
「今日こそは計画通りに進めよう」
朝、コーヒーを片手にGoogleカレンダーを開きながら、あなたは意気込んでいます。
しかし、午前の会議が長引き、急ぎのメール対応に追われ、差し込み作業を処理するうちに、予定していたタスクの時間はどんどん削られていき、気づけばスケジュールは崩壊。夜、手帳を見つめながら「タイムブロッキングって意味あるのかな」とため息をつく……。
このように、時間を区切って効率的に動くはずが、むしろ計画倒れのストレスが増えていく経験がある人も多いのではないでしょうか。
タイムブロッキングが「うまくいかない」のには理由があります。
本記事では、その原因を明らかにし、無理なく続けられる実践的なコツを紹介します。
なぜ、あなたのスケジュールは昼過ぎに崩壊するのか?(3つの挫折パターン)
タイムブロッキングとは
【タイムブロッキングとは】
あらかじめ時間を区切って、特定の作業に割り当てる時間管理術。タスクを確実にこなせる、休息を確保できる、作業を効率化できるなどのメリットがあります。
タイムブロッキングとは、あらかじめ時間を区切って、特定の作業に割り当てる時間管理術のこと。みなさんも、知らず知らずのうちにタイムブロッキングを活用しているでしょう。
タイムブロッキングを活用するメリットについて、ワークマネジメント専門家のJulia Martins氏は、「仕事のブロックをスケジューリングすることで、重要なタスクを確実にこなすことができるだけでなく、休息とセルフケアのための時間を確保でき」ると述べています。*1
STUDY HACKERでも、過去にタイムブロッキングの活用術をまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
しかし、メリットばかりのように思えるタイムブロッキングですが、意外と挫折してしまうケースも多いのです。その理由はいったいどこにあるのでしょうか?
よくある挫折ポイント

タイムブロッキングには、大きく3つの挫折ポイントがあります。
タイムブロッキングをしても、タスクが終わらない
「作業時間を割り振って進めても、その時間内にタスクが終わらない」「作業時間を確保したのに、なかなか集中できない」など、せっかくタイムブロッキングを行なってもタスクが進まず、挫折してしまうケースです。
これは、タスクにかかる時間を正確に見積もれるようになること、自分の生産性が高い時間を把握することで改善できます。
タスクを詰め込みすぎ、対応できず疲れてしまう
「朝から晩まで、やるべきタスクを分単位で詰め込んでいて、少しでも予定が狂うと計画倒れしてしまう」「プライベートの時間も、細かくタスクを分けていて、ずれるとイライラしてしまう」など、完璧主義の人が陥りやすいケースです。
生活するうえで、その都度予定が変わることはよくあるもの。それを見越して、上手に余白時間を確保することで、このケースは改善できます。
緊急の仕事や予定変更に対応できず、計画が崩れる
「作業中に割り込みが発生して、タスクを進める時間が取れなくなった」など、予想外の出来事で作業を中断せざるを得ないケースです。
特に仕事をしていると、状況が変わり、それに合わせて優先順位も変わります。そのような場合にも柔軟に対応できるよう、タイムブロッキングの方法を工夫することが大切です。
タイムブロッキングは誰でも簡単に取り入れられる時間管理術ですが、小さな落とし穴にはまってしまい、挫折してしまうこともあるのです。
しかし前述した通り、タイムブロッキングは重要なタスクを前進させるために非常に有効な方法です。
このような落とし穴を避け、今度こそうまく活用するための方法を、次項で紹介します。
今日から回る!「修正前提」のタイムブロッキング実践術

タスクにかかる時間を把握する
タスクにかかる時間を把握しないまま、「きっと1時間で終わるだろう」などと、なんとなく作業時間を決めるのは計画倒れの元。
議事録や日報作成、企画書作成など、よく行なう業務は普段からタイマーで時間を計っておき、メモしておくと役立ちます。
パソコンやスマホのタイマーを使うと習慣化しやすいでしょう。
とはいえ、新しい業務など、時間の見積もりが難しいものもあります。
そのようなタスクはなにを目安にタイムブロッキングすればいいのでしょうか。
臨床心理士の中島美鈴氏は、経験のない作業について所要時間を見積もる方法として、以下のふたつの方法を勧めています。
- 具体物を取り出して全体量を把握する
- ためしに10分だけやってみる *2
初めて取り組む業務の場合は、引き受けたらすぐに「実際になにをどれだけやるのか」を確認します。そして、少し作業を進めてみて「だいたい10分でこの程度進む」ということを把握するのです。これで現実的な作業時間を見積もることができます。
【対策ポイント】
全体量の把握:具体的な内容をピックアップして推し量る
10分のトライアル:作業の把握のため10分実施し、時間を測る
もっと読みたい:効率的なタスク管理術7選。生産性アップの方法を見つけよう。
自分の生産性が高い時間を把握する

自分の生産性が高い時間帯を把握できれば、タイムブロッキングした時間内でスムーズに作業を進めることができます。
そうはいっても、「いつ生産性が高まるのかわからない」という人も多いはず。
そんな場合は、とっかかりとして以下のような「時間帯ごとに向いている作業」を目安にタイムブロッキングを試してみると良いでしょう。
メンタルコーチの大平信孝氏は、1日を5つの時間帯に区切り、取り組む行動を決めるといいと述べています。*3
| 時間帯 | 理由、おすすめ | 行動例 |
|---|---|---|
| 出社前の朝時間 | 邪魔が入らない時間帯なので、自分にとって大切なことに充てるのがおすすめ。 | ランニング・語学の勉強・瞑想など、仕事以外のこと |
| 午前中 | 比較的集中しやすい時間帯なので、頭を使う仕事がおすすめ。 | 企画、戦略立案など |
| 昼食後~15時まで | もっとも集中力が途切れやすい時間帯なので、ひとりで行なう仕事よりほかの人と行なう仕事がおすすめ。 | ミーティング・ブレスト・商談など |
| 15時~就業まで | 勤務終了までのカウントダウンという締め切り効果によって、再び集中力が高まる時間帯なので、面倒な事務作業を行なうのがおすすめ。 | 経費精算・日報・各種手続きなど |
| 帰宅後の時間 | 仕事のことは忘れ、リラックスしたり、楽しんだりする時間にするのがおすすめ。 | 友人と食事・趣味・リラックスなど、明日の活力になること |
とはいえ、朝型・夜型などの体質もあるため、「自分には合わないな」と感じたら、柔軟に変更することも大切です。
【対策ポイント】
時間帯の特性を把握:生産性や心理状態、環境で時間帯を分類
適切な時間、適切な行動:時間帯の特性に合わせた行動内容を決める
やることを細かく決めずに時間をブロックする
仕事だけでなく、プライベートのスケジュールまで分刻みで作成してしまうと、常にスケジュールをチェックして動かねばならず、ストレスが溜まってしまいます。
タイムブロッキングは仕事中だけ行なうと決め、プライベートは自然に任せるというようにすれば、ストレスなくタイムブロッキングを継続できます。
どうしてもプライベートな時間もタイムブロッキングしたい場合は、以下のようにおおざっぱに区切るのもおすすめです。
おおざっぱなタイムブロッキングの例
| 時間帯 | 内容 / タスク |
|---|---|
| 19:00 - 22:00 | 家のことをやる |
| 22:00 - 24:00 | 自分の時間 |
細かすぎるタイムブロッキングの例(非推奨)
| 時間帯 | 内容 / タスク |
|---|---|
| 19:00 - 19:30 | 自炊 |
| 19:30 - 20:00 | 夕食(ニュースチェックもする) |
| 20:00 - 20:30 | お風呂(洗濯機も回す) |
| 20:30 - 22:00 | 掃除・片付け・家族との時間 |
| 22:00 - 23:00 | 勉強 |
| 23:00 - 24:00 | 明日のスケジュールチェック・仕事確認 |
【対策ポイント】
おおざっぱに:細かすぎるとフレキシビリティに欠け、実行できなくなる罠
「バッファ時間」を確保する

予期せぬ差し込みにも柔軟に対応するためには、あらかじめバッファ時間を確保することが大切です。
タイムコーディネーターの吉武麻子氏が、バッファ時間の確保の仕方について紹介しています。*4
- タスクごとにバッファ時間を設ける:見積もり時間30分のタスク+10分のバッファ時間
- 1日の最後にバッファ時間を設ける:終業時間1時間前の17時~18時は誰ともアポイントを入れない
- 1週間の最後にバッファ時間を設ける:金曜日を丸々バッファとして何もスケジュールを入れない
ほかにも、午前と午後にそれぞれ1時間のバッファ時間を取るというのもいいでしょう。STUDY HACKER的には、見積もった時間の1.5倍の時間をブロックする「1.5倍ルール」も提唱したいところです。
突発的に別の業務が発生しても、バッファ時間があればそこで対応でき、もともと取り組む予定だったタスクもその先のバッファ時間で受け止めることができます。
【対策ポイント】
「余白」=バッファ:何も入れない時間を設定しておくことで消化不良を予防
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タイムブロッキングは、適切に活用すれば仕事の効率を大きく向上させる強力なツールです。
しかし、時間の見積もりが甘かったり、予定を詰め込みすぎたりすると、逆にストレスの原因になります。
重要なのは、柔軟性を持たせながら続けること。
完璧な計画を守ることではなく、計画を柔軟に書き換えながらゴールにたどり着くことが目的です。明日からのスケジュール管理が、もっと快適になりますように。
よくある質問(FAQ)
Q. タイムブロッキングがうまくいかない最大の原因は何ですか?
「時間の見積もりの甘さ」と「余白(バッファ)の欠如」です。作業時間をギリギリで見積もり、突発的なタスクに対応する時間を確保していないため、1つの遅れで計画全体が崩壊します。
Q. タイムブロッキングを成功させるコツはありますか?
予定時間の「1.5倍」でブロックを確保することです。また、1日の終わりに「調整用のバッファ時間」をあらかじめ設けておくことで、精神的な余裕と柔軟性が生まれます。
Q. Googleカレンダーで実践する際のおすすめの方法は?
タスクの種類ごとに「色分け」をして視認性を高めるのが有効です。また、会議や作業だけでなく、「移動時間」や「休憩時間」もブロックとして登録し、空き時間を可視化しましょう。
*1 Asana|カレンダーをタイムブロックしていますか?今すぐタイムブロッキングを始めるべき理由
*2 朝日新聞|「To Doリスト」を分解
*3 プレジデントオンライン|「事務作業に一番適した時間帯はいつか」効率が劇的に上がる"仕事の時間割"
*4 プレジデントオンライン|「TO DOリスト」を毎日書き出してはいけない…「やろうと思っていたことが全然終わらない」の根本原因
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。