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【平家物語102 第4巻 橋合戦③】「弱き馬は下流に、強き馬を上流に立てよ。 馬の足川床を歩む間は手綱をゆるめ、 足とどかずに泳ぎはじめたなら手綱をしめよ。 流される者あらば弓をあたえて引き戻せ‥

この橋上の激戦を眺めていた平家の本陣は、

次第に焦立ってきた。

死物狂いで防戦する頼政一党を破って、

橋から宮のいる陣へ突入するには時間がかかる上に、

第一狭すぎる。

敵が宇治橋の防戦に全力をあげている虚をついて、

一気に宮の本陣に全兵力を投入して討ち果したい、

それには川を渡らねばならぬが川の深さははかり知れぬ。

 平家の侍大将上総守忠清は、

大将軍知盛の前にあらわれると指揮を仰いだ。

「ご覧のごとき橋上の激戦、

 今はこの川を渡る以外に手段はございませんが、

 五月雨《さみだれ》で増水しているところへ

 無理をして渡河強行いたしますならば、

 人も馬も多く失われるは必定、

淀、一口《いもあらい》へまわるか、

または河内路へまわって、そこから対岸に渡るべきか、

二つに一つを選ぶよりほかに道はないと存じます」

 これをそばで聞いていた当年十七歳になる

下野国《しもつけのくに》の住人足利又太郎忠綱は、

憤然として知盛の前に進むと断固たる口調で進言した。

「淀や河内路まで廻って渡河しようというお話ですが、

 支那か印度の兵でも呼んで川を渡そうというのですか。

 戦をしているのはわれわれですぞ。

 目の前にいる敵をいま逸したなら、

 宮を奈良へ落ちさせてしまいます、

 そうなったら、

 吉野、十津川の軍勢が宮のもとに大挙して集るのは目に見えています、

 これは一大事ですぞ。板東武者のならいとして、

 敵を目前に控え、

 川が浅いの深いのと考えこんでいる暇は持ちませぬ。

 この川の深さとて利根川と余り違いはないはず」

 というや、ひらりと馬にまたがり、

 自分の家来たちの前にくると叫んだ。

「今こそ死ぬべきときだ、さあ、われに続け」

彼は馬に一鞭くれると、さっと川におどりこんだ。

これに勇を得て続く侍は大胡《おおご》、大室《おおむろ》、

山上《やまかみ》などの面々、

しぶきをあげて流れに馬を乗り入れるもの三百余騎である。

そのとき振り返った足利又太郎が、

大音声をあげて注意した。

「弱き馬は下流に、強き馬を上流に立てよ。

 馬の足川床を歩む間は手綱をゆるめ、

 足とどかずに泳ぎはじめたなら手綱をしめよ。

 流される者あらば弓をあたえて引き戻せ、

 手を組み肩を相抱いておくれずに渡れ。

 川の中で弓を引くな、敵射てきても相手になるな、

 兜を傾けて矢を避けよ、下げすぎては首を射らるるぞ。

 馬には弱く、水には強く当れ。

 流れに逆わず従って渡れよ」

 この適切な助言は、

水に経験の浅い軍勢にたいして極めて効果的であった。

かくして渡河の先陣三百余騎は全員無事対岸にたどりついた。

⚔️🎼Sniper written by ゆうり

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