
手書きノートを使っているのに、なかなか学習効果が実感できない、情報がうまく整理できない……。
そんな悩みを抱えていませんか?
じつは、ノートの使い方をほんの少し変えるだけで、学習効率や情報整理力が劇的に向上することがわかっています。
その方法とは、「ノートを縦に折って使う」というシンプルな習慣です。この記事では、この方法がなぜ効果的なのか、脳科学や認知科学の知見を交えながら、4つの理由を詳しく解説していきます。
縦4分割手書きノートに含まれる最強要素
ノートを縦に折って使うというシンプルな方法には、理にかなった要素が数多く含まれています。その要素とは、1行の短さ、文字数の少なさ、手書きに必ず生じる揺れや擦れなど。
それが、書くという行為の疲れを軽減し、読み返した際の「読みやすさ」をもたらし、脳を働かせ、視覚認知能力(目から入ってきた情報を、理解、解釈、記憶し、次の行動に結びつけるといった一連の脳の働き)を高めることが期待でき、おまけに言語能力の発達にも貢献するのです。
それでは、これらの効果について順番に見ていきましょう。
1. 労力を節約できる
ノートの片ページを縦に2分割し、見開きで縦4分割にして使う方法は、書く労力を大きく節約できる工夫です。
なぜならば、書く際のペンを持つ手の横移動距離も、次の行への移動距離も短いから。筆記で度々ある切り返しが、グッとスムーズになるわけです。
そして、真ん中に線を引く際も、ノートを半分に折ってできる折り目をそのまま活用すれば、定規で線を引く手間も省けます。

2. 可読性が上がる
ノートのページがタテに分割されていると、読み返す際にも便利です。1行がパッと読みやすい文字数に収まるので、可読性(読み取れる度合)が高くなるからです。
国立国語研究所名誉所員(1997年時点)の神部尚武氏は、「ひとつの注視点に留まるあいだ、情報収集される範囲は9文字~12文字の範囲である」と報告しています(※個人差あり)。*1
2014年に電子情報通信学会で発表された資料には、visualspanの大きさ(目を動かさずに高い正確さで認知できる文字の数)は、およそ英語のアルファベットで10文字程度とあります。*2
これらが示す文字数は、縦4分割ノートに書かれた1行の文字数と、おおよそ同等の数になるはずです。

3. 視覚機能の強化
2009年の日本認知科学会第26回大会で発表された内容には、「手書条件における後頭葉の賦活は手書きのノイズ要素の影響によるものである可能性が考えられる」とあります。ノイズとは揺れや擦れのこと。*3
つまり、手書きの際に起こる揺れや擦れが、脳の後頭葉を活性化するわけです。
ちなみに、医学事典の「MSDマニュアル」によれば、後頭葉には以下の機能があるとされています。*4
視覚情報を処理して解釈する
視覚的記憶の形成を可能にする
視覚情報を隣接する頭頂葉から送られてくる空間的な情報と統合する
つまり、目から入ってきた情報を理解し、解釈し、記憶したり、次の行動に結びつけたりする一連の脳の働きです。
4. 言語能力が発達する
それだけではありません。
京都大学の研究グループは、2021年に「漢字の手書き習得が高度な言語能力の発達に影響を与えることを発見」しています。*5
このように、ノートを縦に折って手書きするという習慣には、書く労力を節約し、読みやすさを高め、さらには脳を活性化させ、言語能力まで向上させるという、多層的な効果があります。
これらの効果が相乗的に働くことで、通常のノート術と比べて何倍もの学習効果が期待できるはずです。
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今回は、びっくりするほどシンプルで簡単な「半分に折って使う手書きノート」が最強な理由を4つ紹介しました。
ただタテに折り、手書きするだけです。
特別な道具も複雑なテクニックも必要ありません。いま使っているノートをそのまま活用できるので、コストもゼロ。
それでいて、脳科学的にも認知科学的にも裏づけられた効果が得られる、まさに「知らないと損する」習慣と言えるでしょう。
ぜひ、いますぐお試しください。
※ノート縦折りのアイデアは、放送通訳者・獨協大学非常勤講師の柴原早苗氏が、現在は閲覧できないウェブ媒体「ハイキャリア」に寄稿していた内容から着想。それを基点に、独自の科学的根拠を加えて解説しています。
*1: CiNii Research|読みの眼球運動における一つの停留中の情報の受容範囲
*2: 阿久津洋巳(2014),「読みの視野の広さ一日本人とアメリカ人の比較一」,電子情報通信学会,電子情報通信学会技術研究報告.
*3: 中村太戯留,田中茂樹,田丸恵理子,上林憲行(2009),「手書き文字と活字の認識の差に関するfMRI研究-ノイズ要素の分離の試み-」,日本認知科学会第26回大会,pp.176-177.
*4: MSDマニュアル家庭版|部位別にみた脳の機能障害 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気
*5: 京都大学|漢字の手書き習得が高度な言語能力の発達に影響を与えることを発見 -読み書き習得の生涯軌道に関するフレームワークの提唱-
STUDY HACKER 編集部
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