タイタン所属の漫才師・キュウが、今年八月に開催した単独公演『Q』で披露した漫才を、YouTubeの公式チャンネルにおいて一部公開していたので、視聴する。十二日の大阪公演を鑑賞したにもかかわらず、酒と疲れによって終演後には内容を完全に忘れてしまっていた、例の公演である。他に類を見ない作品性の高い漫才を生み出し続けているキュウは、ネタの動画配信にも積極的だから有難い。今回、YouTubeで公開された漫才は、『趣味』と『価値』の二本だ。
多趣味だというぴろが自らの様々な趣味を紹介する『趣味』は、清水がぴろの戯言を「めっちゃええやん」と全面的に受け入れた後で微笑みながら冷静にツッコミを入れる初期の代表作『めっちゃええやん』のフォーマットに、なぞかけの要素がプラスされたもの。「めっちゃええやん」という名フレーズが削られてしまった無念さも残るが、『めっちゃええやん』のフォーマットよりも格段に笑いが増量されていて、より広い層にウケるネタに進化を遂げている。また、ネタの構造を複雑にしたことで、清水のツッコミによる切り口の変化が、より爽快で楽しいものになっている。高い作品性を維持しながらも少しずつ大衆性に寄せていく、そこに私がキュウの漫才を愛している理由がある。
一方の『価値』は、稀少性と価値の歪みに対する疑念を訴えかけているような、バカバカしくもメッセージ性の強いネタ。数が少ないから価値があるのか。だとすれば、まだこの世には存在していない、ゼロのものにはどんなものよりも価値があるのではないか。では、そのゼロのものを構築する、素材の価値はどうなるのか……。漫才を生み出すクリエイターとしての思想が少なからず反映されているような、なんとも奇妙なネタだった。これもまたキュウ。これがまたキュウ。
これら二本のネタを観ているうちに、他のネタも観たい衝動に駆られてきた。例年通りであれば、年末年始ごろにはソフト化されるのだろうか。ちょっと待ち遠しい。