
灯《ひ》などをともさせてくつろいでいる源氏夫婦は美しかった。
女王《にょおう》は二十七、八になった。
盛りの美があるのである。
このわずかな時日のうちにも美が新しく加わったかと
右近の目に見えるのであった。
姫君を美しいと思って、
夫人に劣っていないと見たものの思いなしか、
やはり一段上の美が夫人にはあるようで
幸福な人と不運な人とにはこれだけの相違があるものらしいなどと
右近は思った。
寝室にはいってから、
脚《あし》を撫《な》でさせるために源氏は右近を呼んだ。
「若い人はいやな役だと迷惑がるからね。
やはり昔|馴染《なじみ》の者は
気心が双方でわかっていてどんなことでもしてもらえるよ」
と源氏が言っているのを聞いて、
若い女房たちは笑っていた。
「そうですよ。
どんなことでもさせていただいて私たちは結構なんですけれど、
あの御戯談《ごじょうだん》に困るだけね」
などと言っているのであった。
「奥さんも昔馴染どうしがあまり仲よくしては
機嫌《きげん》を悪くなさらない。
決して寛大な方ではないから危《あぶな》いね」
などと言って源氏は笑っていた。
愛嬌《あいきょう》があって常よりもまた美しく思われた。
このごろは公職が閑散なほうに変ってしまって、
自宅でものんきに女房などにも戯談を言いかけて
相手をためすことなどを楽しむ源氏であったから、
右近のような古女《ふるおんな》にも戯れてみせるのである。
💐🎼#Chilly written by #Kyaai
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