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火事の今昔(向田邦子)

向田邦子*1「笑う兵隊」(in 『無名仮名人名録』、pp.174-179)から。


正直いって、火事もつまらなくなった。
子供の時分見た火事は、焼けた方には申しわけないが。黒い夜空に火の手が上がり、どてら姿で飛び出した見物たちの顔まで赤く燃えるようだった。まわりが静かだったせいか、火の粉の弾ける音も聞え、八百屋お七ではないが、様子のいい殿方に手でも握られたらフラフラとなりそうな色気があった。
ところが、今の街なかの火事ときたら、どこが火元やらネオンやら、
「あの辺らしいですよ」
弥次馬の指さす高層ビルの窓のあたりを見上げて首が痛くなるだけである。
それでも性懲りもなく飛び出すのは、消防自動車と消防夫を見るのが好きなせいである。(pp.174-175)




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