以下の内容はhttps://studyhacker.net/beyond-optimizationより取得しました。


PDCAの限界——「改善」だけでは届かない成長がある【新人さんのためのマーケティング講座 Season2 vol12】

📘 新人さんのためのマーケティング講座 Season2

Season1では、マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識までを体系的に解説しました。Season2は、配属されてしばらく経ち、実務をこなしながらさまざまな「壁」にぶつかり始めた方に向けて、より実践的なテーマを掘り下げていきます。

まだSeason1を読んでいない方は、まずそちらからどうぞ。▶ 新人さんのためのマーケティング講座 Season 1【全14回まとめ】 ——マーケティングの基礎知識を徹底解説!

毎朝、出社したらまずダッシュボードを開く。CTRが0.02%上がった。CVRが0.03%下がった。昨日より良くなった指標には安堵し、悪化した指標には焦る。

「原因を調べて改善しよう」

ボタンの色を青から緑に変えてみる。キャッチコピーの語尾を変えてみる。A/Bテストを回して、勝った方を採用する。

これを「PDCAを回している」と呼んでいませんか。私は違和感があります。それはマーケティングではありません。メンテナンスです。既に走っている機械の油を差しているだけ。それも、錆びついた機械の。

本記事では、PDCAという言葉に隠れた「思考停止」の正体を暴き、非連続な成長を生むために必要なマインドセットを考えます。

最適化の果てに待っているのは「緩やかな死」

PDCAは素晴らしいフレームワークです。Plan、Do、Check、Action。仮説を立て、実行し、検証し、改善する。何も間違っていません。

問題は、PDCAが「今あるもの」を前提にしていることです。今あるLPを改善する。今あるバナーを改善する。今あるターゲット設定を改善する。すべて「今あるもの」の延長線上で考えている。しかし、そもそも「今あるもの」が間違っていたら?

20点のコンセプトをいくら磨いても、80点にはなりません。ボタンの色を変えて0.1%改善しても、20点が20.1点になるだけ。25点にすらなりません。私はこれを「緩やかな死」と呼んでいます。

数字は微増している。レポートには「改善」と書ける。上司も「よくやっている」と言ってくれる。しかし、事業全体は停滞している。競合に少しずつ追い抜かれている。気づいたときには、取り返しがつかないところまで来ている。

なぜ微修正に逃げるのか

理由は簡単です。失敗が怖いから。

ボタンの色を変えるテストは、失敗してもダメージが小さい。「試してみたけど効果がなかったので元に戻しました」で済みます。誰も責めません。

しかし、コンセプトを根本から変えるのは怖い。うまくいかなかったら、全部自分の責任になる。時間も予算も無駄にしたことになる。上司に「なぜあんなことをしたんだ」と言われる。だから、小さな改善に逃げ込む。忙しいふりをする。PDCAという言葉で、自分の臆病さを正当化する。

「改善」と「変革」を分けて考える

ここで、二つの仕事を分けておきます。

一つは「運用」の仕事。既存の枠組みの中で効率を上げること。ボタンの色、コピーの微調整、入札単価の最適化。これは必要な仕事です。しかし、これは「改善」であって「変革」ではありません。

もう一つは「マーケター」の仕事。ターゲットそのものを問い直す。ベネフィットを再定義する。カテゴリーの常識を疑う。これが「変革」です。

問題は、多くの新人マーケターが、運用の仕事だけやって「マーケティングをしている」と思い込んでいることです。

もっと残酷なことを言います。ボタンの色を変えてCVRが上がったとしても、それが本当に「ボタンの色のおかげ」かどうか、わかりません。統計的に有意だと言っても、そもそもサンプルサイズは十分でしたか。外部要因は排除できていましたか。たまたま曜日の影響が出ただけかもしれません。

A/Bテストの結果を鵜呑みにして「改善できた」と喜んでいる人に聞きたい。その改善は、本当にあなたの施策の成果ですか。サンプルサイズは十分でしたか。外部要因は排除できていましたか。たまたま曜日の影響が出ただけかもしれません。

そして何より、その「改善」を続けた先に、事業の非連続な成長はありますか。20点が20.5点になっただけではないですか。

📖 あわせて読みたい

あなたの「ブランディング施策」が却下されるたったひとつの理由

使い古されたLPを手放す勇気

この連載のvol.10では、カテゴリーの枠を超えたベネフィット設計について話しました。vol.11では、顧客の本当の声を聞き出すインタビューの技術について話しました。これらは何のために学んだのですか。既存の施策を「疑う」ためです。

今使っているLPのコンセプトは、本当に顧客のベネフィットを捉えているか。vol.10で学んだ視点で見直してみてください。カテゴリーの常識に囚われていないか。顧客が本当に「雇用」したい価値を提示できているか。

今のターゲット設定は、本当に正しいか。vol.11で学んだ方法でインタビューしてみてください。顧客は本当にその属性で括れるのか。もっと深い文脈で捉え直すべきではないか。

疑った結果、「やっぱり今のままでいい」という結論になることもあります。それならそれでいい。しかし、疑わずに惰性で回し続けるのは、思考停止です。

訴求を変えたらCVRが3倍になった

かつて、英語コーチングの広告で使っていたLPがありました。CVRは悪くなかった。A/Bテストで何度も改善を重ね、ほぼ「これ以上良くならない」というところまで来ていました。

しかし、ある日、中心訴求をがらっと変えました。誰に、何を、どう伝えるか。その根本を作り直しました。当然、それに紐づくバナーもすべて変えることになります。

結果、CVRは3倍になりました。100回のA/Bテストで得られたであろう改善幅を、1回の「破壊と再構築」で超えました。

ただ、その前に一度、大きく変えて失敗したこともあります。CVRが半分になりました。それでも、やらなければならないのです。微修正を続けていたら、3倍にはなりませんでした。失敗のリスクを取らなければ、非連続な成長は手に入りません。

📖 あわせて読みたい

お客様はあなたの会社に「1ミリも興味がない」。マーケティングの全戦略は、この残酷な事実を認めることから始まる

マーケターは「破壊者」であれ

経営層があなたに期待しているのは何ですか。「今月のCTRは先月比0.02%改善しました」というレポートですか。違います。「このターゲットは捨てましょう。代わりに、こっちを攻めます」という提案です。「このLPはもう限界です。全部作り直させてください」という決断です。

非連続な成長は、連続的な改善の延長線上にはありません。どこかで、今あるものを手放して作り直す必要があります。

それは怖いことです。失敗するかもしれない。責任を問われるかもしれない。でも、その恐怖を乗り越えた先にしか、大きな成果はありません。

ボタンの色を変えているだけの人は、オペレーターです。優秀なオペレーターかもしれないけれど、マーケターではありません。

PDCAという言葉を、逃げ道に使わないでください。あなたが回しているそのサイクルは、本当に「前進」ですか。それとも、同じ場所をぐるぐる回っているだけですか。

もし後者だと思うなら、明日、そのLPをゼロから作り直す決断をしてください。怖いのはわかります。しかし、その先にしか、マーケティングの本当の醍醐味はありません。

 

【本記事のまとめ】

1. PDCAは「今あるもの」を磨く技術
20点のコンセプトをいくら改善しても、80点にはならない。

2. 微修正は「恐怖からの逃避」
失敗のリスクを避けたいだけの守りの姿勢が、事業を停滞させる。

3. 「改善」と「変革」は別物
運用の仕事とマーケターの仕事を混同しないこと。

4. 破壊の先に飛躍がある
失敗することもある。しかし、100回のA/Bテストより1回の根本的な作り直しが大きな成果を生む。

5. マーケターは破壊者であれ
非連続な成長を生み出すのは、現状を壊す勇気を持った人だけ。

PDCAと変革に関するFAQ

Q. PDCAは完全に不要ということですか?

A. いいえ、PDCAは運用において有効な手法です。問題は、PDCAだけで満足し、コンセプトの根本的な見直しを怠ることです。「改善」と「変革」の両方が必要で、多くの人は前者に偏りすぎています。

Q. いつ「破壊」すべきか、どう判断すればいいですか?

A. 目安は「改善の頭打ち感」です。A/Bテストを繰り返しても数字が横ばい、競合に差をつけられている、顧客インタビューで想定外の声が多い——こうした兆候があれば、コンセプトから疑う時期です。

Q. 失敗したときの責任が怖いのですが

A. 小さく試してください。全予算を新コンセプトに振り切る必要はありません。既存施策を80%維持しながら、20%で新しいアプローチを試す。失敗しても致命傷にならない範囲で「破壊」の練習をするのです。

▼ 新人さんのためのマーケティング講座 Season2

配属されてしばらく経ち、実務で壁にぶつかり始めた方へ。より実践的なテーマを掘り下げます。

Season1(全14回)はこちら|マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識まで

【プロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学卒業。2010年に創業。「Study Smart(合理的に学ぶ)」をコンセプトに、科学的知見に基づく英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を設立し、人気ブランドへと成長させる。 事業拡大の要として、自らオウンドメディアとSNSの編集長を兼任。オウンドメディアは最大500万PV、Instagramでは月間700万PV、フォロワー27万人規模のメディアにするなど、広告費に依存しない集客モデルを確立する。現在はその知見を活かし、「企業の認知獲得の専門家」として、論理とデータに基づいた再現性の高いメディア戦略・ブランディング論を発信している。
X→@oka_kgs / Instagram→@oka_ken2010 /




以上の内容はhttps://studyhacker.net/beyond-optimizationより取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14