットを通じて昇華できたように思います。
当時のネットには個人の想いが世界を変えていくという牧歌的/理想主義的な雰囲気がまだ残されていましたが、『スクールカースト』はまさしくそのインターネット・ドリームを体現した一例といえるのではないでしょうか。
『スクールカースト』登録当時27歳だった私も、いまではもう47歳。生々しかった学校生活の記憶も遠ざかり、社会環境も大きく変化したいま、スクールカーストに対する私の考えも当時とは若干ちがったものとなっています。現在のスクールカーストに対する私の考えも書きたいのですが、少し長くなってしまったので今日はここまで。別記事として近日公開するつもりです。
*1:私もウソみたいだと思う。
*2:id:Masao_hate = id:Ta-nishi については、当時からのブログ仲間 id:p_shirokuma さんあたりにお問い合わせくだされば確認できると思います。
*3:森口氏は2007年夏コミで直接私を訪ねてくださるなど、ネット/リアルでも交流がありました(参照)。