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自己効力感は“思い出す”ことで戻ってくる──「春のリフレクションノート」の力

筆者がA4ルーズリーフに書いたリフレクションノートの実例。できたこと・感情・なぜできたのかの3項目が記入されている

春は新たな始まりを感じる季節。

その足音が聞こえてくると、清々しい気持ちで新年度を迎えようとする人もいれば――

「この1年はうまくいかなかった」
「あのときもっと頑張れたはずなのに」

と、自分に厳しい評価をしてしまう人もいます。
そんな状況では、最初から意気消沈のスタートになってしまいますよね……。

しかし、じつは「できなかったこと」ばかり思い出してしまうのは、脳のクセによるもの。実際のところ、あなたは、たくさんのことを達成しているはずなのです。

もう自分を責めるのはやめて、この1年であなたが「できたこと」を書き出し、来年の行動のモチベーションを高めてみませんか?

本記事では、新年度を迎えるときにこそ取り組みたい「リフレクションノート」の効果と書き方を、筆者の実践を交えて紹介します。

脳は「できなかったこと」ほど記憶する

私たち人間は、なぜか「できなかったこと」ばかり思い浮かべてしまいます。

心理学的に言えば、それは人間の脳が危険やマイナス要因を優先的に覚えてしまうから。リスクを避けて生き残るため、進化の過程で培われたといいます。

脳科学的には、マイナスの感情をつかさどる情動の中枢、扁桃体の働きで説明されます。脳科学者の西剛志氏は、嫌な気持ちが大きいほど、扁桃体から海馬へ刺激が伝わり、長期記憶に保存されると説明しています。*1

つまり、仕事での失敗や苦い出来事は、脳の働きによってしっかりと記憶に刻まれてしまうのです。

嫌な記憶が脳に刻まれて困った表情を浮かべるビジネスパーソンのイメージ画像

ただ、それが脳のクセによるものだとすれば、実際には「できなかったこと」だけでなく、「できたこと」もたくさんあったはずです。

「できたこと」に注目するメリット

じつは、「できたこと」を思い出す行為には、その体験の価値を高め、意欲を掻き立ててくれるという利点があります。

脳神経外科医の菅原道仁氏は、次のように説明します。*2

 
 
  • 人には成功体験で「脳内のA10神経が刺激されてドーパミンが放出される」というメカニズムがある。

  • 成功体験とは、たとえば「できた!」「うまくいった!」と感じられるような達成および克服の瞬間。

  • ドーパミンが出て心地よくなった脳は、またドーパミンを出そうと、「その行動にまつわる部位の働きを活性化」させようとする。

  • そうした傾向を「強化学習」(reinforcement learning)と呼ぶ。

そうであれば、過去の成功体験を思い出し、追体験することにも同様の効果が期待できます。

実際に、2014年にNeuron誌に掲載されたラトガース大学心理学部の研究では、ポジティブな思い出を回想している際の脳の動きが、「報酬」に反応する領域と重なることがfMRIで証明されています。*3

つまり、過去の成功体験を思い出すだけでドーパミンが放出され、脳が喜びを感じるというメカニズムを裏づけているわけです。

さらに論文には、回想することで「あの行動は正解だった」と脳が教え込まれるので、その体験に高い価値をつけ直す働きがあることが示されています。*3

「よかった出来事」を振り返ることで、またよい状況が舞い込んでくる可能性は、科学的にも裏づけられているのです。

つい「できなかったこと」ばかり思い出している私たちですが、そんなことをしている場合ではありません。

いますぐ、「できたこと」に目を向けましょう。

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できたことを思い出す「リフレクションノート」

では、どうやってポジティブな出来事を思い出せばいいのか?
――そこで、おすすめしたいのが「リフレクションノート」です。

「リフレクション」(reflection)とは、日々の業務を離れて自分の経験を振り返り、今後似た状況に直面したとき、よりよく対処するための知恵を見いだすこと。*4

このリフレクションをノートに書き出したものが「リフレクションノート」です。あえて書き出すことで、

  • 「自分がどんな行動をしたのか」
  • 「どんな成果があったのか」

を具体的に確認することができます。このプロセスで、自己効力感の高まりも期待できるはずです。

「リフレクションノート」で一年を振り返ってみた

筆者は、A4のルーズリーフを使い、振り返りを行ないました。

書き方はシンプルです。「できたこと」「感情」「なぜできたのか」の3項目を順に書き出すだけ。
「感情」まで書くことで、成功体験をより鮮明に思い出し、追体験しやすくなります。

さらに、「なぜできたのか」を言語化しておけば、自分にとって効果のあった行動パターンがわかり、次の挑戦に活かしやすくなります。

そして――

書き出したリフレクションノートがこちら。旧年度の振り返りだと中途半端なので、区切りよく2025年の1年間を振り返りました。

筆者が実践したリフレクションノート。できたこと・感情・なぜできたのかを書き出した実物

  1. 「できたこと」を書く
    まずは、仕事や学習、生活のなかで「できたこと」を思い出し、ノートに書き出します。筆者は思いついた順に書き出しましたが、カテゴリごとに分けてもOK。大きな成果だけでなく、小さな日常の成功も忘れずに書くことがポイントです。

  2. 「感情」を書く
    「できたこと」について、どんな気持ちになったか書き出します。難しく考えず「嬉しい」「おもしろい」など、素直な気持ちを書くことがポイントです。

  3. 「なぜできたのか」を書く
    「できなかったこと」の理由を書くことは多いですが、「できたこと」の理由はなかなか書かないもの。しかし、「できたこと」の背景にも必ず理由があります。

書き出してみることで、自分の「成功パターン」が見つかります。

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リフレクションノートの効果

リフレクションノートを書き終えると、自然と「よく頑張ってきたな……」と自分を労う気持ちが湧き上がってきます。

そうするとなぜか、昨年末に感じた焦り、新年度を迎える不安などが、少し和らいだ気がするのです。

さらに「なぜできたのか」を書き出したことで、「無理せずマイペースに楽しむこと」が筆者の「成功パターン」だということを発見。

これをいつも意識するようにしておけば、次に新しいことを始めるとき、選択に迷ったときなどにも役立ちそうです。

一年の振り返りというと、つい「できなかったこと」を反省する方向へ行きやすいもの。気分は閉じたままです。

しかし、「できたこと」を振り返ったおかげで、次につながるヒントが得られたほか、未来に広がっていく感覚を得ることができました。

みなさまも、リフレクションノートで自分が成し遂げたことを噛み締めながら、ポジティブに新年度を迎えてみてはいかがでしょうか。

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***
「できなかったこと」より「できたこと」を思い出すことで、自己効力感を取り戻すことができます。

本格的な春を迎える前に、ぜひリフレクションノートで自分の成長を実感してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. リフレクションノートはどのくらいの頻度で書くのが効果的ですか?

A. 本記事では年度末の振り返りとして紹介していますが、月1回や四半期ごとに書くのもおすすめです。定期的に書くことで、自分の成功パターンの変化にも気づきやすくなります。

Q. 「できたこと」が思い浮かばないときはどうすればいいですか?

A. まずはスマホの写真やカレンダー、メールの送信履歴などを見返してみましょう。大きな成果でなくても、「毎朝決まった時間に起きた」「新しい料理に挑戦した」など、小さなことで構いません。

Q. ノートではなくスマホやPCで書いても効果はありますか?

A. 手書きには記憶を定着させやすいメリットがありますが、デジタルでも十分に効果は期待できます。大切なのは「書き出す」という行為そのものです。自分が続けやすい方法を選びましょう。

Q. リフレクションノートと日記の違いは何ですか?

A. 日記は出来事全般を記録するものですが、リフレクションノートは「できたこと」に焦点を絞り、その感情や理由まで深掘りする点が異なります。次の行動につなげる「成功パターンの発見」が目的です。

Q. 「なぜできたのか」がうまく言語化できません。コツはありますか?

A. 「誰かの助けがあった?」「どんな環境だった?」「自分のどんな工夫が効いた?」と質問形式で自分に問いかけてみましょう。完璧な分析でなくても、思いついたことを素直に書き出すことが大切です。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。




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