
日曜の夜、「明日からまた一週間か……」とため息をつく。たっぷり寝たはずなのに体がだるい。休日に何をしたかと聞かれても、「特に何も……」としか答えられない——。
忙しいビジネスパーソンほど、こうした「休み下手」に陥りがちです。平日に万全のコンディションで仕事に臨むには、休日を使って心身をしっかりリフレッシュすることが不可欠。
以下にご紹介する3つのポイントを押さえ、「休み上手」な人になりましょう。
働き上手は「休み上手」
平日に高い生産性を発揮できる人は、休みの日を賢く活用し、心身を休息させるのがうまいものです。
そんな事実を示すデータのひとつが、厚生労働省が2019年に発表した資料『令和元年版労働経済の分析』にあります。
本資料では、アンケートで「仕事と余暇時間の境目のマネジメントが『出来ている』と自己評価」した人たちにおいて「ワーク・エンゲイジメントが高い」人の割合が大きかった、との結果が示されています。
「ワーク・エンゲイジメントが高い」状態とは、「仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態」のことを指すそう。
(*1, *2)
オン/オフの切り替えと仕事の充実感には、何らかの関係がありそうです。では具体的に、どんな休み方がリフレッシュにつながるのでしょうか?
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では逆に、リフレッシュにつながりにくい「間違った休み方」とはどんなものなのでしょうか?
人材育成事業を展開するゼルバナの創立者、マット・プラマー氏は「休暇を誤用する人」として以下の3タイプを挙げています。
(以下は*3をまとめたもの)
- カウチポテト派
……家にこもってテレビを観るなど、とにかく何もせず休日を過ごすタイプ。 - 偽りの休暇派
……休日にも仕事を詰め込み、ひたすら働き続けるタイプ。 - 休暇版ワーカホリック
……パーティーや旅行など、遊びの予定を忙しく詰め込むタイプ。
あなたがもし上記3タイプのいずれかに当てはまるなら、休日の過ごし方を見直すべきかもしれません。
幸福感や仕事の生産性向上につながる「上手な休み方」のヒントとして、以下にご提案する3つのことを参考にしてみてください。
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上手な休み方1. あえて「緊張」をつくる
「休む」といえば、前章で挙げた「カウチポテト派」のように、ひたすら家でゴロゴロして過ごすようなイメージが強いもの。しかしじつは、こういった休み方では脳が休まらないようです。
神経内科医の米山公啓氏いわく、「『緊張』から解放されるとき、脳は深くリラックスする」。というのも、「脳は、常に『変化』による刺激を求めて」いるからだとか。(*4)
つまり、脳をリラックスさせるには「緊張」と「緩和」のセットが必要だということです。
たとえば、普段行かないようなレストランに行ってみる。行ったことのない観光地まで足を運んでみる。久しぶりに友人に会ってみる——。
このようなワクワクドキドキとした「緊張」を楽しむ一方で、ホッと一息つくリラックスタイムもきちんと設けてみましょう。脳をリラックスさせるには、こんな「緊張」と「緩和」のメリハリがついた一日を送ることが大切なのです。
休日に家にこもるだけだと「たっぷり休んだはずなのに、なぜかリフレッシュできていない」……ということになりがち。そうならないために、いい「緊張」を織り交ぜることを意識してみてください。

上手な休み方2. いろんな場所に「移動」する
電車や車でどこかに出かけたり、知らない街をただ歩いたりしただけで、不思議と心が晴れた。そんな経験はありませんか?
じつは、ただ単に「移動する」ということにも、あなどれないリフレッシュ効果があります。
マイアミ大学准教授で心理学者のアーロン・ヘラー氏らによる研究(2020年)で、「日々の身体的な位置の変動が人間のポジティブな感情の増加と関連する」ことが判明したそうです。
「132人の動きをGPSで3、4カ月追跡調査」し、「心理状態を問うアンケートにも答えてもらい、被験者の一部の脳をMRIなどで分析」したところ、「行ったことがない場所に行くなど探索の度合いが高い日には、より幸せを感じる、というデータが示された」のだとか。
(*5)
つまり人間は、いろいろな場所に行っていろいろなものを見るという行為に幸福を覚えるものなのです。
ヘラー氏いわく「どれだけ遠くへ、ではなく、どれだけ多様な新しい場所に行くかが重要」。(*5)
必ずしも派手な旅行をする必要はありません。次の休日に降りたことのない駅で降りて、知らない街を歩いてみる。初めてのカフェに入ってみる。それだけでも十分にリフレッシュ効果が得られるはずです。
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上手な休み方3. 完全に仕事を忘れる
基本的なことですが、休日には仕事のことを完全に忘れることも大切です。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス助教授のローラ M. ジョージ氏によると、「休みの日に働くことは仕事に対する内発的動機を低下させることが示された」のだそう。(*6)
言われてみれば当然のことですが、年がら年中休みなく仕事のことばかり考えていると、いずれ仕事にウンザリし、やる気の低下につながってしまうわけです。
たとえば、「休む」と決めた日には以下のような工夫をし、仕事から完全に離れてみてはいかがでしょうか?
- 休日に仕事を家に持ち帰らない
- メール、メッセージアプリなどの通知を切り、仕事の情報が入ってこないようにする
- 仕事関連の書類などが目に入らないようにする
- 仕事のための本などを読まない
休日には仕事のことを頭から完全に排除する――つまりオン/オフを明確に切り替えることが、平日の仕事のモチベーションを維持することにつながるでしょう。
***
「休んでも疲れがとれない」「休息のとり方が下手だ」といった自覚があるなら、上にご紹介した3つの「上手な休み方」をぜひ実践してみてください。
FAQ(よくある質問)
Q. 「カウチポテト派」のように家でゴロゴロするのは、なぜリフレッシュにならないのですか?
A. 脳は常に「変化」による刺激を求めているため、ずっと同じ環境でだらだら過ごしていても休まりません。脳が深くリラックスするのは「緊張」から解放される瞬間です。つまり、何もしない状態がずっと続くと、緊張と緩和のメリハリが生まれず、疲労感が残ったままになってしまいます。
Q. 「いろんな場所に移動する」といっても、遠出する余裕がありません。近場でも効果はありますか?
A. はい、十分に効果があります。研究によれば、大事なのは「どれだけ遠くへ行くか」ではなく「どれだけ多様な新しい場所に行くか」です。降りたことのない駅で降りてみる、初めてのカフェに入ってみるなど、日常の行動範囲を少し広げるだけでもポジティブな感情が高まることがわかっています。
Q. 休日に仕事を完全に忘れるのは難しいです。具体的にどうすればいいですか?
A. メールやメッセージアプリの通知を切る、仕事関連の書類を目に入らない場所にしまう、仕事のための本を読まないなど、物理的に仕事の情報が入ってこない環境をつくるのが効果的です。意志の力で忘れようとするより、仕事に触れる「きっかけ」自体をなくすことがポイントです。
*1 | 厚生労働省|令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|第4節 リカバリー経験(休み方)と「働きがい」との好循環の実現に向けて
*2 | 厚生労働省|令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|第1節 ワーク・エンゲイジメントに着目した「働きがい」をめぐる現状について
*3 | DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|休暇で心からリフレッシュして仕事に戻る4つの方法
*4 | Woman type|疲労回復には緊張が必須? 脳科学者が明かす「だらだら休む人」の疲れがとれない超明白な理由【医学博士・米山公啓 監修】
*5 | 朝日新聞GLOBE+|「人は移動するほど幸せを感じる」という研究成果 「遠出するとスカッ」は本能かも
*6 | DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|休みの日に仕事をしてはいけない。本当に。
STUDY HACKER 編集部
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