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「炎の中から」持ち出した本

木村哲也「柳田国男宮本常一https://www.toibito.com/column/humanities/folklore/1033


この宮本常一*1のエピソードは興味深い。


戦時中、宮本の自宅があった大阪府堺が空襲に見舞われ、調査ノートをはじめとした資料や書物のほとんどが焼失してしまったことがありました。燃えさかる炎の中から唯一、宮本が必死の思いで持ち出したもの。それは、初期の柳田が山の暮らしや民間伝承を聞き書きによって記録した『遠野物語』だったそうです。柳田の創始した民俗学が、文献史料を主に取り扱う歴史学に対抗し、文字にならない習慣や民間伝承を調査することで歴史の陰に隠れた人々にスポットを当てるものだとするならば、宮本常一こそがその正統な継承者と言えるのではないでしょうか。


調査を始めた頃は一般的な農民だけではなく、山で暮らす人々や被差別民の暮らし等も事細かに記録していった柳田ですが、晩年にはそれらの研究成果を「例外」として自ら切り捨て、先祖伝来の土地で稲作をする定住民こそが日本人の「原型」であるという結論に達したのでした。
この見解は柳田國男論としては定説になっているのだろうけど、柄谷行人『遊動論』*2のようなその定説への疑義を通して相対化される必要はあろう。




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