「来月からマーケティング部に異動してもらうから」
上司にそう告げられた瞬間、頭の中に浮かんだのは大きなクエスチョンマーク。
マーケティング部って何をするところなんだろう?
営業部なら「商品を売る」、経理部なら「お金を管理する」とすぐに想像できる。
でもマーケティング部は違う。
広告を作る?SNSを更新する?市場調査をする?
どれも正解のような、でも全体像が見えないような。
そんなモヤモヤを抱えたまま異動日を迎える前に、マーケティングの正体を一緒に整理してみませんか。
世間のイメージと本当のマーケティング
「マーケティング」と聞いて、多くの人がイメージするのは「宣伝して物を売ること」でしょう。
CMを作ったり、チラシを配ったり、SNSで商品をアピールしたり。
確かにそれもマーケティングの一部ですが、実はもっと大きな話なんです。
では、本当のマーケティングとは何でしょうか。
👉 マーケティング=商品やサービスが売れる仕組みをつくること
でも「売れる仕組み」といわれても、ちょっと抽象的すぎますね。
具体例を出しながら考えてみましょう。
たとえば、あなたがカフェを経営するとします。
お客さんに来てもらって、コーヒーを買ってもらい、また来店してもらうには何が必要でしょうか?
まず、どんな人がどんな時にコーヒーを飲みたいのかを知る必要があります。
忙しいビジネスパーソンなのか、ゆっくりしたい学生なのか。
次に、その人たちが満足するコーヒーと環境を用意します。
価格も手頃で納得感のある設定にしないといけません。
でも、いいコーヒーを用意しても、お店の存在を知ってもらえなければ意味がありません。
看板を出したり、SNSで発信したり。
そして実際に来店してもらったら、期待以上のサービスで満足してもらい、「また来たい」と思ってもらう。
これらはすべて「売れる仕組み」ということができます。
つまり、これがマーケティングなんです。
マーケティングの7つの要素
- 顧客理解 — 誰が、何を求めてるか
- 商品開発 — そのニーズに応えるものをつくる
- 価格設定 — 納得感と利益を両立させる
- 認知拡大 — 広告、SNS、口コミで知ってもらう
- 販売チャネル — EC、店舗、営業で買えるようにする
- 顧客満足 — サービスで期待に応える
- リピート促進 — また買ってもらう仕組みをつくる
つまり、世間でイメージされている「宣伝」は「認知拡大」の部分だけ。
本来のマーケティングは、商品を作るところから顧客サポートまで、会社まるごとがマーケティング組織なんです。

現実のマーケ部が担っている範囲
さて、ここで現実に戻りましょう。
先ほどの7つの要素は、どれもマーケティングの一部です。でも、これらすべてを「マーケティング部」がやっているわけではありませんよね。
実際には、顧客理解は営業部、商品開発は商品企画部、顧客満足はカスタマーサポート部といった具合に、部署が分かれているのがふつうです。
では、その中で「マーケティング部」は何を担当しているのでしょうか?
多くの場合、広告やキャンペーンの企画、SNSの運用、セミナーの開催、資料作成、ブランド企画、展示会の準備といった、「認知拡大」を中心とした業務を担当しています。
これは決して間違いではありません。ただ、本来の広いマーケティングと比べると、「マーケティング」という言葉を狭い意味で使っているということなんです。
ベテランは知っているが、新人は混乱する
熟練のマーケッターはこの違いをよく理解しています。
「本当のマーケティングは会社全体の活動だけれど、マーケ部としては認知拡大の部分を重点的に担っているんだ」と。
でも、新人であるあなたはどうでしょうか?
もしかすると、狭義のマーケティング(マーケ部がやっている業務)をマーケティング全体だと捉えてしまっているかもしれません。
それで「マーケティングって結局、広告作ることでしょ?」みたいな理解になってしまう。
これが、マーケ部に配属された人が最初に感じる混乱の正体です。

では、どう理解すればいいのか
ここまでの話を整理すると、こういうことです。
マーケティングとは本来「売れる仕組み全体」のことで、会社のあらゆる部署が関わる大きな概念です。
でも、あなたが配属された「マーケティング部」は、その一部分を担当する部署なのです。
この現実を理解した上で、まず最初にやるべきことは
「うちの会社のマーケ部って、実際に何をしているのか?」を正確に把握することです。
そして、心の中でこんな読み替えをしてみてください。
もし広告やキャンペーンがメインなら「広告宣伝部」、見込み顧客の獲得がメインなら「集客推進部」、ブランドイメージの企画がメインなら「ブランド企画部」、営業チームのサポートがメインなら「営業推進部」という具合に。
部署の名前を変えることはできませんが、実態に合わせて理解し直すことで、自分がこれから何をすべきかが見えてきます。

最初の一歩は現状把握から
一般的に、多くの会社のマーケ部は「顧客獲得」を中心とした業務を担っています。
商品開発やサービス運用そのものに深く携わることは少なく、むしろ「お客さんに商品やサービスを知ってもらい、興味を持ってもらい、購入してもらう」ための活動が中心です。
だからこの記事も、ここから先はそうした「顧客獲得」の視点を中心に話を進めていきます。
広義のマーケティングを理解しつつ、実際の業務に役立つ知識を身につけていきましょう。
【実例コラム】マーケティング部は「何でも屋」であれ
私自身の経験をお話しすると、予備校事業を立ち上げ、その後ENGLISH COMPANYを立ち上げた際、マーケティング部(実質私一人でしたが)は単なる「広告担当」ではありませんでした。
Instagramというツールを使い倒し、結果として月間700万PVのメディアへと成長させた事例があります。
これは「SNS担当」「マーケ担当」という枠を超えて、「顧客が集まる場所ならどこへでも行く」という姿勢の結果でした。
まずは質問です。あなたの会社のマーケ部、心の中では何部だと思いますか?
この答えが見つかれば、マーケ業務を覚える最初の一歩を踏み出せたことになります。
【新人さんのためのマーケティング講座全記事はこちら】
vol.1:マーケティング部ってなにするところ?
vol.2:「顧客獲得の仕組み」をつくるって何をすること?
vol.3:考える武器 "フレームワーク" を手に入れよう。
vol.4:Webマーケティングってなにをすること? 具体的手法を整理しよう
vol.5:CTRとかCVRとかって何のこと? 数字をどう読み、どう動けばいい?
vol.6:KGIとKPIとは? マーケティングの「宝の地図」の作り方
vol.7:マーケティングファネルがわかればもう迷わない。恋愛に学ぶ「ファネル」の話
vol.8:Web広告って、結局どれがいいの? 目的別Web広告の選び方
vol.9:CPAが効果検証の要! できるだけお金をかけずにお客様に振り向いてもらおう
vol.10:マーケ用語を覚えておこう|広告の種類と基本用語編
vol.11:マーケ用語を覚えておこう|効果測定の指標用語
vol.12:マーケ用語を覚えておこう|SEO/SEM関連用語編
vol.13:マーケ用語を覚えておこう|アクセス解析用語編
vol.14:マーケ用語を覚えておこう|総合テスト編
岡 健作(おか・けんさく)
スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。
X→@oka_kgs / Instagram→@oka_ken2010
/