
歯医者の倒れる椅子で横になる。
あれ、と思った。強烈な違和感。
「痛くないですか?」
定期的なクリーニングに来ただけだが、珍しく歯茎がやや炎症を起こしているので少し痛むだろうと言われた。
そうですか。しかしそれどころではない。
とんでもなく幸せだった。
薄々勘付いてはいたが、どうやら私はめちゃくちゃ疲れているようだ。なぜなら今、歯医者の椅子の上で、口を開けて機械を入れられてるのに、歯茎が炎症を起こして痛いらしいのに、天国みたいに感じている。
休日の昼間に、こうして穏やかに横になれる奇跡。誰も騒いでない、静かなひととき。アイマスクまでのせてもらえる。どんなリラクゼーションだろう。歯医者がこんな癒しの空間だったとは。眠りそう。
「痛くないですか?」
先生は何度も聞いてくれる。
「むしろ極楽すぎて幸せです」
とうっかり答えそうになる。他人を怖がらせてはいけない。
3歳と0歳の子どもたちと過ごしていた頃、7歳と4歳の育児なんてとんでもなくラクになっているんだろうなと思っていた。だが現実はいつも軽やかに裏切ってくる。とりあえず、想定していたものとはだいぶ違う。
それぞれ小学校と幼稚園には通っているが、放課後は夢のようにたっぷりあり、春夏冬休みは大胆に長い。男子たちはパワーアップして元気に暴れ、私はあの頃より4歳老化している。計算通りの、素晴らしい誤算だ。
「どっちがママが大好きか競争しよう?」
「ママ大好き!」「ママ大好き!」「ママ大好き!」「ママ大好き!」
こうして文字で読むと微笑ましい限りだが、盲点なのは勝敗が声の大きさで決まるという点だ。鼓膜が破れそう。どっちが勝った負けたで勝手に悔しがり泣き出し大騒ぎが始まる。
「二人とも同じくらい大好きだから静かにして」
誰も聞いていない。
お風呂上がりの脱衣所はいつも阿鼻叫喚で、喧嘩なのか揉め事なのか何かが勃発している。長男による質問責めの時間でもある。その日は夫が風呂担当で、私はキッチンで皿をしまいつつ耳を澄ませていた。
長男は洗面台に置いているアレクサに話しかけているようだ。
「ねえアレクサ、アレクサ足すアレクサは?」
「アレクサ足すアレクサはアレクサ、アレクサかけるアレクサもアレクサです」
冷静だ。我が家のアレクサは狂気の質問に慣れている。矛先は夫へ向かった。
「パパ、ねぇ、パパかける100は?」
私は聴覚を研ぎ澄ませる。
「パパかける100は、パパパパパパパパパパパパパパパパ……」
夫も全力で頑張っている。「100パパ」でお茶を濁さなかった。
さて、まったく伝わっている気はしないが、こんなカオスな日々で疲弊している我々が、なんとか回復するために重宝しているとっておきのものを今日は紹介したいと思う。
それはインスタでよく見かけるあのサプリ……
などではなく、
睡眠
である。
一昨日は8時間寝て、さらに夕方のゲーム&タブレットタイムに1時間ほど昼寝ができた。昼寝は滅多にできないが、短時間でもかなり回復できて効果は大きい。ちなみに昨夜は10時間以上寝た。それでも朝は身体が鉛のように重い。風邪が治る気配がない。寝なければやっていけない。
常に子どもに合わせた外出と外食で楽しみを奪われがちな週末の夜、今日は久々にインドカレー(滅多に行けない)の出前を取り、ビリヤニとハイボールで陽気になり、私はやっとここに戻ってきた。
そう、「めちゃくちゃ疲れている」から「ほどほどに疲れている」にステイタスが変わった今、こうして元気にブログを書いている。

ちなみに今日は記念すべき冬休み最後の日。いよいよ明日から、始まるのです、幼稚園。静かな時間よ、こんにちは。心の中で小さくファンファーレ。たとえ2時間でお迎えだとしても。
小学校に行きたくない長男は私に言う。
「学校より家がいいなぁ。ママはずっと休みでいいなぁ」
休めていると、思っているのかい?
恐ろしい予告だが、2ヶ月後には春休みが来る。
言うまでもなく子どもはキュート、しかし歯医者の定期検診すら楽しみになる、ワンダフルにタフな日々である。

Sweet+++ tea time
ayako
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