以下の内容はhttps://studyhacker.net/tiktok-demand-creationより取得しました。


検索すらしない「遠い顧客」に、TikTokはどう情報を届けているのか【新人さんのためのマーケティング講座 Season5 vol.3】

📘 新人さんのためのマーケティング講座 Season5

Season4までは、国内外の企業事例を通じてマーケティングの原則を学んできました。
Season5でも引き続き、私たちの身近にあるサービスや商品が「なぜこう設計されているのか」を事例で深掘りしていきます。

まだ過去のSeasonを読んでいない方は、そちらからどうぞ。
Season 1【全14回まとめ】|▶ Season 2【全15回まとめ】|▶ Season 3【全20回まとめ】|▶ Season 4【準備中】

何かが欲しいと思ったとき、私たちはGoogleで検索します。比較して、レビューを読んで、買う。この「欲しい→検索→購買」という流れを徹底的に効率化し、精度を上げたGoogleは、それによって巨大な広告市場を手に入れました。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。

そもそも、なぜ私たちは「何かが欲しい」と思うのでしょうか。その欲求は、どこから来るのでしょう。

知らないものは、欲しいとは思いません。「欲しい」という感情が生まれるためには、まず「知っている」ことが前提です。どこかで目にした、誰かが使っているのを見た、流れてきた動画に映っていた——そういう「目にしたことがある」という体験が、検索より前に必ずあります。

Googleが捕まえているのは、すでに「欲しい」と思っている人だけです。では、その「欲しい」が生まれる手前——「知る」という瞬間を、誰がおさえているのか。

それがTikTokです。

Googleは「欲求が生まれた後」しか捕まえられない

マーケティングには、大きく2種類のアプローチがあります。「需要を回収する」か、「需要を創造する」かです。

Googleの検索広告は、需要回収の極致です。「英語 コーチング おすすめ」と検索した人の前に広告を出す——すでに「英語を学びたい」という欲求が存在している人だけを、効率よく刈り取る仕組みです。これは強力ですが、欲求がまだ存在しない人には届きません。

一方、テレビCMは長らく需要創造の手段でした。欲しいと思っていなかった人に「こんなものがありますよ」と見せて、欲求そのものを生み出す。しかしテレビCMには致命的な限界があります——誰にでも同じものを流すという構造です。子供向けのおもちゃのCMを、定年退職した男性に見せても意味がない。

ここにTikTokが登場しました。

TikTokがやっていることをひとことで言えば、「需要創造 × 個別最適化」です。*1 欲しいと思っていなかった人に欲求を生み出す——ここはテレビCMと同じ。しかしその人が反応しそうなコンテンツだけを、個別に選んで流す——ここがまったく違う。

  需要の創造/回収 個別最適化
テレビCM 需要を創造する ✕ マス(全員に同じものを流す)
Google検索広告 需要を回収する ○ 個別(検索キーワードで絞る)
TikTok 需要を創造する ◎ 個別(行動データでその人専用に流す)

この表の右下の「◎」が、なぜ強力なのか。それは「まだ欲しいと思っていない人」に届く上に、「その人が反応しやすいもの」だけを選んで届けるからです。無駄打ちがない需要創造——これは、広告の歴史上、前例がありませんでした。

なぜTikTokは「その人が反応するもの」がわかるのか

では、TikTokはどうやって「その人専用」を実現しているのでしょうか。

カギは、行動データのリアルタイム学習です。*1 どの動画で指が止まったか。何秒で離脱したか。同じ動画を見返したか。コメントしたか、しなかったか——これらを0.1秒単位で観察し、「この人はこういうものに反応する」という輪郭を、動画を見るたびに精緻化していきます。

ここで重要なのは、フォロワー数も知名度も関係ないという点です。TikTokが評価するのは「ユーザーの反応」だけ。だから昨日アカウントを作った無名の個人が、100万フォロワーの企業アカウントを超えるリーチを得ることが起きる。そしてそれは企業にとっても同じ意味を持ちます——ブランドの歴史や広告費の大きさより、「その人の興味に刺さるコンテンツを作れるか」だけが問われる。

もうひとつ見落とせないのが、可変報酬(Variable Rewards)の仕組みです。*2 行動心理学者B.F.スキナーが示したように、「次に何が出るかわからない」というランダム性は、脳内のドーパミンを継続的に放出させます。スロットマシンが止められないのと同じ原理で、TikTokのフィードは「次はどんな動画が来るか」という期待感でスワイプを止められなくします。需要創造の精度の高さと、この中毒性の設計が組み合わさっているからこそ、TikTokはこれほどまでに人の時間を奪えるのです。

「欲求の手前」を設計する——今日から使える視点

さて、ここからはあなた自身の仕事に引き寄せて考えてみましょう。

TikTokが教えてくれる最大の問いは、これです。「あなたのマーケティングは、欲求が生まれた後だけを狙っていないか?」

SEO、リスティング広告、比較サイトへの掲載——これらはすべて、すでに「何かを探している人」を対象にしています。強力ですが、それだけでは「まだ自分がそれを欲しいと気づいていない人」には届きません。TikTokが証明したのは、その層がいかに巨大で、いかに動かしやすいかということです。

ひとつ目の視点は、「欲求が生まれる場面」を想像することです。顧客は何をしているときに、あなたのサービスへの欲求が芽生えるでしょうか。悩んでいるとき?退屈しているとき?誰かのSNSを眺めているとき?その場面に、自然な形でコンテンツを差し込めるか。「検索される」を待つのではなく、「欲しいと思わせる」側に回る発想の転換です。

ふたつ目の視点は、「Don't make ads, make TikToks」という言葉の本質です。*3 これはTikTokをやれという話ではありません。「広告らしい広告」を作るのをやめろ、ということです。顧客が楽しんでいる場所に割り込むのではなく、その場所の文脈に溶け込む形でメッセージを届けられるか。それが、これからの需要創造の核心です。

 

「検索される」を待つのか。
「欲しいと思わせる」側に回るのか。
その問いが、これからのマーケターを分ける。

Googleの登場で、マーケターは「検索される側に回ること」を覚えました。TikTokの登場は、その一歩手前——「欲求そのものを個別に設計すること」が可能になった時代の到来を告げています。この変化を、どう自分のマーケティングに活かすか。それを考え始めるところから、次のステージが開けてくるのではないでしょうか。

 

【本記事のまとめ】

1. Googleは「欲求が生まれた後」を捕まえる。TikTokは「欲求が生まれる前」をおさえる
検索広告は需要回収の極致。TikTokは「需要創造 × 個別最適化」という、広告の歴史上前例のない組み合わせを実現した。

2. テレビCMとの決定的な違いは「個別最適化」にある
需要を創造するという点はテレビCMと同じ。しかしTikTokは、その人の行動データからリアルタイムで「反応しそうなもの」だけを選んで流す。

3. フォロワー数もブランド力も、TikTokでは初速に関係ない
評価されるのは「ユーザーの反応」だけ。その人の興味に刺さるコンテンツを作れるかどうかが、唯一の競争軸になる。

4. 「検索される」を待つのではなく、「欲しいと思わせる」側に回ろう
SEOやリスティングは欲求が生まれた後を狙う。TikTokが示したのは、欲求の手前を設計することで、はるかに大きな層にリーチできるということだ。

よくある質問(FAQ)

「需要創造 × 個別最適化」は、中小企業でも実践できますか?

できます。TikTokやInstagramのリール、YouTubeショートなど、アルゴリズムが「興味のある人に届けてくれる」プラットフォームは誰でも使えます。重要なのは予算ではなく、「その人が反応しそうな文脈でコンテンツを作れるか」です。フォロワーゼロでも刺さるコンテンツはバズる——それがこれらのプラットフォームの民主的な側面です。まず「自分の顧客が欲しいと思う手前で、何をしているか」を想像することから始めてみてください。

SEOやリスティング広告は、もう意味がないのですか?

そんなことはありません。「欲求が生まれた後」を捕まえる需要回収は、今でも非常に強力です。検索している人はすでに買う気があるので、転換率が高い。TikTok的な需要創造と、Google的な需要回収は、対立するものではなく補完関係にあります。理想は両方を設計することですが、リソースが限られているなら、まず自社の顧客がどちらの層に多いかを考えて優先順位をつけるのが現実的です。

「欲求の手前を設計する」とは、具体的にどういうことですか?

顧客がまだ「欲しい」と気づいていない段階に、問題提起や新しい視点を差し込むことです。たとえば「英語コーチングを探している人」に広告を出すのではなく、「なんとなくキャリアに不安を感じているビジネスパーソン」が見そうなコンテンツの文脈で「英語力がキャリアを変えた話」を届ける。欲求は問いから生まれます。「自分はそれが必要かもしれない」と気づかせる問いを、顧客の日常のなかに置くこと——それが欲求の手前の設計です。

(参考)

*1|TikTok Newsroom|How TikTok recommends videos #ForYou(2020年6月)
*2|Skinner, B. F. (1938). The Behavior of Organisms: An Experimental Analysis. Appleton-Century-Crofts.
*3|TikTok for Business|Don't Make Ads, Make TikToks

▼ 新人さんのためのマーケティング講座 Season5

私たちの身近にあるサービスや商品が「なぜこう設計されているのか」を、さらに事例で深掘りしていきます。

Season1(全14回)はこちら|マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識まで

Season2(全15回)はこちら|PL翻訳術、弱者の戦略、広告評価、インタビュー技術まで
Season3(全20回)はこちら|現場で使える顧客心理・ブランド戦略・価格設計の本質
▶ Season 4【準備中】

【プロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。
X→@oka_kgs / Instagram→@oka_ken2010 /




以上の内容はhttps://studyhacker.net/tiktok-demand-creationより取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14