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「聞いてあげる」だけで終わらせない。部下の悩みを行動に変えるリフレーミング術

チームメンバーの話を聞くビジネスパーソン

部下や後輩、チームメンバーの悩みには、いつも耳を傾けているのに……。話は堂々巡りで行動に結びつかない。私は彼らの役に立てない。どうすることもできない……。

本来の業務以外にも、そんなもどかしさを抱えてしまうのはつらいですよね。

しかし、その考えは少し調整が必要かもしれません。

他者の "悩み" そのものを解決することはできませんが、視点を変え、視野を広げ、客観性を取り戻すお手伝いは可能です。その働きかけは、相手がこれからとる行動に多少なりとも影響するでしょう。

そのためのテクニックを紹介します。

共感だけでは前に進めない理由

こんな思いを抱えていませんか?

他者の悩みに

「それはつらいよね」
「大変だったね」

と共感しているうちに時間だけが過ぎ、結局は何も変わらないまま終わってしまう……。

本人も少しスッキリしたようには見えるものの、また同じ悩みを抱えて相談に来ることも少なくない。

その繰り返しに、支える私のほうが無力感を覚えてしまう。

共感すれば相手は一瞬楽になるでしょう。

しかし、共感は "一時の休息" に過ぎない可能性があります。

根本的な解決は、悩みを抱える人が「感情や思い込みに支配されている状態」から、「客観性を取り戻し、感情に支配されず合理的な行動ができる状態」になること。*1

そう語るのは、精神科医の益田裕介氏(早稲田メンタルクリニック院長)です。

信頼関係を築くことは大事だが、共感するだけに留まっていてはいけないと同氏は言います。*1

「上司が厳しい」「仕事が多すぎる」「評価されない」といった不満を聞いて共感しても、悩む当人の考え方や行動パターンが変わらなければ、現実はほとんど動きません。

ここで必要になるのが、感情を受け止めたうえで視点を変えていく関わり方です。問題そのものではなく、

  • 問題の側面
  • 問題の現在と未来
  • 問題の別バージョン
  • 問題の内訳

など、違ったレイヤーに目を向けることで気づきが生まれ、建設的な考え、そして行動につながっていくはずです。

休憩しながら建設的な助言をするビジネスパーソン

違う枠組みで見る「リフレーミング」の力

視点を切り替える代表的な考え方に「リフレーミング」があります。

全米NLP協会公認・NLPマスタートレーナーの足達大和氏によると、心理学NLPにおける「リフレーミング」とは、「視点を変えることによって行き詰まった状況を打破し、より理想的な状態に向かうことを可能にするテクニック」です。*2

今回のテーマを前提にもっと単純な言い方をすると、ネガティブなフレーム(枠=とらえ方)をポジティブに変えて、行動につなげていくことを意味します。

足達氏によれば、リフレーミングで得られる効果は以下のとおり。*2

 
  • 気持ちが軽くなる
  • 人間関係で悩まなくなる
  • モチベーションが上がる
  • 問題解決の能力が高まる
  • 相手を励ますことができる

たとえば「上司がいつも細かく指摘してくる」としましょう。そうした出来事も、以下のようなリフレーミングが可能です。

「信用されていない」→→→「成長を期待されている」

前者はストレスになり、後者は学びのチャンスになるはず。

多くの悩みは "出来事そのもの" よりも、その解釈によって苦しさが増幅されているのです。

リフレーミングはその解釈に光を当て、「別の見方があるかもしれない」という余白を生み出します。

視点が変わることで、これまで見えなかった選択肢や行動の可能性が浮かび上がってくるでしょう。

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リフレーミングの具体的なテクニック

ミーティングをしている複数のビジネスパーソン

ではここで、リフレーミングを使用したテクニックを具体例とともに紹介します。

臨床心理士・公認心理師の藤本志乃氏が監修したガイド(認知行動療法アプリAwarefyのメディア内)を参考にしました。*3

1. 言葉を置き換える

たとえばメンバーが「自分ばかりが上司に細かく注意されている」と落ち込んでいるとします。

このとき、「それはあなたを信用し、育てようとしているから」と言葉を置き換えるだけで、状況の意味が変わります。

ほかにも、いくつか例を示しておきましょう。

  • 「厳しくされている」→「期待されている」
  • 「失敗が多い」→「挑戦している証拠」
  • 「秀でるものがない」→「バランスがとれている」
  • 「社交性がない」→「思慮深く慎重」

こうすることにより、同じ出来事でも相手の感じ方は大きく変わるはずです。

2. As if で仮定する

これは「ある状況や立場を仮定する」ことにより視点を変える方法です。

たとえば――

「この企画はうまくいく気がしません」と不安を抱えているメンバーに対しては、以下のように問いかけてみます。

  • もし私たちが尊敬しているA氏だったら、この状況をどう乗り越えると思う?」
  • 仮にこの企画が大成功したら、私たちはどんな準備をしているかな?」

このように、「もし~だったら」「仮に~できたら」をうまく使うことで、相手も視野が広がり、客観的になれるはず。

そうすれば新たな発想が生まれたり、成功に向けた具体的な行動をとり始めたりすることが期待できます。

現実を変えられなくても、視点を仮想的に動かすことで行動の選択肢は一気に広がるのです。

3. 時間をずらす

悩みは「いまこの瞬間」に集中すると大きく見えすぎてしまいます。そこで役立つのが時間をずらすことです。

たとえば「この失敗で評価が下がるかもしれない」と落ち込んでいるメンバーに対しては、以下のように伝えます。

  • 未来から現在を見る
    「もし数年後の自分がいまの出来事を振り返るとしたら、どう感じるかな?」
  • 現在から未来を見る
    「いまの段階でミスが見つかってよかったよね。あとから発覚していたら、もっと大変だったかもしれない」

同じ出来事でも、時間をずらすだけで違った印象にとらえることができるはずです。

視界のすべてをふさぐ壁のようだった失敗の経験も、乗り越えられるハードルに見えてくるに違いありません。

4. 物事を細分化する

こちらは漠然とした悩みに有効な方法です。

たとえば、意気揚々と仕事をしていたはずの同僚が、あるときから「この仕事、自分には向いていない気がする」と悩みだしたとしましょう。

そうした場合には、

  • 「どの業務で特にそう感じる?」
  • 「どんな場面で困ることが多い?」

などと悩みを解体していくのです。

こうすることにより、じつはプレゼンだけが苦手だったり、締切管理が課題だったりと、「改善できるポイント」が明確になるかもしれません。

そうなれば、全体をひっくるめて自己否定していた状態から、気持ちは大きく変わるはず。漠然とした不安ほど、分解すると扱いやすくなるのです。

5.「嫌だ」から「どうしたい?」へ

最後に紹介するのが、ネガティブ感情を「自分の望み」に置き換え、行動につなげていく方法です。

たとえば「いまの働き方がつらい」という悩みを聞いたとしましょう。その場合は、以下のステップで誘導します。

  • ステップ1:相手の気持ちを受け止めつつ「Aさんとしては、どうしたい感じ?」
  • ステップ2:相手の返答に対し、「そのためには、どうしたらいいだろうね……?」

その問いに相手が答えなくても、視点は少し変わるはずです。

不満のまま滞留させるのではなく、望みへと視点を移すことで、思考は自然と行動に向かうはず。「嫌だ」という感情は、本当の願いの入り口なのです。

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***

メンバーを支える立場にある人に求められるのは、問題を解決してあげることではなく、視点の場所を変えてあげること。

そうすることで、きっとその人は自ら考え、動き出す準備を整えていくでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. リフレーミングとは何ですか?

A. リフレーミングとは、視点を変えることによって行き詰まった状況を打破し、より理想的な状態に向かうことを可能にするテクニックです。ネガティブなとらえ方をポジティブに変えて、行動につなげていくことを意味します。

Q. 共感するだけでは悩み相談がうまくいかないのはなぜですか?

A. 共感は一時的な休息にはなりますが、根本的な解決にはつながりにくいためです。悩みを解決するには、相手が「感情や思い込みに支配されている状態」から「客観性を取り戻し、合理的な行動ができる状態」になることが必要です。

Q. リフレーミングにはどのような方法がありますか?

A. 代表的な方法として、「言葉を置き換える」「As ifで仮定する」「時間をずらす」「物事を細分化する」「『嫌だ』から『どうしたい?』へ変換する」という5つのテクニックがあります。

Q. 悩みを抱える部下やメンバーにどう接すればいいですか?

A. 問題を解決してあげることではなく、視点の場所を変えてあげることが大切です。リフレーミングのテクニックを使い、相手が自ら考え、動き出す準備を整えられるようサポートしましょう。

【ライタープロフィール】
髙橋瞳

大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。




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