
プレゼン資料の作成に必要なデータ分析の知識、昇進試験に向けた勉強、業界の最新トレンドのキャッチアップ。ビジネスパーソンには、学ばなければならないことが山ほどあります。
一方で、「勉強する時間がない……」と悩んでいる人も多いはず。日中は会議や打ち合わせ、クライアント対応に追われ、まとまった勉強時間がなかなか取れないのが現実です。
そんな人は、ぜひ「スキマ時間」を活用してください。オフィスとの行き帰りの時間や、帰宅後のちょっとしたタイミングをうまく使い、"スキマ時間仕様" の効率的な勉強をするのです。働きながら成果を出している人たちの話を参考に、その方法を紹介していきましょう。
1.「短いスキマ時間」と「長いスキマ時間」で勉強内容を変える
東大に合格し、作家としても活躍する西岡壱誠氏によれば、東大生は高校時代に部活動や生徒会活動に打ち込んでいた人が多いとのこと。勉強する時間が削られそうですが……西岡氏いわく、彼らは限られた時間を有効活用する術を知っているからこそ、勉強で成果をあげられるのだそう。
つまり、時間がないぶん、たとえば家から学校への行き帰りのスキマ時間を使って、英単語を暗記したり過去問演習に励んだりしているのです。「時間がない」というのは、もしかしたら私たちのただの幻想なのかもしれませんね。
では、スキマ時間をどのように活用すれば良いかというと、スキマ時間の「長さ」によって勉強内容を変えることをおすすめします。
たとえば、働きながら資格勉強をしたい場合。電車やバスを待つ数分〜10分程度の短いスキマ時間には、参考書のチェックポイントに目を通したり専門用語を見返したりするなど、手軽にできるものが最適です。
対して、昼休みなど長めのスキマ時間には、参考書を読み込んだり問題集を解いて答え合わせしたりするなど、じっくり取り組みたい内容を。

ビジネスシーンでも同様です。たとえば、エレベーター待ちや会議の開始待ちなどの短いスキマ時間には、業界ニュースのチェックやビジネス用語の確認を。移動中の電車内や昼休みなど長めのスキマ時間には、ビジネス書を読み進めたり、オンライン講座の動画を視聴したりするのがおすすめです。
このように勉強内容を分ければ、時間を無駄にせず、細切れに勉強時間を確保できます。
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2. 「要約メモ術」で勉強密度を上げる
スキマ時間を使っていつも通り勉強するのもよいですが、もうひと工夫欲しかったら「要約」を取り入れるのもおすすめです。前出の西岡氏も、要約というアウトプット作業を通して理解が深まると語っています。
物事の理解度を一番きちんと測れる問いとはどんなものかと考えると、やはりその物事に対する「要するになに?」という問いだと思うのです。それに的確に答えることができれば、理解すべきことを理解していることになるわけです。
(引用元:StudyHacker|勉強効率の黄金比「3:7」が示すアウトプットの重要性。"インプットして満足" は圧倒的に時間のムダ)
要約のコツはキーワードを探すこと。例として、西岡氏が著した『東大読書』(東洋経済新報社)内の以下の一節を要約してみましょう。
早速ですが、みなさんに1つ質問です。みなさんは普段本を1冊ずつ読んでいますか? それとも同時並行で複数の本を読んでいますか? 多くの人は、1冊ずつ、つまり「1冊読み終わってから次の本を読み始める」という読み方をしているのではないでしょうか。たしかに、複数の本を同時に読むのはちょっと大変そうですし、1冊終わってから次の本に移る……というほうが、本の内容は頭に入ってきそうです。しかし、1冊の本からより多くのインプットが得られるのは、「同時並行で複数の本を読む」読み方なんです! 僕はこの読み方を「検証読み」と名付けました。
(※『東大読書』より引用)
これを要約してみると「本は1冊ずつ読むのが普通だが、同時並行で複数の本を読んだほうが多くのインプットが得られる。これを「検証読み」という」といった具合でしょうか。
仕事でも、この「要約メモ術」は威力を発揮します。朝の通勤中に読んだビジネス書の内容を、昼休みにスマホのメモアプリで3行にまとめてみる。あるいは、セミナーや研修で学んだことを、帰りの電車内で「要するに何だったか」を自分の言葉で書き出してみる。このひと手間が、学んだ知識を「使える知識」に変えてくれます。

3.「インターリービング」で効率を上げる
みなさんは「インターリービング」という言葉を聞いたことがありますか。もともとは、コンピューターシステムの複数台の装置の動作をずらして、並列処理を行うアクセス方式のことを指しています。そこから転じて、作業の際に、異なる内容を交互にこなすことを指すようになりました。
このインターリービング、勉強で大きな効果を発揮します。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のロバート・ビョーク教授の実験によると、ひとつの内容を長時間学習した人とインターリービング学習を行なった人で試験の点数を比べたところ、後者のほうが高かったのだといいます。
具体的には、絵画を見せて「どの画家の作品か」を学ばせる実験で、作者ごとにまとめて覚えるグループ(ブロック学習)の正答率は約50%だったのに対し、ランダムに混ぜて学ぶグループ(インターリービング学習)の正答率は約65%に達しました。異なる情報を混ぜて学ぶことで、それぞれの特徴を比較しながら覚えられるため、記憶に残りやすくなるのです。
ビジネスパーソンのスキルアップにも、インターリービングは有効です。たとえば、マーケティングを学んでいるなら、最初の15分で理論を読み、次の15分で事例分析、最後の15分でフレームワークの練習問題に取り組む。英語学習なら、リスニング → 単語 → リーディングとローテーションさせる。このように関連する内容を切り替えながら学ぶことで、脳が活性化し、記憶の定着率が上がるのです。
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スキマ時間を上手に活用し、効率よく勉強していきましょう。
FAQ(よくある質問)
Q. 短いスキマ時間と長いスキマ時間で、どのように勉強内容を分ければいいですか?
A. 数分〜10分程度の短いスキマ時間には、業界ニュースのチェックや専門用語の確認など手軽にできるものを。昼休みや移動中の電車内など長めのスキマ時間には、ビジネス書を読み込んだりオンライン講座を視聴したりと、じっくり取り組む内容がおすすめです。
Q. 要約メモ術とは何ですか?
A. 学んだ内容を「要するに何か」と自分の言葉でまとめるアウトプット手法です。たとえば、通勤中に読んだビジネス書の内容を昼休みに3行でメモする、セミナーで学んだことを帰りの電車で書き出すなど。スムーズに要約できれば理解できている証拠になり、知識の定着度チェックにも役立ちます。
Q. インターリービング学習の具体的なやり方を教えてください。
A. たとえばマーケティングを学ぶなら、最初の15分で理論 → 次の15分で事例分析 → 最後の15分でフレームワークの練習問題、というようにローテーションします。英語学習なら、リスニング → 単語 → リーディングと切り替えるのが効果的です。
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