橋本秀美『孝経』*1から。
『孝経』*2は「全体で千八百字程度、原稿用紙で五枚に満たない極めて短い経典」(pp.2-3)で、「かつては誰もが読んだ本でありながら、現在ではほとんど誰にもよまれなくなった」(pp.3-4)。
孔子とその弟子たちとの言行録である『論語』は断章的な内容だから、朱子などの後世の学者が付加した解釈がなければ、そこに一貫した明確な主張を読み取ることはできない。逆に言えば『論語』は、それを題材にして様々な道徳・精神論を語ることが可能なので、現在でも広く活用されている。中国でも、二〇〇六年に『論語心得』という通俗道徳論がベストセラーになったことがある*3。一方の『孝経』は、内容がかなり明確な倫理道徳なので、いわゆる「封建道徳」が否定された現代において、その活用の余地は限られてしまう。だから、現在『孝経』を読んだことのある人が『論語』に較べて圧倒的に少ないのは、当然のことと言わねばならない。(p.3)
(前略)『孝経』の約千八百字は、十八あるいは二十二章に分かれ、儀礼制度・政治思想・宗教・生活倫理など儒教の様々な側面に関わる内容が織り込まれており、かなり全面的だと言える。『論語』が儒教経典を代表するというのは無理があるが、『孝経』なら何とか認められそうだ。(後略)(p.7)
*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2025/01/21/123442
*2:Mentined in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2025/01/21/123442 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2025/02/04/092734
*3:于丹著。See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070221/1172072787 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070307/1173232041 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20070806/1186400188 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100202/1265090811