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「職場の人間関係で悩まないコツはなんですか?」幸福学研究の第一人者に聞いてみた

人間関係に悩まず幸福な雰囲気の職場のイメージ

仕事に関する悩みはさまざまですが、特に対人関係の悩みは尽きません。厚労省が実施した「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事に関して強い不安や悩みを感じるとした労働者のうち、その内容として26.2%の人が対人関係を挙げています。そこでアドバイスをお願いしたのは、日本における幸福学研究の第一人者である前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、武蔵野大学ウェルビーイング学部学部長)。職場で幸せな人間関係を築くためには、なにより「他人や自分のポジティブな面を見る」ことが大切だと前野先生は語ります。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
前野隆司(まえの・たかし)
1962年1月19日生まれ、山口県出身。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社入社。その後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2024年より武蔵野大学ウェルビーイング学部学部長・教授兼任。研究領域は、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、イノベーション教育学、創造学、幸福学、哲学、倫理学など。『60歳から幸せが続く人の共通点』(青春出版社)、『幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く』(大和書房)、『幸せな大人になれますか』(小学館)、『ディストピア禍の新・幸福論』(プレジデント社)、『幸せな孤独』(アスコム)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

幸せな人は、他人のポジティブな面に目が向かう

苦手な人と同じチームで働くのがつらいなど、職場の人間関係について悩みがあると、幸せは感じにくくなります

そういった人には、「あの上司はキツい仕事ばかり押しつけてくる」「あの新人には遅刻癖がある」というように、「他人のネガティブな面を見がち」という特徴がよく見られます。

でも、これはある程度は仕方ないことです。なぜなら、危機回避のために人間がそのようにできているからです。自分から見て「普通ではない」、つまりネガティブに感じる人からは、なんらかの危害を加えられるかもしれません。そういった好ましくない事態を避けるため、人間は他人を含む、物事のネガティブな面に目が向かうようになっているのです。

しかし、そのような見方が強すぎると、ネガティブな感情に支配されて心が疲弊するだけです。それは、幸せを感じにくくなることに直結します。しかも、誰かに対してネガティブな見方をしているというオーラは無意識のうちに相手にだって伝わるものです。その結果、相手との人間関係は悪化することはあっても、よくなることはありません。

一方、人間関係に関して幸せな人は、逆に「他人のポジティブな面に目が向かう」という特徴をもっています。そもそも、ネガティブな面は裏を返せばポジティブな面になりえるものです。ですから、ネガティブに思えたこともあえてポジティブに変換してみましょう

「威張っていて言葉が厳しい」と感じる上司は「リーダーシップがあって仕事熱心」かもしれませんし、「うじうじしていて行動が遅い」人は「慎重で熟考できる」人と見ることもできます。

このように、周囲の人のポジティブな面を見られるようになれば、相手を好意的に受け取れるようになり、人間関係はいい方向に向かっていくのです。

幸せな人は、他人のポジティブな面に目が向かうと語る前野隆司先生

謙遜しすぎる人は、いい人間関係を築きにくい

ネガティブな面を見るか、ポジティブな面を見るかについては、「自分に対しての見方」にも言えることです

みなさんのまわりにも、やたらと自分を卑下するような人はいませんか? 「今回の仕事、すごく頑張ったね」とほめても、「いやいや、私なんか全然……」と否定して、自分のいいところを認めないタイプです。

相手からすると「せっかくほめたのになんだよ」「今後、ほめるのはもうやめよう」と、心理的な距離感を感じてしまいます。その結果、相手との人間関係はいい方向に向かいづらくなるのです。

もちろん、自分を卑下する人も悪気があってそうしているわけではないのでしょう。しかし、周囲との人間関係の悪化につながるのですから、卑下と言えるほどの行きすぎた謙遜は避けたほうが賢明です。

しかし、謙遜が美徳とされる文化のなかで育った日本人の場合、自分をポジティブに見るのが苦手な人が多いのも事実です。そういう人は、他人から客観的に見てもらうのがいいでしょう。

チーム内で自分以外のメンバーのいいところを言い合うのです。自分のことは自分にはなかなか見えないものですから、自分でも気づいていなかったポジティブな面を認識できるきっかけとなります。もし仕事のメンバーどうしでやるのが難しいのなら、プライベートの友人に言ってもらうのも手です。

謙遜しすぎる人は、いい人間関係を築きにくいと語る前野隆司先生

周囲の人の「ソーシャルスタイル」を知る

また、同僚の「ソーシャルスタイル」を理解すると職場の人間関係がよくなることがわかっています。ソーシャルスタイルとは、アメリカの産業心理学者であるデビッド・メリル氏が提唱した理論で、人間を以下のような4つのスタイルに分け、それぞれの傾向や違いを知ることでよりよいコミュニケーションを図ろうという考え方です。

【4つのソーシャルスタイル】

4つのソーシャルスタイルの図ソーシャルスタイルは、「感情表現を抑える/感情を表す」「意見を聞く/意見を主張する」という2軸で、アナリティカル(分析型)、ドライビング(実行型)、エクスプレッシブ(直感型)、エミアブル(温和型)の4つに分類されます。

この4つのタイプのうち、自分だけでなく同僚など周囲の人がどれに当てはまるかを考えてみましょう。すると、同僚に対する見方が変わります。たとえば、「直感的に行動してばかりで危なっかしい人間だな」とネガティブに思えていた人について、「なるほど、エクスプレッシブの人なんだな」と思えます。

感情にとらわれずに、「こういうソーシャルスタイルの人」というふうに冷静に見ることができるようになりますし、「多様なソーシャルスタイルの人がチームにそろっているから、力を合わせればきっと大きな成果を挙げられる」と、ポジティブに考えられるようになるのです。

職場の人間関係で悩まないコツについてお話しくださった前野隆司先生

【前野隆司先生 ほかのインタビュー記事はこちら】
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