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【源氏物語 第26帖790 常夏1〈とこなつ〉】炎暑の日に源氏は皆と東の釣殿へ出て涼んでいた。鮎、石臥《いしぶし》などというような魚を見る前で調理させていた時、内大臣の子息たちが中将を訪ねて来た。

 炎暑の日に源氏は東の釣殿《つりどの》へ出て涼んでいた。

子息の中将が侍しているほかに、親しい殿上役人も数人席にいた。

桂《かつら》川の鮎《あゆ》、加茂《かも》川の石臥《いしぶし》などというような魚を

見る前で調理させて賞味するのであったが、

例のようにまた内大臣の子息たちが中将を訪《たず》ねて来た。

「寂しく退屈な気がして眠かった時によくおいでになった」

 と源氏は言って酒を勧めた。

氷の水、水飯《すいはん》などを若い人は皆大騒ぎして食べた。

風はよく吹き通すのであるが、

晴れた空が西日になるころには蝉《せみ》の声などからも

苦しい熱が撒《ま》かれる気がするほど暑気が堪えがたくなった。

「水の上の価値が少しもわからない暑さだ。私はこんなふうにして失礼する」

 源氏はこう言って身体《からだ》を横たえた。

「こんなころは音楽を聞こうという気にもならないし、

さてまた退屈だし、困りますね。

お勤めに出る人たちはたまらないでしょうね。

帯も紐《ひも》も解かれないのだからね。

私の所だけででも几帳面《きちょうめん》にせずに気楽なふうになって、

世間話でもしたらどうですか。

何か珍しいことで睡気《ねむけ》のさめるような話はありませんか。

なんだかもう老人《としより》になってしまった気がして

世間のこともまったく知らずにいますよ」

 などと源氏は言うが、

新しい事実として話し出すような問題もなくて、

皆かしこまったふうで、涼しい高欄に背を押しつけたまま黙っていた。

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